お役立ち情報

~専門家の“超連携”が生み出したイノベーション?~「新たな医師マネジメントが実現する高収益組織」

  • 業種 病院・診療所・歯科
  • 種別 レポート

レポート要約

  • 「人事×戦略」の融合による収益化:単なる人事制度の構築ではなく、経営成果を出すための仕組みとして再定義しています。
  • データによる医師の「納得感」と「損益管理の両立:「他院比較」と「原価計算」の2軸で目標設定することで、医師の“納得感”を醸成し自発的な行動を促します。
  • 「高回転×高稼働」による成長モデルの実現:新入院患者数の最大化と在院日数の短縮を両立させ、経営効率(収益)と患者貢献(PX:患者経験価値)を同時に向上させます。
  • 令和8年度診療報酬改定への戦略的適合:最新の政策(救急・全麻手術の重視)に合わせ、これらを重要KPIに組み込むことが急性期病院としての存続条件となります。
  • 病院経営の「核心」としてのインフラ構築:医師マネジメントは単なる管理ツールではなく、損益基準に基づき、政策動向に適応して病院目的を果たすための「経営インフラ」そのものです。

弊社はこれまで、累計1,700病院以上の病院経営支援、および累計200病院超(2024年4月時点)の医師マネジメント支援(医師人事制度構築支援)を行ってきました。下記事例集のように大規模な法人・病院へも医師マネジメントのご支援を重ねてきました。今回は、弊社の医師マネジメントにおける基本コンセプトと、その成り立ちについて解説したいと思います。

■医師マネジメント事例集
https://nkgr.co.jp/parts/hospital-management-case-studies/doctor-360-degree-feedback-navigator.pdf

病院人事コンサル×病院戦略コンサルの“新結合”

弊社お役立ち情報の下記レポートのように、弊社の医師マネジメントシステムは、単なる人事制度の構築にとどまりません。

■物価上昇に対応する“損益”を軸にした医師マネジメント
https://nkgr.co.jp/useful/hospital-strategy-organization-113337/

このレポートが示すように、経営コンサルタントとして経営成果を目標に組織を動かすことを意図しています。一方で病院経営コンサルティングの延長として、成り行きで組織人事という新領域へ手を出した訳でもありません。

1990年より組織人事コンサルティングを行う事業部(当時、株式会社日本経営戦略人事コンサルティング)を設置していました。その後、2000年前後からは“医師マネジメントは病院経営の核心”と考え、医師人事評価制度構築支援をメニューに加えています。今から約四半世紀前のことです。

また、この流れとは別に、弊社の祖業である会計事務所部門では1980年代より医療に業種特化しており、1990年代からは病院経営のコンサルティング業務を専門特化・分化した新規事業として分社化(当時、株式会社日本経営エスディ・サポート)しており、主にレセプト分析を踏まえた病棟機能転換や医療職の労働生産性向上支援など、収益改善を強みとした戦略コンサルティングを行ってきました。
これら2つの専門組織が2017年に合併して、現在の株式会社日本経営となっています。

つまり、1990年代から「病院人事コンサルティング」と「病院戦略コンサルティング」に、それぞれ“専門特化”していたノウハウを“新結合”し、医師を含む病院組織のマネジメントとして再定義したものです。イノベーションは「新結合(※ⅰ)」と表現されますが、“既知×既知=新結合”により新たな価値を創出することを指します。弊社の医師マネジメントシステムは、まさに“病院人事コンサル”ד病院戦略コンサル”という「新結合」が生み出したイノベーションだと考えています。

医師マネジメント×データドリブンの“新結合”

弊社お役立ち情報の下記レポートのように、現在の弊社医師マネジメントシステムでは、弊社クラウド事業部が提供する病院分析システム「Libra」や弊社グループ法人が提供する財務・管理会計システム「KEYbird」を組み合わせて運用することが大半です。

■納得感を醸成する!データドリブンな医師マネジメント
https://nkgr.co.jp/useful/hospital-strategy-organization-quality-improvement-126178/

【病院分析システム「Libra」】
【財務・管理会計システム「KEYbird」】

医師マネジメントにおける定量評価(目標達成度評価)については、“内的妥当性”と“外的妥当性”の2軸で設計しています。内的妥当性としては、財務・管理会計システムKEYbirdを活用し、診療科別原価計算における損益分岐点を実現する患者数を参考値とします。

