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エンゲージメントサーベイとは?実施するメリットや効果的な活用方法をご紹介

  • 業種 介護福祉施設
    病院・診療所・歯科
    企業経営
  • 種別 レポート

働き方や組織と個人の距離感が大きく変化している今、エンゲージメントという言葉が広く知られるようになりました。
エンゲージメントを高めることで、従業員の生産性や定着率向上などのメリットがあることから、企業経営の重要なテーマとして、多くの企業がエンゲージメント向上を目指しています。

一方では、「エンゲージメントが流行しているから」「経営者から指示されたから」「人的資本経営に対応しなければならないから」といった理由でサーベイを実施していて、手段が目的化している企業も少なくないようです。

そこで今回は、エンゲージメントを測定するエンゲージメントサーベイについて詳しく解説します。
そもそもエンゲージメントサーベイとは何か、エンゲージメントサーベイを実施するメリットや効果的な活用方法をご紹介します。

エンゲージメントサーベイとは?

エンゲージメントサーベイとは、従業員のエンゲージメント(関与度、やる気)を定量化して測定するための調査です。エンゲージメントは、仕事の生産性や効率性、従業員の離職率や健康状態などに影響を与えます。

一般的にエンゲージメントサーベイは、インターネットを用いたアンケート形式などで従業員にアンケートを行い、従業員が会社や仕事にどの程度関与しているのかを測定します。主なアンケート項目は、従業員の仕事に対する意見のほか、経営陣や同僚とのコミュニケーション、キャリアの成長機会、報酬、福利厚生についての意見などです。

会社はエンゲージメントサーベイの結果から、従業員のニーズや要望を把握し、改善策を検討することができます。また、従業員エンゲージメントの向上に向けた取り組みを進めることで、業務の生産性や利益の向上といった効果が期待できる他に、従業員が働きがいを持って働ける等、その会社のビジョンの実現に近づくことができます。

とりわけ、人材開発や組織開発がうまくいっていない、優先するべき組織課題が分からない、といった場合にエンゲージメントサーベイは有効です。組織が抱える人事上の課題が明確になり、可視化されるためです。

また、エンゲージメントサーベイにはパルスサーベイとセンサスの2種類があります。

パルスサーベイとは

パルスサーベイとは、数分で回答できる10問程度の短いアンケートを高頻度で行うことで、従業員のエンゲージメントやパフォーマンスを追跡する手法です。パルス(pulse)は、日本語で脈拍を意味します。短い期間で繰り返し調査を行うため、従来の従業員満足度調査や年次のエンゲージメントサーベイよりもリアルタイムでのデータ収集・分析が可能です。また、従業員が感じている問題点や改善点を迅速に把握し、改善策を打つことができる、というメリットがあります。

例えば、従業員のストレスチェックを行う場合によくパルスサーベイが活用されます。従業員のストレスに対しては、速やかにフォローする必要があるからです。また、新入社員のフォローとしても使われます。まだ環境に馴染めていない新入社員の状況を把握することで、早期退職を予防するのがその狙いです。

ただし、パルスサーベイは従業員が慣れてしまってマンネリ化してしまう、というデメリットもあります。

センサスとは

センサスは、大勢の従業員を対象として年に1、2回行われる頻度の低いサーベイです。頻度が低い分アンケートのボリュームは大きく、50〜150程度の設問数であることが一般的です。センサスは対象者も設問数も多いため、多角的に課題を検討できます。また、年に1、2回の頻度ため、従業員にかける負担が少ないこともメリットのひとつです。

その一方、センサスでは分析に時間がかかるため、結果や改善策をなかなか現場に反映できないという問題があり、アンケートをしただけで終わってしまう可能性があります。

エンゲージメントサーベイと従業員満足度調査との違い

エンゲージメンメントサーベイと従業員満足度調査は、類似した調査のため混同されることが多いですが、異なるアプローチを用います。

  • 従業員満足度調査は、従業員が仕事や職場環境にどの程度満足しているのかを測定するための調査です。業務に関連する物理的な条件や報酬などに対し、従業員がどの程度満足しているのかを尋ね、主に働きやすさを調査します。
  • エンゲージメントサーベイは、従業員が会社や仕事に対してどの程度情熱を持っているのかを測定するための調査です。従業員が仕事に対してどの程度の関心を持っているか、自身の仕事の成果や業績に対してどの程度の責任感を持っているかを尋ね、主に働きがいを調査します。

