1.【課題】2028年の事業許可更新と残業代リスク…ベテランの反発を防ぎながら歩合給依存を脱した方法とは?
ご相談企業の概要
業界: 運輸・物流業(一般貨物自動車運送業)
規模: 従業員数 約60名
事業内容: 一般貨物輸送、付帯作業・現場対応

当社は長年、創業者の強いリーダーシップのもと、個性豊かなドライバーたちをまとめ上げ、現場一丸となって成長してきました。
しかし、次の代へ経営権を譲る事業承継のタイミングが見え始めた中で2028年に導入される「5年ごとの事業許可更新制度」のニュースを聞いた時、正直「これはまずいぞ」と強い危機感を覚えました。

当時の当社の給与体系は、昔ながらの「基本給+コース手当(歩合)」。手当の中に残業代が曖昧に含まれており、「退職者から未払い残業代を請求されたらどうしよう」「労務審査で引っかかったら事業が続けられないのではないか」という不安をずっと抱えていたんです。
さらに頭を悩ませていたのが、現場の風土でした。「洗車に手当はつくのか」「手当が出ないならやらない」といったドライな雰囲気が広がり、仲間同士で協力し合う姿勢が失われつつありました。
「制度を刷新して、クリーンで一致団結できる会社にしたい」そう思いつつも、下手に人事制度に手を入れれば、会社を支える40代・50代のベテランドライバーたちが反発し、一斉に辞めてしまうかもしれない。その恐怖から、何年も最初の一歩を踏み出せずにいました。
2.【解決策】綺麗な理論ではなく、泥臭い現場説明までプロが伴走
経営陣の抱える恐怖と労務リスクに対し、株式会社日本経営では、以下の3つのアプローチで組織変革を支援しました。
- 現状の可視化と要因分析
曖昧に支払われていたコース手当の内訳を整理し、時間外労働相当分を「みなし時間給」として固定給化。法的根拠を持った透明性の高い賃金体系へ移行し、未払い残業代請求や労務監査に対する不安を根底から解消しました。
- 現場に合わせた実行計画の策定
「なんとなくの評価」を廃止し、安全運転はもちろん、「自社での車両メンテナンス」や「困っている仲間へのサポート」といった定性的な行動まで具体的に評価指標として言語化。真面目に会社に貢献する社員が正当に報われる仕組みを作りました。
- 定着と自立化に向けた伴走支援
社内から発信すると現場の反発・抵抗が起きやすい制度変更の意図については、コンサルタントが全社説明会に同席して直接代行。全従業員分の詳細な個人賃金シミュレーションを提示し、一人ひとりの疑問や不安に寄り添って面談・説明を行ってくれたことで、現場の不信感を解消することができました。
3.【成果】ベテランの離職ゼロで新制度へ移行。「助け合う風土」の復活
定量的な成果:
- ベテラン層の離職率:0%(懸念された離職者はゼロで、全員が新制度へ同意・移行)
- 2028年事業許可更新への適合度:100%(法令遵守・労務コンプライアンス基盤の完全確立)
定性的な成果:
- 「会社が社員を守り、日頃の頑張りを正当に評価するために制度を変えるんだ」という真意が現場にしっかりと伝わったことで、社内の空気がガラリと変わりました。 「手当がつかないならやらない」といった寂しい発言は姿を消し、自発的な車両の手入れや、運行管理者の急な指示への協力、後輩ドライバーを気遣うサポート行動が目に見えて増えました。
- 未払い残業代などの不透明な法的リスクに怯える日々から脱却し、2028年の事業許可更新を堂々とクリアできる体制と、全社一丸となって次の事業成長へ向かえる強い組織基盤が整いました。
4.実施プロセス:約1年間(12ヶ月)の伴走スケジュール
2028年の事業許可更新や労務コンプライアンス適合、そして現場への定着に向け、以下のステップで着実に進めました。
| 期間 | フェーズ | 具体的アクション |
|---|---|---|
| 1ヶ月 ~ 2ヶ月目 |
現状分析・ ヒアリング ※1 |
規程の確認、賃金データの分析からトップヒアリングやキーパーソンヒアリングによる現状分析と報告および制度改定の基本方針の決定 |
| 3ヶ月 ~ 8ヶ月目 |
人事制度の再構築 | ドライバーや運行管理など職種や部門の役割や階級ごとの役割の定義、評価基準の言語化、月給制への変更と新たなインセンティブの設計 【試算】 新制度移行に伴う全従業員一人ひとりの年収変化を詳細に試算 【合意形成】 2ヶ月目以降から確定した情報を小出しで従業員に周知徹底する。その上で、不安や疑問を聞き取り解消する。 |
| 9ヶ月 ~ 12ヶ月目 |
従業員説明会・ 合意形成 ※2 |
コンサルタントの説明会同席、個人別賃金通知のフォロー、ベテラン層との丁寧な対話による理解促進 |
※1. 分析結果や現場の状況により、その後のスケジュールや打ち合わせ頻度は柔軟に調整させていただく可能性があります。
※2. 制度導入後も、トライアル運用や評価者研修(フィードバック面談指導)を通じた現場への丁寧な定着支援を行います。
5. まとめ:物流現場の技術と信頼基盤を次世代へ繋ぐために
トラック運送業界は、2028年の事業許可更新制度の導入という大きな分岐点を迎えています。特に、創業者のカリスマ性や個人の力で引っ張ってきた組織から、次の代へ経営権を譲るフェーズにおいては、誰が経営しても揺るがない「組織としての強固な基盤」を整えることが不可欠です。今回は、人事制度の構築という切り口で、その土台を整えました。
従来の「曖昧な時間管理」や「そのような時間管理の下の歩合制」、「属人的な評価体制」のままでは、法的リスクを抱え続けるだけでなく、次世代を担う人材の確保や自律的な組織づくりは困難です。
しかし、長年現場を支えてきたベテランドライバーからの反発や離職を恐れるあまり、組織の変革や制度の抜本的な見直しに踏み出せない経営者様も少なくありません。
株式会社日本経営では、単に理論上の綺麗な人事制度(箱・枠組み)を作成して納品するだけではありません。
全従業員データの精密な試算から、社内では角が立ちやすい説明会の同席・代行、そして現場への定着まで、経験豊富なコンサルタントが泥臭く伴走いたします。
「2028年基準をクリアする労務基盤を整えたい」、「歩合給から脱却し、社員が助け合える組織を作りたい」、そうお考えの経営者様・人事責任者様は、ぜひ一度、ご相談ください。