医療関連企業向け|医療政策トピックス(2024年12月・2025年1月)~病院の情報システムのクラウド化~
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業種
企業経営
- 種別 レポート
本記事では、医療業界への新規参入企業・医療関連企業向けに、直近の政策動向に関する情報を配信しています。
1. 病院の情報システムの「オンプレ型」から「クラウド型」への移行
厚生労働省は、2024年12月2日の健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループで、病院の情報システム(電子カルテ、レセコン、部門システム等)について、「オンプレ型」システムから、モダン技術を活用した「クラウド型」システムに移行する案を示しています。
議論の背景にある課題として、以下の点が挙げられます。
① 病院の情報システム関連経費の増加(病院経営の圧迫)
② 電子処方箋等の医療DXの取り組みを進めていく上での弊害
③ セキュリティ面での病院負担と脆弱性
①については、「オンプレ型」システムにおいて病院ごとにアプリケーションを独自にカスタマイズしている例が多く、物価・人件費上昇の中で病院ごとに大規模なシステム更改を対応することは、システム関連費用の高騰につながることが示されています。
②については、医療DXを進める中 で「オンプレ型」システムでは医療機関ごとに改修が発生することや、生成AIのような新しい技術やサービスを活用する際に制約が発生する点が懸念されています。
こうした課題に対して、国は「クラウド型」システムの標準仕様を示し、それに準拠した病院システムを事業者が開発、段階的に普及を進めていく方針を示した。また、電子カルテ情報共有サービスなどの医療DXサービスとのクラウド間連携を推進するとともに、医療機関ごとの個別カスタマイズを抑制する考えも示しています。
国が推進する医療DXの方向性とは一致しているという意見がある一方で、「クラウド型」の導入による病院の経費負担軽減の妥当性 に対する疑問の声や、医療機器との接続が複雑な大規模病院ではなく比較的規模が小さいところから進めてはどうかという意見が出ています。
2.「クラウド型」への移行に向けたスケジュールの目標と今後の論点
2025年1月22日の「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームにおいて、病院の情報システムの刷新に係る方向性が示された。「オンプレ型」システムから、モダン技術を活用した「クラウド型」システムへの移行については、「2030年までのできる限り早い時期に、希望する病院が導入できる環境を整備する」という方針が打ち出されています。具体的なケースとして、複数病院で共同利用する方式や、クラウドのメリットを活かすためのマージドサービスの活用を図ることなどが挙げられています。
2025年度を目途に、クラウド型情報システムの標準仕様が作成される予定であり、クラウド型電子カルテが導入され始めている小規模医療機関を中心に、その活用が進められる方針です。
今後の病院の情報システムにおいては、「標準仕様への準拠」や「医療DXサービスとのクラウド間連携」が求められます。医療業界への新規参入企業及び医療関連企業は、複数病院での共同利用を考慮したシステム開発や営業戦略が必要となります。
弊社ではこれまで累計で1,600件を超える病院の経営支援を行ってまいりました。その知見やネットワークを活用し、病院・診療所・介護施設を支える医療関連企業のご支援や新規に参入する企業の支援を行っています。弊社のメイン事業は病院経営コンサルティングであることから、あくまでも病院・介護施設などの立場に立ち、ヘルスケア業界で“真に役立つテクノロジー・サービス”に限ってご支援しています。
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本稿の執筆者
坂本 浩幸(さかもと ひろゆき)/株式会社日本経営 戦略コンサルティング部
森實 雅司(もりざね まさし)/株式会社日本経営 メディアコンテンツ事業部
株式会社日本経営
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