新型コロナ対応労災上乗せ保険、保険料が補助金の対象に

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業種
病院・診療所・歯科
介護福祉施設
- 種別 レポート

新型コロナウイルス感染症対応医療機関労災給付上乗せ補償保険加入支援事業
株式会社日本経営リスクマネジメント / 課長代理 命尾昌彦
「新型コロナウイルス対応 労災上乗せ保険」という保険がある。
一定の基準を満たしている病院は、令和3年3月31日までの間に保険契約を締結(この間に契約の始期があるものに限る)すれば、補助金の支給対象となることから、どのような保険設計が可能か、引き合いを頂き始めている。
要件を満たしている場合は、検討をお勧めしたい。
新型コロナウイルス対応 労災上乗せ保険とは
民間の損害保険会社には「労災給付上乗せ補償保険」という商品があります。
ケガをしたときに、保険金が支払われる傷害保険の派生商品です。本来、傷害保険はケガをした時にしか保険金を受け取ることが出来ません。しかし、就業中疾病特約を付帯することによって、就業中に罹患した疾病も、労災保険の認定を受ければ支払の対象になるのです。
「新型コロナ対応労災上乗せ保険」は、この「労災給付上乗せ補償保険」の一種で、労災保険の認定を受ければ、ケガはもちろんのこと、コロナの感染による死亡・後遺障害・休業損害についても保険金として受け取ることが出来るものです。
そして、それぞれの補償に対する保険金は、あらかじめお客様が設定します。
休業に対する現場の不安を和らげる
私どもがコロナ関連手当てに関しての独自調査をしたところ、「手当以外の特別な対応」をしている病院は71.0%。うち、新型コロナ患者の診察をしている病院においては、すべての病院が何らかの特別な対応を実施しているとのご回答でした。
中でも、「休業時の給与保障と宿泊費または宿泊費補助」については、多くの病院で対応しているという調査結果が出ており、休業に対する現場職員の不安に対して、どの病院も真剣に対応されていることが分かります。
「新型コロナウイルス対応 労災上乗せ保険」は、そのような特別な対応を後押しするものと言えます。
- 感染により休業することに対する現場の不安感を、少しでも和らげたい。
- 就業中の感染に対して、職員に見舞金手当が給付されるようにしたい。
感染拡大が危惧される中、「労災上乗せ保険」により備えを強化しておくことは、重要な選択肢になるのではないでしょうか。
労災給付上乗せ補償保険加入支援事業による補助
ところで、この「新型コロナウイルス対応 労災上乗せ保険」については、令和3年3月31日までの間に保険契約を締結(この間に契約の始期があるものに限る)した場合、補助金の支給対象となります。概要は、下記のとおりです。
対象医療機関等 | 都道府県等の要請を受けて 新型コロナへの対応を行う次の保険医療機関等 (詳しくは「こちら」) |
対象者 | 勤務する医療資格者等 |
補助基準額 | 年間の保険料の一部(2分の1)、1人あたり1,000円を上限 |
詳しくは、厚生労働省ホームページの「令和2年度新型コロナウイルス感染症対応医療機関労災給付上乗せ補償保険加入支援事業(事業の概要)」をご参照ください。
対象となる病院を中心に、すでに引き合いを頂き始めていますが、現場の実情に合わせた最適な保険設計が必要になります。
経営・運営安定化の施策の一つとして、ご不明点やご相談など、ぜひお気軽にお問い合わせください。
このレポートの解説者

命尾昌彦(めいお まさひこ)
株式会社日本経営リスクマネジメント コンサルタント
2015年㈱日本経営リスクマネジメントに入社後、病院及び一般企業における企業防衛としての保険の分析・提案、コスト面からの保険料削減の分析・提案を主業務とする。中でも賠償リスクのコンサルティングを得意とする。中小企業診断士。
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