端的にまとめられたウリが選ばれやすくなる
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業種
介護福祉施設
- 種別 レポート
ウリを用いた広報資料の制作(前編)
- 介護施設における稼働率向上の実務ポイントをご紹介するシリーズ。
- 「対外的に伝えやすくまとめたウリ」をどのように生かすのか。広報資料制作の基礎的な考え方を整理する。
良くまとめられたウリはどのような場面で効果を発揮するか
SWOT分析などを通じて、自事業所の強みを地域に打ち出すウリへとブラッシュアップさせたのは、対外的に発信し、興味を持ってもらえるようにすることを目的としたからである。とすれば、そのウリもまた、私たちが作って手元に持っているだけでは効果を成さない。積極的に発信し、他者に知ってもらうことに使われる必要がある。
対外的な発信とは、営業活動そのものにほかならない。本レポートの主テーマでもあり、過去の記事も振り返っていただけると理解が深まるのではないか。
簡単に振り返ると、特に介護事業所の営業活動は地域貢献の一環として行われるべきであり、自施設の押し付けではなく、地域の困りごとを聞き、解決する過程で自事業所のサービスを活用いただくという流れを目指したい。つまり、営業では説明、説得を最小限にする代わりに、相手との関係作りを最優先にし、押し付けではなく本当に情報が必要となった際に声をかけてもらったり、資料を紐解いてもらうという流れを大切にしたいのである。
そのような過程にあっては、良くまとめられたウリの重要性は非常に高まる。なぜならば、長々と説明する機会はなくても、自事業所の良さは知っておいてもらいたいからである。
ケアマネジャーなどの紹介者が、いざ介護サービスを必要とした際に、「そういえば認知症対応に強いデイサービスはどこだったかしら」などと思い、サービスを探し始める。その時に、〇〇施設(私たちの施設)は認知症対応に強みがあると思いだしたり、手元にあるいくつかの営業資料の中から簡単に目的となる介護サービスの資料が見つかるようになる。そのような場面で端的にまとめられたウリが選ばれやすくなるからである。
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ウリをまとめるために必要なポイントとは
もうすこし掘り下げてみる。
ケアマネジャーなどの紹介者がいざ介護サービスの紹介を必要とした際に、特別養護老人ホームか、デイサービスか、などとサービス種別で迷うことはあまりない。それを考えることこそが専門性だからである。
しかし、そこから具体的な事業所選択を行うにあたっては、迷いが生じやすい。なぜならば、利用者側には介護サービスを使うにあたってのニーズがあり、そのニーズに応じられる事業所はサービス種別だけでは見分けがつかないからである。
紹介者も利用者との信頼関係がある。ニーズと異なる誤った選択を行い、利用者からの信頼を損なうことはしたくない。だからこそ、ニーズとのマッチングにつなげられる情報の有無があると、非常に重宝されるのである。
このような場合、例えばデイサービスというくくりだけで一覧を眺めることは酷である(現実、そうせざるを得ない状況は多くある)。できれば、〇〇に強いデイサービスというジャンル分けができていることが望ましい。さらに、そこから掘り下げて、どのような理由でその強みを持っているのか、詳細を簡単に調べられるようであればなおよしということになる。
以上から、私たちがせっかくまとめたウリを、さらに対外的に伝えやすくするためにはどのように整えるべきかは明確になってくる。
それは、
①ウリを端的に、一言で説明できるようにまとめられる
②一言で伝えられたウリがなぜ実現できるのかの理由が整理されている
ようになっていることである。
「私たちは認知症利用者が笑顔を取り戻せるデイサービスです。その理由は4つあり、1、2、3、4という理由からです」…このようにまとめられていることが、ウリを発信するための前提となるのである。
早速、皆さんのまとめられたウリもこのように整理されてみてはいかがだろうか。
次回は広報資料の中編として、ウリの資料への落とし込みについて触れていく。
レポートの執筆者
沼田 潤(ぬまた じゅん)
株式会社 日本経営 介護福祉コンサルタント
株式会社の運営する介護付き有料老人ホームにおいて介護職員から施設長までを経験後、北京に駐在し海外事業にも従事。2015年に日本経営に入社、主に介護施設における稼働率向上支援、介護サービスレベルの底上げ支援などを担当する。介護福祉士。
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