また、エンゲージメントサーベイは、従業員が会社や仕事にどの程度関与しているかを測定するための総合的な調査であるため、従業員満足度調査よりも戦略的なアプローチを取ります。会社はエンゲージメントサーベイの結果から、従業員が必要とする支援や成長機会、報酬などの要素を把握し、従業員のモチベーションや関与度を高めるための改善策につなげることができます。

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エンゲージメントサーベイの実施目的とその効果

エンゲージメントサーベイを実施する目的は様々です。ここからは、それぞれ詳しく解説していきます。

従業員のエンゲージメントの把握と改善策の立案

まず挙げられる目的は、従業員エンゲージメントの把握と改善策の立案です。具体的には、「会社のミッション・ビジョン・バリューがどの程度浸透しているか」「職場での人間関係はどうか」「他社にも自社で働くことを勧めたいと思うか」「成長しているという実感を得られているか」などを尋ねます。そうすることによって、従業員と会社との関係性が可視化されます。

また、従業員が会社や仕事に対して持っている考えは、会社にとって重要な意見です。会社はそれらを活用して、組織の改善策の立案に活かすことができます。

従業員のエンゲージメントの定量的な測定

従業員のエンゲージメントを定量的に測定することも目的のひとつとなります。エンゲージメントの高い従業員は企業にとって非常に貴重ですが、日本の企業では、エンゲージメントの高い社員はわずか5%しかいない、という調査結果があります。

エンゲージメントサーベイを通じて、エンゲージメントの高い従業員が自社にいるかどうかを把握することができ、いない場合にはどうすればエンゲージメントを高くすることができるかを考える必要があるでしょう。

従業員の定着率向上

従業員の定着率向上のためにも、エンゲージサーベイが行われます。自分の意見や要望が反映され、やりがいを感じられる環境に変化していけば、従業員の定着率が向上します。会社に対する従業員のエンゲージメントが高まり、長期的に働くことができるようになれば、企業の安定的な発展につながるでしょう。

組織改善

組織改善のためにエンゲージメントサーベイが行われることもあります。会社の文化・風土に関する様々な組織上の問題に対して、改善策を立案する際、エンゲージメントサーベイの結果が参考になるケースも多いからです。エンゲージメントサーベイでは、会社の中にどのような組織カルチャーがあるのかも可視化されます。

従業員のエンゲージメントの向上

エンゲージメントサーベイの実施によって、従業員のエンゲージメント向上が期待できます。エンゲージメントサーベイの結果から、従業員のニーズや要望を把握し、改善策を検討できるからです。会社が従業員のニーズを把握しつつ、従業員もサーベイ結果に基づき、より良い組織を実現するための対話と実践を繰り返すことで、自分たちがより良い組織を創り上げている感覚が高まり、エンゲージメントが高まっていくことにつながる、というわけです。

生産性や利益の向上

生産性や利益の向上も期待できるでしょう。なぜなら、エンゲージメントの向上によって従業員のモチベーションやコミットメントが高まると、従業員が自分の仕事に責任を持ち、積極的に取り組むようになるからです。その結果、業務における生産性や利益の向上が期待できます。

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エンゲージメントサーベイ実施に向けての検討事項とポイント

それでは、エンゲージメントサーベイを実施するにあたっては、どのような事項を検討する必要があるのでしょうか。主な事項を解説します。

エンゲージメントサーベイを活用する目的の明確化

まず挙げられるのは、目的の明確化です。実施する目的によって、質問の内容や活用方法が変わってくるからです。

エンゲージメントサーベイには、従業員の満足度を把握するだけでなく、生産性の向上や従業員のエンゲージメント向上につなげる目的もあります。目的を明確にしておくことで、質問項目や回答集計の方針を決定し、結果を活用して具体的な改善につなげることが大切です。

例えば、エンゲージメントサーベイの目的が「従業員のモチベーション向上」であるとしましょう。その場合、質問項目は「業務に対するやりがいを感じることができているか?」や「キャリアアップに対する意欲はあるか?」といったモチベーションに関するものを選択する必要があります。

