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組織開発コンサルティングレポートVol.009「営業部と製作部は一枚岩になれるか?」

  • 業種 企業経営
  • 種別 レポート
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営業部と製作部は一枚岩になれるか? 解説

株式会社日本経営 参与 株式会社ミライバ 取締役 / 江畑 直樹

営業部と製作部の内部対立

とある企業の社長より、お問い合わせをいただきました。

どうやら業績向上に向けて、生産性を高めたいと思われているようです。以前より営業部と製作部の連携が十分ではなく、ここを強化しない限り、販売数は伸びず、サービス開発も進まないと思われています。

社長としては、社内の状況を以下のように捉えています。

  • 営業部と製作部は、対立している訳ではないが、意思疎通が十分に取れているとは言えず、齟齬がある。
  • 営業部は製作に対して、顧客のニーズに応えるために、もっと早く、安く制作してほしいと思っている。
  • 製作部は営業部に対して、無茶な要求ばかりしてくる、製作の専門性を全然理解してもらえていないと思っている。

事業部制を導入し状況打破を図るも・・・

社長は、この状況が続いていることの原因を「組織の構造上の問題」と捉えました。営業部と製作部が部門に分かれているからこそ、分断が生まれていると判断したのです。

そこで社長は、これまでの機能別に分かれた組織を解体し、商材ごとの事業部チームとして編成し直し、各々のチームに営業部と製作部を混ぜることを提案しました。

ところが社長からの提案に、製作部は強い抵抗を示しました。営業部は賛成の人と反対の人に意見が分かれています。社長は、こうした状況になることを想定していましたが、新体制になればいずれ慣れてくるだろうと捉えていました。

しかし、現場の反発は予想を大きく上回るものでした。力技で進めていくと、社長に対する不満が爆発し、内部分裂が起きてしまうかもしれません。この状況をなんとかしてほしいと相談に来られたのです。

組織構造は人の意識に強い影響を与える

組織の構造や環境は、働く人の意識と行動に大きな影響を与えています。また、どのような組織構造にも、メリットとデメリットが存在しています。

そのため、組織内部に問題が発生し、それが一定期間続くようであれば、「この問題を創り出している要因は何か?」と問いを立て、組織の構造を広く、深く観て、私たちの組織構造が生み出している課題に気づくことが重要です。

今回の企業の社長は、とても洞察が鋭い方で、組織内部の問題を個人の問題とせず、組織の構造の問題として捉えています。この点は素晴らしいと言えるでしょう。

認識の違いをすり合わせるには対話しかない

しかし、組織づくりをする際は、構造に着目するだけで留まってはいけません。「正しい現状認識」をして、「正しい順序」を踏んでいかないと構造改革は失敗してしまうリスクが伴います。

今回のケースでは、社長の想定から今起きている問題と対策を整理しました。しかし、営業部、製造部の方々が実際に何を思い、何を大事にしているのかまでは捉えきれていません。内部で問題が生じているときは、憶測だけで判断すると反発や抵抗を引き起こす事になりかねないのです。

社長に視えている現実があるように、営業部には営業部の、製作部には製作部の視えている現実があります。ここが擦り合わない限り、現実を変えていくことは難しいと言えるでしょう。

それぞれの立場がどのように現実を受け止め、解釈し、どのような気持ちを抱いているのかを、対話を通じてシェアし、受け止め合い、絆を深めながら認識の枠組みを拡げていくことが重要です。

プロセスを大切に、丁寧に育んでいく

この会社では、社長、営業部長、製作部長の3名での対話の機会を3回持ち、その後リーダークラスにも広め、3ヶ月ほどの期間をかけて、現状把握と構造改革のためのスケジュール作りを行いました。

このプロセスを通して、お互いのすれ違いを認め合い、関係を育み、共に会社を作り直していくことへの共通ゴールを確認した上で、構造改革を進めています。

一つ一つのプロセスを大切に、丁寧に育んでいくことを大切になさってください。

このレポートの解説者

江畑 直樹(えばた なおき)
株式会社日本経営 参与 株式会社ミライバ 取締役

2003年日本経営入社。主に医療機関、福祉施設の組織創りや幹部・管理職・監督職の研修に従事する。約2年間にわたる医療・福祉のグループ法人への出向を含め、これまでに100以上の医療法人、社会福祉法人の支援実績を有する。
2018年に株式会社ミライバを設立し、組織の風土改革や次世代リーダーの育成、幹部・管理職の視座の向上等をテーマとする組織開発コンサルティングや人材開発研修の支援を行う。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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