また、外的妥当性としては、病院分析システムLibraを活用し、同一診療科(同規模・同機能)の他院と比較した医師一人当たりの労働生産性指標を参考値とします。この「黒字化に必要な内的な水準」と「同じ診療科の相場水準(類似したベンチマークの外的な水準)」の2種を併用することで、定量目標の妥当性について医師の納得感を高めています。

どちらか一つであれば、「原価計算の費用の配賦基準に疑義がある」あるいは「ベンチマーク他院の設定に疑義がある」など、データに対する医師の反論が出るケースがあります。しかし、2種のデータを併用し、内的妥当性と外的妥当性の双方から信頼性を高めることで、取り組みに対する疑義や疑念を抑制することが可能となります。こうした根拠あるデータを示すことで、ノルマや押し付けではなく、医師が納得感を持って目標設定を行うことができます。また、こうした目標設定を行う場合、診療科別・病棟別原価計算の損益分岐点が目標設定の下限値となるため、損益基準でのマネジメントも実現します。こうしたデータドリブンな目標設定を行うようにしています。

先ほどは、“病院人事コンサル”ד病院戦略コンサル”という、それぞれ“専門特化”していたノウハウの“新結合”でしたが、今回は“新結合した医師マネジメント”דデータドリブンな目標設定”というさらなる“新結合”です。

最新の政策動向からの類推

次に、こうした新たな医師マネジメントシステムをどう活かすか?が論点になります。
急性期病院にとって、最重要KPIは「新入院患者数」です。そのメカニズムについては、弊社お役立ち情報の下記レポートで詳しく解説しています。

■医師マネジメントシステム導入・改定の最大のチャンス
 ~令和6年度診療報酬改定から考える医師マネジメント~
https://nkgr.co.jp/useful/hospital-strategy-finance-organization-quality-105918/

このように、急性期病院の経営は“高回転と高稼働の両立”が重要です。“平均在院日数の短縮化”が進む中でも“ベッドを埋めることが収益の源泉”というビジネスモデルを踏まえると、それを両立させる“新入院患者数”が重要になります。この“高回転と高稼働の両立”のイメージをNotebookLMで画像生成すると下図のようになります。

高回転×高稼働の両立マトリクス(新入院患者数の重要性)

高回転×高稼働の両立マトリクス(新入院患者数の重要性)

やはり新入院患者数を伸ばし、マトリクスの右上象限へ向かうことが病院経営の王道です。これは「新入院患者数=入院が必要な重症患者を受け入れた数(貢献値)」であり、「平均在院日数=早く自宅へ復帰できた日数」となるからです。経営管理指標として見ていることが多いと思いますが、患者経験価値(PX:Patient Experience)としてKPIの目的・意義を振り返ることで、病院事業の本来目的(パーパス)と提供価値(バリュー)が見えてきます。こうした患者経験価値の最大化は、病院事業の本来目的であり、事業を行う根源理由となります。

それに加えて、2026年1月23日には、令和8年度診療報酬改定の短冊(※ⅱ)が示されました。DPC/PDPSの見直しとして、入院期間Ⅱを平均在院日数から在院日数の“中央値”へ見直すため、今まで以上に平均在院日数の短縮化が進みます。

さらに、「急性期病院一般入院料(A/B)」の新設やDPC/PDPSの基礎係数の見直しなど、救急と全身麻酔手術件数を軸にした施設基準の新設・変更が設けられています。これは令和7年度厚生労働省補正予算での「医療分野における賃上げ・物価上昇に対する支援」(※ⅲ)同様に“救急と全身麻酔手術件数(又は分娩取扱数)で明確に差を設ける”という政策意図の表れといえます。

さらに、短冊では、「外科医療確保特別加算」が新たに設けられ、長時間かつ高難度な手術を実施した場合に評価される仕組みが示されました。これも、手術実績を重視する政策意図の表れといえます。

これらを俯瞰して見ると“救急と全身麻酔手術重視”の姿勢が一貫していることが理解できます。つまり、“救急と全身麻酔手術件数(又は分娩取扱数)”の向上を医師マネジメントシステムの重要KPIにおかなければ、急性期病院として存続できないということです。そのイメージを先ほど同様AIで画像生成すると下図のようになります。

救急と全麻手術の重要性

救急と全麻手術の重要性

そこで、この2つの論点を踏まえ、従来からの“新入院患者数”をマネジメントの軸(入院メイン診療科の全科必須指標)としつつも、救急や手術に関連する診療科においては“救急と全身麻酔手術件数”を診療科別指標として意識することが求められます。