一方、目的が「生産性の向上」である場合は、「業務プロセスに関する改善点は何か?」や「業務効率を高めるために何が必要か?」といった質問項目を選択すると効果的です。

あるいは、「どのような組織上の問題や課題があるかを把握し、部門やチーム単位で改善を進めたい」という目的も多いかもしれません。いずれにしても、最初に目的を明確にすることで、結果を活用するためのフレームワークができあがります。その結果、具体的な行動計画が立てられるようにもなります。

質問項目

質問項目は、慎重に検討することが大切です。質問項目が適切でない場合、従業員のエンゲージメントを正確に把握することができず、改善策の立案が難しくなるケースがあるからです。どのような質問項目を設定すれば、従業員が抱えている問題や改善点が明確になるかをよく考えましょう。質問内容が曖昧だと回答も曖昧になります。その結果、分析が難しくなってしまいます。

また、従業員が意見を自由に発信しやすいよう、質問項目の選択や表現に注意することも重要です。従業員が自分の意見を正直に述べられるよう、プライバシーの保護にも配慮しましょう。

参加の促進

従業員の参加を促進するためには、従業員に対してエンゲージメントサーベイの目的や意義をよく説明しておかなければなりません。また、匿名性を保証することで回答することへの不安や抵抗感の削減につながります。

時間と手間をできるだけ取らせないような配慮も大切です。従業員からの積極的な協力が得られなければ、エンゲージメントサーベイそのものが無意味になってしまいますので、どうすれば従業員に積極的に参加してもらえるのかをよく検討しましょう。

結果の共有方法や取り組み施策の立案方法

結果の共有方法や取り組み施策の立案方法は、予め検討しておきましょう。エンゲージメントサーベイの結果は、従業員や企業の問題解決に向けた具体的な改善策の立案に役立ちます。ただ調査を行うだけではなく、それをどのような方法で従業員にフィードバックし、どのように活用するかが大切です。

また、サーベイの結果は他の情報と組み合わせることで、より有用な示唆を得ることができます。例えば、売上データや生産性データと組み合わせることで、より具体的な改善策を立案するための話し合いができるでしょう。

改善策を立案する際には、人事部や管理職だけでサーベイ結果を分析して改善策を立案するのではなく、サーベイ結果を基にして改善活動を行っていく従業員が主体となって対話を行うことが非常に重要になります。会社が決めた改善策を行うだけでは、やらされ感につながり主体性は生まれにくく、従業員による効果的な対話が出来ないと、サーベイがより良い組織の実現を阻む要因にもなってしまいかねないため注意が必要です。

エンゲージメントサーベイ実施の周期

エンゲージメントサーベイは、一度行えばそれでよい、というものではありません。定期的に実施し、改善策の実施状況や効果を確認する必要があります。実施周期は、月一回、4半期に一回、半期に一回、年に一回など企業の規模や業種、目的によって異なります。

不定期に特定の取組みの前後に行うなど、必要に応じて実施することも可能です。自社にあった頻度はどれくらいか、どのようなタイミングが良いかをよく検討しましょう。

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エンゲージメントサーベイの実施方法

エンゲージメントサーベイは、自社で独自に実施する方法と外部に委託する方法とがあります。自社にとってどちらの方が良いのか、よく比較検討しましょう。

自社で実施するエンゲージメントサーベイ

エンゲージメントサーベイを自社で実施すれば、コストを最小限に抑えることができ、自社に最適化された質問を設定することもできます。

とはいうものの、すべての手続を自社で行わなければなりません。その結果、サーベイは実施しても具体的な施策を検討するまでには至らないケースも多いため注意が必要です。

自社で実施する場合、まずは目的の明確化を行います。エンゲージメントサーベイを実施する目的が明確になったら、実際に設問を作成しましょう。次に、エンゲージメントサーベイをどのグループに対して実施するのか、サンプルを決めます。全社員に対して行う場合もあれば、一部門のみに行う場合もあるでしょう。その際、匿名性や回答の秘密保持などについて確認しておくことが大切です。

サンプルを選定したら、実施方法を決定します。例えば、オンラインアンケート、紙のアンケート、面談形式などです。どの方法を採用するかは、サンプルの特性や組織カルチャーなどによって異なります。

方法が決まったら、アンケートの実施です。回答率を上げるため、アンケートの重要性や回答期限を事前に周知するなど、従業員に対してアンケートの意義をしっかり説明しましょう。

