医療関連企業向け|統計からみる市場動向 ~電子カルテの導入状況~
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業種
企業経営
- 種別 レポート
本記事は、医療業界への新規参入企業 ・医療関連企業向け にお役立ち情報を配信しています。
1. 電子カルテの導入状況
厚生労働省より2024年11月22日に、2023年の医療施設調査の結果が公表されました。医療施設調査の結果によると、一般病院の導入割合は65.6%であり、前回の調査と比べると8.4%の増加していました。規模別では200床未満の導入割合が低く、前回調査と比べると増加 していますが、まだまだ導入割合は低い状況です。診療所については、導入割合が5.1%増加しましたが、病院と比べて増加率は低く、導入割合は55.0%に留まっています。
2. 病院における導入状況の地域差(都道府県)
一般病院の電子カルテの導入割合を都道府県別にみると、島根県、鳥取県、滋賀県は80%を超えているなど、導入割合が高い都道府県がある一方で、青森県、山口県、高知県、佐賀県など60%を下回る都道府県もあり、地域により導入割合に差が生じています。
3. 診療所における導入状況の地域差(都道府県)
診療所の電子カルテの導入割合を都道府県別にみると、沖縄県が突出して高く、66% になっています。沖縄県は病院の導入割合も高く、医療機関への普及が進んでいると考えられます。また、東京都、大阪府、愛知県など、経済規模の大きい都道府県での導入割合は60%程度と比較的高くなっています。茨城県 、栃木県、長野県などは前回調査と比較して導入割合の変化が小さく、普及は進んでいない状況であり、一般病院と同様に都道府県による差が生じています。
4. 電子カルテの普及と標準化
厚生労働省は標準化された電子カルテ情報を送受信できる標準型電子カルテの開発を進めており、試行版の検証後、2027年度に本格版を提供する方針を示しています。「医療DX令和ビジョン2030」では2030年までに普及率を100%にすることを目的としており、今後の動向が注目されます。
本稿の執筆者
坂本 浩幸(さかもと ひろゆき)/株式会社日本経営 戦略コンサルティング部
森實 雅司(もりざね まさし)/株式会社日本経営 メディアコンテンツ事業部
株式会社日本経営
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