私たちが大切にしている言葉
1967年の創業以来、私たちが大切にしてきた言葉があります。
これらの言葉は全従業員共通の言葉となり、価値観となって人材と組織、そして経営の成長につながっています。
これらの言葉は私たちのコンサルティングスタンスでもあり、私たちの助言・提言を通じてお客様の経営にも活かしていただいています。
経営者や幹部の方々の経営や人、組織を見る視点としてヒントになればと思い、ここにまとめました。
1. 自利利他
今から1300年前に比叡山を開いた伝教大師(最澄)の言葉で、日本経営の哲学の根本となる考え方。
自利(自ら悟りを求めること)と利他(人を幸せにすること)は本来同じことであり、世のため人のため社会のために精神努力すること、それがそのまま本当の自分の喜びであり、幸福である(飯塚 毅氏)。
2. 氣づき
氣づきは、先見性と洞察力を持ち、周囲に対して氣配りすることから生まれる。また関心の高さが氣づきの高さにつながる。
氣づきがあるから部下から慕われ、信頼される。上司が氣づいてくれる、氣を配ってくれるという信頼感があるから、部下も喜んで仕事に取組む。
なお、私たちは、「氣」という漢字を用いている。「氣」はエネルギーを表し、中心の「米」は四方八方に広がる意味を表している。
3. 人生の三冠王「関心・感動・感謝」
チャンスは平等に訪れているのに、掴める人と掴めない人がいる。チャンスの女神は前髪しかなく、通り過ぎてから手を伸ばしても、ツルリと滑って掴むことはできないからだ。
- まずあらゆることに「関心」を持つことである。
- そして、手を伸ばしてつかみ「感動」できる資質。1枚のハガキからでも人生をこじ開けていく情熱は、感動からスタートするのだ。
- そして感動ある毎日を送ることで、「感謝」の心が育まれる。
感謝の心のある人は、周りが応援したくなり、チャンスが現実になっていくのだ。
4. 会社は潰れるようにできている
なぜ会社は潰れるのか、それは、世の中が変化していくからだ。
会社の業績が安定してくると、同時に仕事のやり方も定型化してくる。そのうち、マンネリ、油断、驕りが生じるが、この段階はまだ手遅れではない。次に妥協、怠慢、諦め、この3つに陥ったらもう取り返しがつかない。世の中は変化し、進歩していく。現状維持は後退だ。
会社は潰れるようにできている。潰れない原因を創るために、日々格闘するのが経営である。
5. 一長一創
人はこの世に生まれ落ちた瞬間、全員が天から封書をもらって生まれてくる。その封書を開いたら、あなたはこういう生き方をしなさい、と書いてある。しかし、せっかく天からもらった封書を1回も開かないで死んでいく人が多い(森 信三氏)。
リーダーは、自らの使命に氣づき、自らの長所を伸ばして、何か1つ創り出していかなければならない。どんなことでも10年努力を積み重ねれば物事は成就する。
6. 右手にロマン、左手にソロバン(電卓)
二宮尊徳の「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉と同義である。また、渋沢栄一は著書『論語と算盤』のなかで「論語と算盤とは一致すべきものである(道徳経済合一説)」と述べている。
全従業員とその家族の幸福の実現は、ロマン(理念・ビジョン)とソロバン(実践・利益)のどちらが欠けても成り立たない。
7. 善思善行を積み重ねる
人生は心に描いたとおりになる。未来に夢と希望を抱き、毎日の地道な努力を積み重ね、心を高める日々を送り続ければ、素晴らしく、希望に満ち溢れた人生を送ることができる。
そのためにもまずは目の前の仕事を好きになること、目の前の人を好きになることである。他人だと思っていた人が身内で、敵だと思っていた人が仲間であり、自分から笑いかければ、相手も鏡のように笑い返してくれる。
これが善思善行の始まりである。
8. 経営の改善とは人の改善、人の改善とは人の心の改善
経営の改善とはそこで働く人の改善であり、人の改善とは働く人一人ひとりの心の改善によってもたらされる。つまり、働く人の心の働き、それからもたらされる行動こそ、経営の良し悪しを決定する(薄衣佐吉氏)。
重要なことは、まず経営者自身が心の在り方を高めること。自分に最も身近な存在である家族、従業員から何を期待されているかに自ら気づき、その期待に応えることである。経営者自身の心の在り方の高まりとともに、従業員の心の在り方も高めていく。
もっとも身近で重要な存在である家族、従業員からの期待に気づくことができずして、顧客や社会からの期待に気づくことはできない。
9. 主人公意識
「自分がやるんだ」「自分のことなんだ」と、主体的に考えることが主人公意識。
主人公意識を持ち、様々なことに主体的に関わり、取組んでいくからこそ、智恵や工夫が生まれ、自分自身も成長することができる。
私たちは一人ひとりが主人公であり、日々の活動は一人ひとりに委ねられている。主体的に実践・実行していくことが求められているのだ。
10. 経営の成長とは人の成長と資本の成長
経営は人と資本の活かし方によって決まり、経営の成長には人の成長と資本の成長の両輪が必要となる(薄衣佐吉氏)。そのためには正しい成長が求められる。
正しい成長とは、経営の成長を通じて、人が自己の能力を最大限に発揮し、心から喜んで働くことである。
人の成長を無視して資本の成長を図ってはならない。これは経営の成長ではなく、単なる膨張である。
11. 利益とは未来費用
未来について確かなことは、未来は不確かであって、且つ多くの危険性をはらんでいることである。
会社は常にこの危険に備え、利益を作り出さなければならない。そして、昇給、商品開発、人材育成等のためにも利益は必要である。つまり、利益とは、未来の費用を留保しているのであって、単なる蓄積ではない。
今の利益は過去の努力の結果であり、今の努力が未来の利益を作るのである。
12. 他責から自責
他責とは、問題の原因を自分以外に求めることであり、自責とは、何か問題やトラブルが起こった時に自らに原因があるとして、主体者として改善や対策を試みることである。
他責で捉えると打つ手がなくなる、自責で捉えると打つ手は無限に広がる。誰もが本能は他責思考、誰でも他責思考に陥りやすいが、これを自責で考えるところに自らの成長がある。
経営でも同じことが言える。与えられた条件(与件)の中でやりくりしていくのが経営であり、政治、社会、経済に責任を求めてはならない。他人と過去は変えられない、変えられるのは自分と未来だけである。
13. 全員営業
ピーター・ドラッカーは、企業の目的は顧客の創造だと説いた。企業が成長発展するためには、顧客を創造し続けなければならない。これを誰かがやってくれるものと考える人が増えれば、その企業は衰退していく。
一人ひとりが自分の役割の中で健全な営業意識を持つことが重要である。営業職ではなくても、問い合わせの電話対応、来客者への挨拶、商品の梱包などどのような場面でも顧客のためを考えた行動ができるはずであり、それこそが全員営業である。
どのような職務を担っていたとしても、顧客を意識した取り組みをすることが求められる。