アンケートが終わったら、回答データを集計し、結果を誰もが見やすいように整理します。 結果を可視化することで、各課題点がどの程度問題になっているのか、また、どのような要因が影響していそうなのかを把握できます。 結果のフィードバック方法と活用方法は予め会社としての方針を定めておくことが重要です。目的に応じて適宜グルーピングされた組織単位で、結果を基にした対話と実践によって、より良い組織を実現するために活用することが大切です。

外部に委託するエンゲージメントサーベイ

エンゲージメントサーベイは、外部のサービスに委託することもできます。外部に委託すると、当然のことながらコストがかかります。

外部委託すると、サーベイ実施における手間を省けるだけでなく、様々なノウハウを持った委託者から、より詳細なアドバイスを期待できるというメリットがあります。委託会社によっては、調査後の施策の実行についても伴走しながらフォローしてくれるサービスもあります。

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エンゲージメントサーベイを実施する際の注意点

エンゲージメントサーベイを実施する際には、いくつか気をつけるべきポイントがありますので、それぞれ詳しく解説します。

従業員への説明と理解を得る

まずは、従業員にサーベイの実施を説明し、理解を得ることです。調査の目的や内容、アンケートの回答方法はもちろんのこと、個人情報の取り扱いについてもよく説明し、理解を得る必要があります。従業員のプライバシーを尊重し、個人情報を適切に取り扱うことを伝えましょう。

質問の明確化と配慮

アンケートの質問文は、分かりやすく明確な表現にします。質問文が曖昧では従業員も回答しづらいため、サーベイを実施しても満足な結果を得られない可能性があります。また、質問項目が誤解を招かないよう、言葉の選定にも配慮し、特定の部署や個人に対する批判的な質問は避けるようにしましょう。

結果のフィードバックと活用

調査結果を従業員にフィードバックすることで、従業員の意見を尊重し、信頼関係を築くことができます。調査結果の正確性や信頼性を高め、改善策の策定に役立てるためにも、従業員へフィードバックを行うことは非常に重要ですので、できる限り迅速に行いましょう。

また、アンケート結果にはネガティブな側面が含まれるものもありますが、ありのままの結果を共有しましょう。組織としての解釈は出来る限り含めずに、その結果を踏まえて従業員がどう感じるのかを対話していくことが大切です。

対話と改善の取り組みの実行

サーベイを実施したら、調査結果に基づいて対話を行い、その結果から自分たちが望むありたい姿を明確にし、そのために必要な改善の取り組みを実行することが大切です。サーベイを実施しただけで終わってしまうのであれば、むしろサーベイはやらない方が良いでしょう。

また、改善策を実行することが従業員に感謝の気持ちを示すことにもつながります。改善の取り組みは、継続的かつ効果的な対話が行われないと形骸化しやすくなります。効果的な対話がされるように組織的にトレーニングをしたり、継続的な対話の場を組織的に設定することで後押ししたりすることが形骸化を防ぎ、目的の実現につながります。

サーベイに関する取り組みにおいて「対話」スキルは欠かすことの出来ない重要な要素です。しかし、対話スキルは個々によってレベル差が大きくなりやすいため、対話の質を一定程度担保するために対話ツールを活用することを推奨しています。

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エンゲージメントサーベイを継続的に実施

エンゲージメントサーベイは、一度だけの実施で終わるのではなく、定期的に実施することが望ましいといえます。継続的な実施することで従業員の意見や問題点の変化を可視化し、より効果的な改善につなげることができます。

その際、エンゲージメントの結果の絶対値だけに注目せずに、過去の結果からの変化にも目を向けて対話を行うことが重要です。

また、従業員が調査慣れをしてしまわないよう、調査の意義や目的を正しく伝えることも大切です。

エンゲージメントサーベイ実施後の効果的な活用方法

エンゲージメントサーベイは、様々な目的に活用できます。以下、実施後はどのように活用すればよいのか、それぞれ目的別に解説します。

従業員のモチベーションアップ

サーベイを従業員のモチベーションアップにつなげるには、まず結果を従業員と共有し、フィードバックを提供しましょう。そうすることで従業員は、会社がエンゲージメント向上やモチベーションアップに取り組む意思があると実感できます。

また、サーベイの結果を踏まえて、従業員に対話をしてもらいましょう。

従業員が抱える課題や不満を吐き出す場があること、そして改善に向けて話し合い実行していくこと、これらが組織からも承認された状態になれば、問題が完全に解決される前であっても、従業員のモチベーションは向上します。

