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地域包括支援センターとの関係作りのための具体的な営業手法

  • 業種 介護福祉施設
  • 種別 レポート

地域包括支援センターとの関係構築

  • 本レポートでは、介護施設における運営実務のポイントについて、現場のコンサルティングの実例を踏まえお伝えする。
  • また、介護施設の稼働率向上について具体策を交えたポイントも解説する。
  • 今回は、地域包括支援センターとの関係作りについて考察する。

地域包括支援センターの地域における役割

地域包括支援センターとは、高齢者の暮らしを地域でサポートするための拠点として、介護だけでなく福祉、健康、医療など様々な分野から総合的に高齢者とその家族を支える機関である。

主な設置主体は市町村などの自治体であり、各地域のセンターには保健師(もしくは経験豊富な看護師)や社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置され、地域に暮らす高齢者の介護予防や日々の暮らしの困りごとなどを様々な側面からサポートすることを主な役割としている。

地域連携の窓口であるので、高齢者本人はもちろんのこと、家族や地域住民の悩みや相談を、適切なサービスや機関と連携して解決を目指す。

介護サービスについても地域資源を総合的に活用するための橋渡し役を担っている。

そのため、事業所規模にもよるが、どこも平均100~200名の支援対象者を抱えている状況である。
センター毎に担当エリアが決まっており、対象エリアの営業先としてぜひ押さえておきたい先である。

主に扱う対象者は要支援者のため、収益面では紹介を受ける旨味が少なく、一見すると地域包括支援センターへの営業活動に時間を割くことは得策ではないように見える。

しかし、地域包括ケアシステムを推進していくうえでは中心的役割を果たす事業所であり、ここでの信頼を勝ち取ることができれば、地域の相談員として様々な介護サービスと良い関係を築けたり、MSWや居宅介護支援事業所のケアマネジャーからの印象が良くなることも期待できる。

長期的な視点で捉えると積極的に関係性を築く努力をするべきだろう。

半径3キロ圏内の地域包括支援センターへの営業活動が大切

自施設から半径3キロ圏内の地域包括支援センターへは毎週訪問すべきだろう。

この「3キロ圏内」とは目安だが重要である。

生活保護対応の特養や高級型有料老人ホームなど特定の目的の入所施設でない限り、約9割とも言われる方が、本人もしくは家族の住所から3キロ圏内にあるサービスを利用すると言われている。

住み慣れた地域で暮らしたい思いや、家族の近くで過ごしてもらいたいという考えからのことだろう。その思いを支える意味でも、まずはごく近隣からの信頼を勝ち取る営業活動は非常に重要と言える。

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地域包括支援センターのケアマネジャーへの営業方法

地域包括支援センターとの関係作りのための具体的な営業手法だが、ほかの営業先と同様、初回訪問で粘るのはNGだ。また、請求業務やケアプラン作成の時期に配慮し、月末月初の訪問は避け、10日から25日までの間で訪問すべきだろう。

週に1回の間隔で訪問することを考えると、セールスマンのような姿勢ではしつこいと嫌がられるだろう。あくまでも地域のお役立ちのために何かできないか、を相談しに伺うのである。

例えば、初回訪問時では、さらっと自施設のパンフレットをお渡しするのみで、あとは挨拶を一言添えてその場を辞去するのもいいだろう。先方も知らない相手と長話をしたいとは思っていないはずである。代わりに、また近いうちに来ますとお伝えし、実際に顔をまだ覚えている1週間の間隔で再訪問するのだ。

2回目訪問時からは、地域のお役立ち目的で動いていること、なにか困りごとがあれば遠慮なく伝えてもらいたいことをさりげなく伝える。できれば名刺には携帯電話の番号も書かれており、いつでも連絡して欲しいという姿勢だとなお良いだろう。

こちらもしつこくなく、簡単にお伝えし、なければすぐに去るという形でよい。これを繰り返すだけで、親しい会話がなかったとしても、自然と時間経過と共に顔見知りになっていくことができる。

顔見知りになっていくことで、初めて困ったことを「相談してみようかな」と考えて貰えるようになるのである。

地域包括支援センターでは、すぐに対応する案件がない場合も多いため、根気強く通い続ける必要がある。それが先方の負担になってしまうと本末転倒であるため、滞在時間は可能な限り少なくしていくことは重要である。

そして、あくまでも地域のための活動であることを強調し、介護相談だけでなく施設のイベントの手伝いなどの依頼も積極的に請け負うようにすべきだろう。

信頼を積み重ねることではじめて相談案件を話してもらえるようになる。
しかしそれはゴールではなく、信頼関係を築くスタートラインである。


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最優先させるべきは地域の利益

案件紹介があった場合、その後のフォロー(経過報告)は何よりも重要と考えるべきだろう。

地域のサービスを利用して、本当に利用者にとって良かったのか、喜んでもらえたかが、地域包括支援センターの職員の関心事であり、その目的のために地域の相談員であるあなたに声をかけたのだ。

ならば、まずは自施設の利益ではなく、地域利益を優先して考えて動くべきであり、それが相手にも伝わればなお良い。

例えば、できれば初回の紹介はあえて他施設を案内するのもいいだろう。

利用者のニーズを最優先に考えていることが伝われば信頼度は自然と高まっていく。
自事業所の利用者となっていただくのは、それからでもまったく遅くはないはずだ。

次回は、同じケアマネジャー所属の事業所だが、居宅介護支援事業所について解説する。おそらく最重要となる連携先との関係作りとはどのようなものかを考える。

レポートの執筆者

沼田 潤(ぬまた じゅん)
株式会社 日本経営 介護福祉コンサルタント

株式会社の運営する介護付き有料老人ホームにおいて介護職員から施設長までを経験後、北京に駐在し海外事業にも従事。2015年に日本経営に入社、主に介護施設における稼働率向上支援、介護サービスレベルの底上げ支援などを担当する。介護福祉士。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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