参加率81%の社員旅行/日本経営のケイエイ

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業種
企業経営
- 種別 レポート

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参加率81%の社員旅行
株式会社 日本経営 / 代表取締役社長 橋本竜也
日本経営の社員旅行参加率
日本経営グループでは2年ごとに社員旅行を実施しています。グループ全体の対象者は約500人で、そのうち(株)日本経営は約200人が対象となります。
参加率は81%です。いかがでしょうか。多いでしょうか、少ないでしょうか?
「最近の若い人は飲み会でも嫌がるのに、社員旅行なんてムリムリ!」
「社員旅行をするくらいなら、旅行券を配って好きなところに行かせてほしいと言われますよ。」
「私は本当はこうした行事が好きなんですけどね。今は難しいですよ。」
当社の社員旅行の話をすると、このようなご意見を聞くことが多いです。社員旅行の賛否はあるので、社員旅行は不要だと思われている方にとってはどちらでもよいことですが、今回は「やってみたいな」とか「必要だな」と思われる方に参考になればと思います。
なお、日本経営グループには税理士や公認会計士といった資格者やシステムエンジニアなど、一般的には個人行動を好むと言われるような職種の方もたくさんいます。また、男性ばかりの会社というわけでもありません。それでも、参加率は81%です。
日本経営グループの社員旅行とは !?
約500人が対象のため、10班に分かれて、今年は6月初旬から7月中旬にかけて実施しました。
行き先は、台湾コース2泊3日(4班)、金沢コース1泊2日(3班)、長島温泉コース1泊2日(3班)です。プライベートの事情で海外には行けない方や、3日も家を空けられないという方でも、国内の1泊2日であれば調整できるという方も少なくないようで、国内1泊2日コースの設定が参加率を押し上げた一因でもあるようです。
現地では自由行動の時間もありますが、1日は全員で夕食をとる、つまりは宴会をすることになっています。国内旅行の場合は、現地でのバス移動、夕食(宴会)となるので、ほとんどの時間をみんなで一緒に過ごします。
なぜ、これほど多くの従業員が社員旅行に参加するのか、もしかしたら相当年齢層が高い会社なのか、そんな疑問も出てきそうですが、当グループの平均年齢は30代前半で、20代の従業員もたくさんいます。では、なぜ80%以上の参加率になるのでしょうか。
社員旅行は日本経営グループの重要な企業文化
私は、従業員同士の連携、相互尊重といった企業文化を経営戦略上の重要な要素として、当社が明確に位置付けているからだと考えています。その象徴的な行事の一つが社員旅行です。実は当社にはクリスマスパーティーやグループ従業員懇親会、サークル活動など、社員旅行以外にも企業文化の維持・向上のためのさまざまな行事があります。
所属会社は違っても、グループ従業員同士が会社の垣根を超えて交流し、総合力でお客様に貢献しようということを社内で発信し続けています。そのことを全従業員が理解してくれているからこそ、進んで参加してくれるのだろうと思います。
社員旅行は福利厚生の一つではあります。ただ、単に福利厚生とだけ位置づけると、参加者の自由にするということになるかもしれません。しかし、当社では企業文化としての従業員間交流を大事な目的としているので、できる限り同じ所属先で固まらないようにしようとか、夕食は一緒に取ろうということになります。そこで仕事の話が進んだり、人間関係が広がったりします。そのため、社員旅行はとても有意義な機会になっています。
ところで、社員旅行はもちろん強制参加ではありません。今回参加しなかった約20%の方は、家庭の事情や、通っている学校の状況などプライベートな理由がほとんどですが、どうしても苦手という方もいます。
苦手な方には無理強いはしませんが、採用説明の段階で、新卒、中途にかかわらず、当社が従業員間の交流を大切にしている会社であり、社員旅行やクリスマスパーティーなどにはできる限り参加してほしいということは伝えています。これも参加率が高い一つの要因でしょう。
また、参加率のことで言えば、費用のことも気になりますよね。会社としては2年間コツコツ積み立てを行い、全額会社負担としています。かなりの金額になりますが、組織文化向上のための投資であり、その効果は十分に出ていると考えています。
社員旅行参加率はKPI?
ここまで、参加率が高い要因をいくつか紹介してきましたが、逆に社員旅行や各種行事の参加率を下げる要因というのがあると思います。つまり、「懇親会や社員旅行など、それほど苦手ではないけれど、うちの会社の行事には参加したくない 」と思わせてしまう要因です。
それは、日常のコミュニケーションや従業員同士の人間関係ではないでしょうか。「あんな人たちと、あんな上司と業務外まで一緒にいたくない」こんな風に思われていたら、各種行事の参加率は下がってしまうし、参加したとしても不満が残るかもしれません。
「最近はそういうことは好まれないよね」と安易に片づけてしまわずに、懇親会に参加したくなるような、良好な職場風土になっているかを考察してみることも重要ですね。もしかしたら、社員旅行の参加率が経営のKPIの一つになるかもしれません。当社はしていませんが…。
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このレポートの執筆者

橋本竜也
株式会社 日本経営 代表取締役社長
組織人事コンサルタント
1999年入社以来、人事コンサルティング部門にて、クライアントの人事制度改革に携わるほか、不採算企業の経営再建にも従事。コンサルティング実績は上場企業から中堅・中小企業まで150社を超える。「良い経営は人を幸せにする、悪い経営は人を不幸にする」を基本スタンスに、人事コンサルティングや経営顧問を行っている。
<著書>
「チームパフォーマンスの科学」幻冬舎2021年12月
「中小企業の未来戦略を具現化する!組織マネジメント実践論」プレジデント社2022年10月
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