大切なのは、組織は変わらないという諦めの状態をつくらずに、自分たちで変えていけるという状態をつくることです。さらに、定期的な対話の場を設けることが組織的に後押しされると、取り組みが継続し、成果につながりやすくなります。

生産性の向上

エンゲージメントサーベイを生産性の向上につなげるには、課題の洗い出し、生産性向上によるビジョンの共有、そして、根本的な原因分析をした上で、改善策を立案する必要があります。サーベイ結果だけを分析していては、抜本的な生産性向上につながる改善策を立案するのは難しいでしょう。結果を基に、会社や組織の全体最適の視点、従業員の持つ個別の視点、両方の視点から根本原因を突き止めて、改善を進めていく従業員が主体となって改善策を立案していきます。従業員が自分たちで考えた改善策を実行することで、より高いモチベーションが生まれるでしょう。

また、生産性向上に関わるエンゲージメントサーベイの結果の変化や推移をフィードバックしましょう。そうすれば、生産性向上に対する従業員の意識が向上したり、結果の変化から改善の工夫につなげられたりすることで生産性向上につながっていきます。

離職率の低下

エンゲージメントサーベイを離職率の低下につなげたい場合は、まずは従業員の意見や考えが言える場、それを聞いてもらえる場をつくり、従業員の意見を尊重した改善策を実施することが大切です。

会社からの一方的な改善策は的を外している可能性がありますし、一つの改善策は別の副作用を生む場合もあるので注意が必要です。サーベイ結果だけでなく、生の声を聞いた上で、どのような改善ができるか当事者を交えて話し合っていくことが離職率の低下につながります。

組織改善

エンゲージメントサーベイを組織改善につなげたい場合は、エンゲージメントサーベイの結果を元に組織改善テーマに応じたプロジェクトチームを組成することが有効です。なぜなら、組織課題は改善を進めていくメンバーの主体性が重要だからです。

全社一律の施策や、特定の役職が改善を進めていく場合、やらされ感によって取り組みが形骸化する恐れがあります。本当に組織を良くしたい、そのために組織課題を解決したいと強い意志をもって行動できる人が必要になりますし、そのような個人がチームとなって支援し合うことが取り組みの成否を握ります。

組織課題は、人が絡んで複雑な問題であることがほとんどです。改善には時間がかかることが多いですが、取り組みを粘り強く継続することが大切であり、そのための人選やチームアップが重要です。

組織サーベイ・組織診断ツールの選び方

エンゲージメントサーベイを外部に委託したい、と考えている人も多いでしょう。

ここからは、どのように組織サーベイや組織診断ツールを選べばよいか、詳しく解説します。

目的に合ったツールを選ぶ

まず重要なことは、自社の目的に合ったツールを選ぶことです。組織サーベイや組織診断ツールには、従業員のエンゲージメントやストレス、リーダーシップなど、様々な分野に特化したものがあります。

例えば、パルスサーベイを行うことに特化したツールもあれば、定点観測に向いたツールもありますし、人事データと連携できるツールもあります。それらの中から自社の目的や課題に合わせ、最適なツールを選択しましょう。

信頼できる企業のサービスを選ぶ

エンゲージメントサーベイでは、従業員の匿名性やプライバシーが守られなければなりません。そのことから、組織サーベイや組織診断ツールの開発・運営企業は情報の取り扱いや、サービスの安定提供に関して信頼性が高いことが求められます。

現在、様々な企業でサービスが提供されていますが、事前に開発企業や運営企業の評判や実績をよく確認しましょう。また、信頼性の高い企業は問題が発生した際にも迅速かつ適切な対応ができるようなサポート体制を整備していることが多いです。

エンゲージメントサーベイの結果の視認性や活用へのつながり

エンゲージメントサーベイの目的は、アンケートを取ることではなく、その結果を活用してより良い組織の実現に役立てることです。そのため、組織サーベイや組織診断ツールの結果はWEBやレポートで目的に応じた活用しやすい状態で確認できるものが求められます。

特に頻度高くサーベイを実施する場合には、極力データ加工不要な状態でタイムリーに確認できることが、運用上の負荷を大きく下げます。委託する際には、結果の視認性が自社のサーベイ活用の目的に対して適切かどうかをよく確認しましょう。

