1.【課題】「システムを導入したのに、紙と二重入力に追われる…」成長の裏に潜むガバナンスの限界と現場の疲弊
ご相談いただいた法人の概要
業界:大規模社会福祉法人
(障害者支援施設、特別養護老人ホーム、認定こども園、相談支援、訪問看護等の運営)
規模:展開事業所数 20事業所以上、
職員数 約500名 (うちバックオフィス担当職員約50名)

「システムを入れてもパンク寸前」経営陣と現場が抱えていた葛藤
「ICTや業務システムはすでに導入している。それなのに、なぜ現場も本部も毎月末に紙と手入力、二重チェックに追われてパンクしそうになっているのか……」
同法人は20以上の事業所を展開し、地域に根差した多様な福祉サービスを提供してきました。しかし、事業拡大の裏でバックオフィス業務と現場の運用は限界に達していました。

現場では、複数の介護記録ソフトが拠点ごとに並列稼働しており、手書きで記録した内容を夜間にパソコンへ再入力し、月末には国保連請求のために手作業で打ち替える三重運用が常態化。さらに、勤怠管理では約500名分の紙の勤務実績を本部人事課が1枚ずつ目視で照合し、電卓で手修正しながら給与ソフトに手入力していました。
さらに深刻だったのは、物理的な移動とガバナンスのリスクです。
- 押印のためだけに、片道約40分かけて車で本部まで往復する
- 小口現金や利用者、入居者のお小遣い管理のために、物理通帳と印鑑を持って銀行に通う
- 決裁の電子化を進めたいが、見落としの不安から50万円以上の案件は紙で再作成して回覧する
このように遠隔拠点との行き来や現金管理が頻発する現場運用は、横領や労務違反といった重大な法的リスクを常に孕んでいました。経営陣としてDXを進めたい想いは強くありつつも、現場やベテラン職員からの抵抗や、業務が動かなくなるリスクを恐れて、なかなか抜本的な改革へ踏み切れずにいました。
2.【解決策】バックオフィス担当の全職員「年間約28,000時間」の業務量測定から始まる泥臭い実行支援
このような法的・労務リスクに対して株式会社日本経営では、単なるシステム提案や表面的なコンサルティングにとどまらない「現場密着・泥臭い伴走体制」で一連のDX変革を支援しました。
日本経営のアプローチ・3つの強み
①バックオフィス担当の全職員分、年間約28,000時間に及ぶ実測データに基づく緻密な現状分析
現場の感覚値ではなく、バックオフィスに関わる職員約50名に対するヒアリング等を行い、年間約28,000時間に及ぶ業務量を分単位で可視化。「本部・マネジメント事務(約45%)」と「施設・現場サポート事務(約55%)」の工数構造を解き明かし、課題の根本原因が業務の過半数を占める「施設・現場サポート事務」の「紙・現金・移動・二重入力」の4点に集約されることを論理的に証明しました。