こうしたKPIの実現を後押しすることが、医師マネジメントシステムに求められる機能です。また、これらのKPIの実現を後押しする組織マネジメントシステムとなることで、損益基準かつ政策適合した病院経営が実現します。その際、院内で一番影響力を発揮するのは“医師”です。

このように“医師マネジメントは病院経営の核心”です。令和8年度診療報酬改定などの外部環境変化を踏まえると、医師マネジメントシステムは、これまで以上に継続的なアップデートが求められていくでしょう。

 Q&A 例

Q1:なぜ「人事コンサル」と「戦略コンサル」のノウハウを統合する必要があるのですか?
A1:単なる人事制度では経営成果に結びつかず、逆に戦略だけでは医師を動かせないからです。組織人事(動機付け)と経営戦略(収益改善)を「新結合」させることで初めて、実効性のある経営改善が可能になります。

Q2:目標設定に対して医師から「データが不正確だ」と反発された場合、どう対処すべきですか?
A2:「内的妥当性(自院の損益)」と「外的妥当性(他院との比較)」の2軸で根拠を示すことが有効です。具体的には、管理会計システムで損益分岐点を示し(内的)、分析システムで同規模他院との生産性を比較する(外的)という、2種のデータを併用します。多角的なデータによって頼性を高めることで、データの配賦基準等への疑義を抑制し、ノルマではない「納得感」のある目標設定を促せます。

Q3:2026年度(令和8年度)の診療報酬改定を受けて、具体的にどの指標を重視すべきですか?
A3:「救急搬送件数」と「全身麻酔手術件数」を最重点KPIとして組み込むべきです。2026年1月に示された診療報酬改定方針では、救急や全身麻酔手術の実績によってDPC基礎係数の評価に差を設ける政策意図が明確になっています。これまでの「新入院患者数」という軸に加え、これらの政策適合指標を診療科別目標に設定することが、急性期病院としての存続と収益確保の鍵となります。

医師マネジメント専門サイト」もご活用ください


※ⅰ)GLOBIS学び放題×知見録「イノベーションとは?発明から価値創造へ – ビジネスに革命を起こす「新結合」の力」(2026年1月23日閲覧)

※ⅱ)中央社会保険医療協議会 総会(第644回)「総-2個別改定項目について(その1)」(2026年1月23日閲覧)

※ⅲ)厚生労働省「令和7年度厚生労働省補正予算案の概要」(2026年1月23日閲覧)


本稿の執筆者

太田昇蔵(おおた しょうぞう)
株式会社日本経営 部長

【略歴】

大規模民間急性期病院の医事課を経て、2007年入社。電子カルテなど医療情報システム導
入支援を経て、2012年病院経営コンサルティング部門に異動。
医師人事制度と他院ベンチマークデータ・診療科別原価計算を組み合わせて「医師マネジ
メントシステム」と定義し高次化。現在、医師マネジメントが特に求められる医師数の多
いグループ病院・中核病院のコンサルティングを統括。
また、医療情報システム導入支援および組織人事コンサルティング経験を踏まえて
、「DX=D×CX」(デジタル化×組織変革)と定義して真の病院DX支援も推進。
その他、優良病院とヘルスケアスタートアップの共創イベント『病院経営イノベーション
ピッチ』を発案し、その企画・運営責任者としても取り組んでいる。
・第1回病院経営イノベーションピッチ

【学位・登録】
・2005年西南学院大学大学院経営学研究科博士前期課程修了
・2017年グロービス経営大学院MBAコース修了
・2023年~総務省:経営・財務マネジメント強化事業アドバイザー

【講演等】
産経新聞社主催「地域医療DX戦略フォーラム」基調講演(2026年)
第10回JCHO地域医療総合医学会 ランチョンセミナー(2025年)
第75回 日本病院学会 ランチョンセミナー(2025年)

【論文・寄稿】
データドリブンアプローチのための病院DX人材育成(2025年)
建築費高騰時代に,建て替えを実現するための病院DXの活用(2025年)
タスクシフティングのための事務作業効率化(2020年)
事務長は病院IT化を幹部職員育成の場に活かすべき(2014年)
中小規模病院での組織マネジメントの脆弱性がHIS導入への障壁となる(2012年)

株式会社日本経営

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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