比較検討する際のポイント

組織サーベイや組織診断ツールを比較する際には、以下のポイントに注目しましょう。

目的やカバーする項目

前述したように、組織サーベイや組織診断ツールによってどのような目的に強みを持つかは異なります。各ツールがカバーする項目や、目的とする問題点が自社の課題と合致しているかどうかをしっかり比較することが重要です。

設問の種類や数

組織サーベイや組織診断ツールの多くがあらかじめテンプレートを用意していますが、設問の種類や数は異なります。テンプレートを活用する際には、自社に必要な設問数や種類がカバーされているか、また設問のバリエーションがあるかどうかを比較することが重要です。

サーベイ結果の視認性

サーベイ結果の表示内容や形式は、サービスによって異なるため、自社に適した形式で集計分析結果を受け取ることができるかどうかを比較することが重要です。たとえば、他社との偏差値比較ができるサービスもあれば、人事評価と結びつけることができるサービスもあります。サービスが提供している機能をしっかりチェックし、自社にとって有益な分析機能を有しているサービスを選びましょう。

カスタマイズの可能性

自社の要望に合わせてカスタマイズできるかどうかを比較しましょう。テンプレートの設問だけでは自社の目的に合致しないかもしれません。そのような場合でも、カスタマイズできれば自社に合わせたサーベイが実施できます。

価格やコスト

高機能のサービスは至れり尽くせりですが、それだけ料金も高くなります。一方、価格が安かったとしても、そのサービスが自社の目的に合っていなければ意味がありません。各サービスの価格やコストをよく比較し、自社の予算に合わせた選択を行いましょう。

運営企業のサポート体制

組織サーベイや組織診断ツールの運営企業の信頼性や、サポート体制が充実しているかどうかを比較することが重要です。ただ導入するだけでなく、十分に使いこなすことが大切だからです。導入後にどのようなサポートをしてくれるのかはもちろんのこと、その企業や担当者がどのような価値観や考え方を持ってサーベイサービスを提供しているのか、といった点をよく確認しておくことが大切です。

サーベイは、結果を確認して終わりではありません。結果を分析してテンプレートのような施策を立案してサーベイスコアを上げていく、という簡単な道のりではありません。

フィードバックや対話や実践を行って最後まで活用しきって、はじめて意味のあるものになります。結果を基にした活用をしていくための、フィードバックや対話に関する専門性も確認し、より良い成果が得られる企業を選択しましょう。

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エンゲージメントサーベイをうまく活用してより良い組織づくりにつなげよう

今回は、エンゲージメントサーベイを実施するメリットや効果的な活用方法、組織サーベイや組織診断ツールの選び方について解説しました。

多くの企業では、エンゲージメントサーベイや従業員満足度調査などがすでに導入されていますが、頻繁に調査しているにも関わらず、結果は役員会や管理職の会合以外では一切公開されない、結果を基にした話し合いや結果に応じた取り組みもないなどの声も多くあります。せっかく調査したデータをうまく使いこなせていないとなれば、エンゲージメントはかえって下がってしまう要因にもなりかねません。

また、実施してもうまくいかないという場合、エンゲージメントサーベイを実施する目的が不明確な場合が少なくありません。エンゲージメントが流行しているから、経営から指示されたから、人的資本経営に対応しなければならないからといった理由でサーベイを実施していて、手段が目的化している企業も少なくないようです。

エンゲージメントサーベイは、目的に沿って使った場合に、その本来的な効果を実現することができます。そのため、まずは、「組織でどのような未来を実現したいのか」「誰のどのような言動が引き起こされた状態にしたいのか」を明確にし、その上でサーベイ結果に基づいた取り組み施策について「対話」することが成功のポイントとなります。この対話によって、組織内の文脈が共創され、主体性とコミットメントが高まり、実現したい未来への変化に繋がるのです。

日本経営グループの株式会社ミライバでは、組織の状態や実現したい未来を踏まえ、サーベイ結果を基に「誰がどのように対話するのか」「組織内でどのように対話と取り組みを展開していくのか」というプロセスの設計や、対話の場をファシリテーションします。

従業員満足度調査やエンゲージメントサーベイを導入しているが、やりっぱなしで活用できていない、調査結果からどのように手を付けて改善していけば良いかわからないなど、貴社の組織課題に合わせて最適なご支援方法を提案します。

また、組織づくりのポイントやノウハウをまとめた資料をご提供しています。ぜひ下記フォームからダウンロードして、貴社の組織づくりにお役立てください。

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