医療関連企業向け|「ヘルスケアビジネスへの挑戦」セミナーの振り返り ②異業種からのヘルスケアビジネス参入「DXを活用した新規事業のポイント」

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業種
企業経営
- 種別 レポート
2025年4月18日(金)に弊社主催のセミナー「ヘルスケアビジネスへの挑戦〜未来をつくる新規事業のヒントと成功の鍵〜」を開催し、50名を超える方々にご参加いただきました。当日の講演内容から一部を抜粋してご紹介いたします。
講演テーマ
【第一部】地域共生社会を創造するために企業ができること
講師:株式会社日本経営 部長 太田 昇蔵 氏
【第二部】異業種からのヘルスケアビジネス参入「DXを活用した新規事業のポイント」
講師:KDDI株式会社 サービス・商品本部 シニアエキスパート 田口 健太 氏
【第三部】病院市場への新規参入と商品開発の壁、突破方法
講師:SMAHOS 友澤 洋史 氏
第二部:異業種からのヘルスケアビジネス参入「DXを活用した新規事業のポイント」
第二部では、KDDI株式会社の田口健太氏からヘルスケア市場の捉え方や異業種参入時のポイントや留意点などについて解説していただきました。内容の一部をご紹介します。
ヘルスケア産業の中核となる医療・福祉分野は、他産業と比較して実質国内生産額や年平均成長率が高く、企業にとって非常に魅力的な領域です。ヘルスケア産業には、公的保険内の市場と公的保険外の市場が存在し、健康予防、医療、介護などの領域が含まれます。
公的保険内の市場では『サービスの質・量(Quality&Quantity)』『費用・財源(Cost)』『利用しやすさ(Accessibility)』の鼎立が必要となります。国はこのQCAの鼎立に向けて様々な施策を講じており、近年では地域包括ケアシステムの構築による効率的な供給体制の実現を目指して取り組みを進めてきました。
これまでは主に供給側の効率化に焦点があてられてきましたが、新興感染症COVID-19の流行により、供給側・需要側に多様な課題と変化がもたらされました。アフターコロナ時代は、供給側・需要側双方へ働きかける施策が重要であり、双方の改革によって、Q(量・質)を損なうことなく、C(費用)とA(アクセス)の最適化を図ることが求められています。
一定水準のQ(質・量)を維持しつつ、安価なC(コスト)でサービスを提供することや、制限付きのA(アクセス)で患者体験の最適化を実現することなどは、まさにDXの得意領域であり、企業に期待されている点です。
異業種がヘルスケア市場に参入する際に特に注目すべきポイントとして、以下の4点が挙げられます。
①「どのようなペイン(課題・痛点)があるのか?」
②「マネタイズは可能か?」
③「法規制上の問題はないか?」
④「公衆衛生・倫理などの観点で課題はないか?」
たとえば、「ペイン」に関しては、供給側と需要側のどちらにアプローチするのかを明確にし、誰の、どのようなペインに対してソリューションを提供するのかが重要な検討事項となります。
ヘルスケア市場においては、供給側・需要側のどちらをターゲットにするにしても「マネタイズの壁」が存在しています。医療機関などの供給側は公的財源による制約を受ける市場であるため、資金の確保が難しい傾向にあります。DX領域においては、すでに多数の事例が登場し、市場が細分化されており、一つの市場規模が数十億円程度に留まるニッチな領域が多くなっています。市場規模の点から事業の急成長に制約がかかる可能性があり、事業の拡大よりも一定規模の市場の中で利益の最大化を図るという選択も考えられます。
一方、需要側においては、ターゲットの母数(健常者>高リスク者>患者)とペインの深さ(健常者<高リスク者<患者)が逆転しています。「健常者は予防にお金は払わない」とも言われており、個人を対象にした大規模市場を狙うのか、あるいは支払い主体を変えるのか、戦略的な判断が必要です。
KDDIでは、自社の強みである個人との接点を活かし、需要側のDXにアプローチしており、健康から医療までの体験を多角的に支援するトータルヘルスケアアプリ(auウェルネス)を展開しています。また、2023年には「au薬局」を開業するなど、公的保険内の大規模市場への参入も進めてまいりました。こうした取り組みにおいては、パートナー企業との連携が不可欠であり、様々な企業と連携を図っていきたいと考えております。

弊社ではこれまで累計で1,600件を超える病院の経営支援を行ってまいりました。その知見やネットワークを活用し、病院・診療所・介護施設を支える医療関連企業のご支援や新規に参入する企業の支援を行っています。弊社のメイン事業は病院経営コンサルティングであることから、あくまでも病院・介護施設などの立場に立ち、ヘルスケア業界で“真に役立つテクノロジー・サービス”に限ってご支援しています。
ご関心があれば、下記サービスラインナップ・専門サイトをご覧ください。
【医療関連企業向け商品企画・開発支援】
https://nihon-keiei.co.jp/service/enterprise/healthcare-ent/marketing/
【医療関連企業向けサービスラインナップ】
https://www.wic-net.com/images/search/ppt/p-529.pdf
【医療関連企業向け特設サイト】
https://medical-marketing.nkgr.co.jp/
本稿の執筆者
坂本 浩幸(さかもと ひろゆき)/株式会社日本経営 戦略コンサルティング部
株式会社日本経営
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