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企業成長のための組織モデルと人事戦略 〜4つの経営機能で実現する段階別アプローチ〜

  • 業種 病院・診療所・歯科
    企業経営
  • 種別 レポート

組織成長に向けた課題と概要

企業の成長には「0⇒1」「1⇒10」「10⇒100」という発展段階が存在し、それぞれの段階に応じて適した組織モデルがあります。本レポートでは、これらの段階を家族型組織、部族型組織、集落型組織、町型組織、都市型組織として整理し、成長戦略論の代表的な著作『ブリッツスケーリング』を参考に解説しています。

また、部族型組織から町型・都市型組織へ移行する過程において、多くの企業が「組織の一体感を保ちつつ、どうやって変革を進めていくか」という課題に直面しています。具体的な事例や考察は弊社の以下のページでも詳しく紹介しています。

■部族型組織から町型・都市型組織へ/日本経営のケイエイ
https://nkgr.co.jp/useful/hospital-care-enterprise-organization-110617/

成長を支える「4つの経営機能」のアプローチ

弊社では「4つの経営機能」というフレームワークを基に人事制度のご支援を行っております。しかし、これらの機能は企業の状況に応じて異なる形で適用されるべきであり、一律に適用できるものではありません。組織の規模、事業内容、成長段階などによってアプローチや重点を置くべきポイントは異なります。
詳細は『「組織マネジメント」実践論(プレジデント社/株式会社日本経営 橋本竜也著)』にて詳しくご紹介していますが、以下のように整理しています。

【4つの経営機能】
①トップ方針:組織のスタンスを明確にして現場に浸透させること。
②戦略・計画:どこに経営資源を集中し、いつまでに何をどれだけ達成するのかを明確にすること。
③役割・権限:戦略遂行に必要な役職別・職種別の役割を明確にし、説明したうえで、適切な権限を付与すること。
④実行プロセス:戦略を効果的に遂行しているかどうか、モニタリング(進捗管理)する仕組みをつくること。

弊社のコンサルティングでは、 ヒアリングを通してトップの方針を明確にし、それを基に具体的な戦略や計画、マネジメント体制、組織体制の課題を整理し、必要な制度をご提案いたします。

各フェーズにおいても“4つの経営機能”は異なる役割を果たし、企業ごとにも異なるアプローチが求められると考えています。本レポートでは、それぞれの段階における一例を示しつつ、企業ごとにトップ方針を言語化し、具体的な経営の戦略・計画を描く重要性を示します。

■「組織マネジメント」実践論
https://nkgr.co.jp/useful/enterprise-improvement-organization-91328/

各フェーズにおける4つの経営機能(人事戦略)のポイント

「0⇒1」フェーズ(部族型)

「0⇒1」のフェーズは、事業を立ち上げ、未知の市場へ挑む段階です。この段階の組織は、強力なリーダーシップを発揮する“部族型”の特性を持ち、トップが戦略と実行の中心となり、迅速な意思決定を行います。この組織では、トップの影響力が絶大であり、チームメンバーはトップの指示に従い、一丸となって目標達成を目指します。

しかし、部族型組織は権限がトップに集中しやすく、属人的な意思決定が発生しやすいという課題があります。個々の成果主義が強調されることで、メンバー間の競争が激化し、連携不足や離職リスクが高まる傾向があります。加えて、過去の成功体験に固執し、新たな変化に対応できなくなる場合も見受けられます。

このフェーズにおける人事戦略を4つの経営機能で整理すると、以下のようなコンセプトが必要です。

【4つの経営機能(人事戦略のポイント)】
①トップ方針:トップが明確な方針を示し、組織の結束を図るため“掟”を定め、全員に共有。
②戦略・計画:短期的な成果を優先する計画を策定し、迅速な意思決定プロセスを確立。
③役割・権限:主要な意思決定はトップが行い、次世代リーダー候補に部分的な権限を委譲して育成。
④実行プロセス:PDCAサイクルを迅速に回し、個々のアクションが成果に直結する仕組みを推奨。

「1⇒10」フェーズ(集落型組織)

「1⇒10」のフェーズでは、事業が軌道に乗り、複数のプロジェクトが動き始め、組織は“集落型”へと進化します。この段階では、リーダーは長老や村長のような役割を担い、秩序の維持と持続的な成長が重視されます。成功確率の高い方法を継続し、リスクを回避しながら組織全体の安定を目指します。

しかし、この段階では成功体験に依存し、変化に対応しにくくなるリスクがあります。組織が硬直化し、挑戦やイノベーションが生まれにくい状況が発生する場合もあります。特に、業務プロセスが複雑になると、柔軟な対応が難しくなり、停滞を招くことがあります。

このフェーズにおける人事戦略を4つの経営機能で整理すると、以下のようなコンセプトが必要です。

【4つの経営機能(人事戦略のポイント)】
①トップ方針:組織全体で共通の価値観を持ち、安定した成長を目指す方針を明確化。
②戦略・計画:成功モデルを標準化し、再現性の高いプロセスを整備。
③役割・権限:リーダーに裁量を与え、現場レベルでの意思決定を推進。
④実行プロセス:成果だけでなく協調性やプロセスを評価し、信頼関係を構築する評価制度を導入。

「10⇒100」フェーズ(町型・都市型組織)

「10⇒100」のフェーズでは、組織は“町型”から“都市型”へと発展します。町型組織は、トップのビジョンや方針を軸に、メンバーが主体的に参画し、組織全体の成長を目指します。一方で、都市型組織では多様な人材が集まり、それぞれが自律的に活動することで新たな価値を創出します。

この段階では、多様な価値観や業務スタイルの不一致が生じやすくなり、部門間の連携が難しくなるといった課題があります。セクショナリズムが発生し、情報共有や協力体制が停滞することもあります。

このフェーズにおける人事戦略を4つの経営機能で整理すると、以下のようなコンセプトが必要です。

【4つの経営機能(人事戦略のポイント)】
①トップ方針:ビジョンを組織全体に浸透させ、個々のメンバーの行動基準として定着させる。
②戦略・計画:全体最適を重視し、組織横断的な計画を策定。
③役割・権限:役割ごとに必要な権限を広範囲に委譲し、迅速な意思決定を実現。
④実行プロセス:情報共有インフラを整備し、部門横断プロジェクトを活性化。

このフェーズでは、多様性を受け入れつつ、全体の統一感を維持する仕組みが求められます。

組織変革への実践と今後のアクション

企業の成長は、それぞれのフェーズで異なる課題や必要な取り組みがあります。本レポートで述べたように、“4つの経営機能”を基盤に、組織の成長段階に応じた人事制度を構築することが重要です。弊社は、人事制度を通じて企業が永続的に発展できるよう支援しています。組織の特性や状況に合わせてトップ方針を言語化し、具体的な戦略・計画を描き、次なる成長に向けた変革を進めてみてはいかがでしょうか。

最後に、弊社コンサルティングのご案内に関しては、以下よりご覧頂けると幸いです。

■組織人事コンサルティング
https://nihon-keiei.co.jp/service/enterprise/organization-ent/personnel-system-construction/

本稿の執筆者

松本侑也(まつもと ゆうや)
飲料メーカーで営業業務に従事した後、日本経営に入社。
医療法人・社会福祉法人、一般企業を対象とした人事コンサルティング業務に従事し、人事評価制度の導入・見直し、賃金制度の改革、階層別研修の企画・実施など、幅広い領域で支援を行っている。

株式会社日本経営

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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