② 逃げずに最後までやりきる3セグメント別の伴走体制
全拠点一律のシステム導入は現場の反発を招きます。私たちは各拠点を【LEAD(先行モデル)】、【CHALLENGE(標準導入)】、【SUPPORT(本部代行)】の3セグメントに分類。
先端ツールを先行投入する拠点、本部が事務を一時的に代行して現場負荷をゼロ化する拠点など、現場の状態に合わせた最適な支援を設計しました。
③ 制度設計・アフターフォローまで見据えた一気通貫の変革
システム選定(介護管理ソフトの統一、勤怠・会計・経費精算クラウドの連携)にとどまらず、手入力の温床となっていた業務フローの整理、大口稟議のペーパーレス化に向けた経営陣の意識改革・ガイドライン策定まで踏み込んで支援しました。
3.【成果】年間約10,000時間の創出と約1,500万円の経営効果。ガバナンスと現場の笑顔を両立
定量的な成果:
- 年間業務時間の削減:年間約10,000時間(全体の約36%)のバックオフィス担当職員の事務工数を削減
- 年間コスト削減効果:人件費換算で約1,500万円の経営インパクトを創出(※効果は試算値であり、導入法人の状況により異なります)
- 紙・押印・手入力の撤廃:約500名分の勤怠手入力を0件へ、紙の請求書発行・手折り封入作業を100%電子化
- 移動コストの削減:遠隔拠点から本部への押印・現金持参目的の物理移動(年間約2,000時間相当)を完全に廃止
定性的な成果:
- 労務・ガバナンスリスクの遮断:キャッシュレス化・ネットバンキング一括振込・電子決済の一本化により、現金事故やサービス残業・誤支給リスクを構造的に排除
- 不公平感の解消と風土変容:特定の管理者やベテラン職員に集中していた事務の抱え込みが解消され、本部へ一元化されたことで、現場が本来の介護・福祉支援に集中できる環境を確立
- 経営層の意思決定スピード加速:電子稟議の定着により、外出先からでもスマホで1タップ承認が可能となり、ガバナンス強化と経営の機動性を両立
4.実施プロセス:約3年間の伴走スケジュール
現場の負担を最小限に抑えつつ、確実に成果を出すために設定された約3年の変革ロードマップです。
| 期間 | フェーズ | 具体的アクション |
|---|---|---|
| 1年目 | エリア事務化の基盤づくり(時間の創出) |
・全職員の業務量を実測し、課題を集約 ・請求書のWeb明細・口座振替移行による紙・郵送全廃 ・勤怠管理のクラウド化および就業規則の標準化 ・小口現金のデビット/プリペイド化とキャッシュレス推進 ・スキャン仕訳とクラウド承認導入による押印往復の全廃 ・介護ソフトの統一に向けた先行拠点への導入 |
| 2年目 | 事務のセントラル化の開始(本部集約) |
・保護者・利用者連絡のLINE公式アカウント・ツールの導入による双方向化 ・各拠点の外線電話を本部へ一次集約。電話の本部受け体制の構築 ・領収書処理やお小遣い台帳入力等の「本部引き受け(代行)」を開始 ・介護ソフトの統一 |
| 3年目 | 事務セントラル化の完了・システム統一 |
・全拠点の事務を【本部へ完全に集約・一元化】 ・旧システムから新システムへの【全社プラットフォーム統一】 ・法人全体の業務進捗・法令遵守をリアルタイム管理する【経営ダッシュボード構築】 ・捻出した時間をケア品質向上・新規事業へ配分する【人材配置転換】 |
※1. 現場の受容性や契約期間に応じ、拠点セグメント(LEAD/CHALLENGE/SUPPORT)ごとに柔軟にスケジュールを調整して推進します。
※2. システム導入後も、運用定着・法的リスク低減に向けた継続的なフォローアップを実施します。
5. まとめ:綺麗な理論で終わらせない。逃げずに泥臭く伴走するDX
介護・福祉業界におけるDX推進は、単に最新のITツールやクラウドソフトを買い揃えれば成功するものではありません。現場には長年培われた慣習や「紙文化」への安心感があり、システムと実務の間に生じる「手入力」「二重チェック」「物理移動」といった泥臭い摩擦を解消しない限り、現場は疲弊し、DXは形骸化してしまいます。
株式会社日本経営は、バックオフィス業務を行う全職員の業務量調査という徹底的な事実把握からスタートし、就業規則の見直し、現場の意識改革、運用定着、アフターフォローまで「逃げずに最後まで泥臭くやりきる伴走支援」を徹底しています。
こんなお悩みはありませんか?
- システム導入後も現場の負担が減っていない
- 拠点増加によるガバナンス・法的リスクが心配
- 現場の反発が怖く、ICT・ DX推進に踏み切れない
私たち専門コンサルタントが現場に徹底的に寄り添い、解決策をご提案します。
「まずは現状を整理したい」「似たような規模感の他法人の実績を聞きたい」といった段階でも大歓迎です。どんなことでもお気軽にご相談ください。