施設評価表シートで他事業所との差別化を明確に
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業種
介護福祉施設
- 種別 レポート
情報を整理して評価する①
- 本レポートでは、介護施設における運営実務のポイントについて、現場のコンサルティングの実例を踏まえお伝えする。
- まずは複数回にわたり、介護施設の稼働率向上について具体策を交えたポイントを解説する。
詳細データの整理に役立つ「施設評価シート」
前回、有料老人ホームのタイプを3タイプに種分けした。
これはあくまでも一例であり、デイサービスはデイサービスの、介護老人保健施設(老健)には老健のタイプ分けがある。
それぞれの分け方を自らで見つけていただきたいが、ここではさらに一歩踏み込んで、タイプ分けしたそれぞれのサービスにどのような特色があるのか、自事業所はどのカテゴリに分けられるかについて整理していくことをお勧めする。
分類は分析の目的ではなく過程であり、その先が整理できていないと、営業先に情報を持って行っても使うことができない。
自事業所がどのカテゴリにあり、他事業所はどのような特色があり、差別化を明確に説明できれば、営業先にも有力な情報となる。是非、活用いただきたい。
(施設評価シートの例)
※施設のデータを整理した一例であり、実在の施設とは関係ありません
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施設評価シートにおける★のつけ方例
施設評価シートの評価基準は、当然自由につけてよい。
基準となるとすれば、自事業所の強みがどこにあるかを把握しそちらを中心に組み立てるべきだろう。
目的はあくまでも、他事業所との差別化の有無である。
しかし、評価のつけ方は自由であっても、しっかりとした根拠に基づいた評価であることが示されなければ、単なる身内びいきを星で表わしただけのシートになってしまう。
評価基準を設けた以上は、それを込みで伝えられるように準備すべきであろう。次より、その評価基準について例を示していく。
医療対応度
★★★★★・・ 常勤医師、同一建物内病院あり
★★★★・・・ 24時間看護師常駐
★★★・・・・ 日中看護師常駐
★★・・・・・ 訪問看護提携
★・・・・・・ 医療連携不足
介護対応度
★★★★★・・ 1対1以上
★★★★・・・ 2対1以上
★★★・・・・ 3対1以上(加算取得が多い)
★★・・・・・ 3対1以上(加算取得が少ない)
★・・・・・・ 3対1以上、施設長が現場に介入(見学対応時の服装で確認)
この基準自体は、ある程度自事業所に有利に働くように設定されていてもいいだろう。
しかし、そうであったとしても基準を設けた以上は、他事業所も同じ基準で公正に評価をしなければならない。
特にライバルと目される近隣事業所があるのであれば、しっかりと情報収集を済ませ、差別化がどこにあるのかを把握し、それを表現する方法として使わなければならない。
情報の信憑性を高め、この施設評価シートが「役に立つ」と思ってもらえるようにすることを目標とするのであれば、まずは他事業所の情報収集から始めなければならない。
ここでは、医療と介護の評価基準について掲載したが、その他の基準はどのような評価を用いているのか、引き続きその基準について掲載するので、ぜひ参考にしていただきたい。
レポートの執筆者
沼田 潤(ぬまた じゅん)
株式会社 日本経営 介護福祉コンサルタント
株式会社の運営する介護付き有料老人ホームにおいて介護職員から施設長までを経験後、北京に駐在し海外事業にも従事。2015年に日本経営に入社、主に介護施設における稼働率向上支援、介護サービスレベルの底上げ支援などを担当する。介護福祉士。
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