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いい人であり続けられる職場/日本経営のケイエイ

  • 業種 病院・診療所・歯科
    介護福祉施設
    企業経営
  • 種別 レポート

(株)日本経営での取り組みや私が考えていることなどを発信していきます。
皆様の経営のヒントや新たなアイデアなどにつながれば幸いです。

日本経営のケイエイ
~いい人であり続けられる職場~

株式会社 日本経営 / 代表取締役社長 橋本竜也

いい人であり続けられる職場

当社は社員のほとんどを新卒で採用してきた、コンサル会社としては珍しい会社です。

一方で、キャリア採用も積極的に進めており、この5年くらいは特に力を入れています。以前は新卒中心のカルチャーが強すぎて、キャリア採用でせっかく入社してもらってもうまくなじめずに退職するということも少なくありませんでしたが、色々と改善を進めており、定着率も上がってきました 。

キャリア採用で入社した社員に当社の印象を聞くと、「とてもいい人が多い」という答えがよく返ってきます。どういうところが“いい人”なのかと聞くと、足を引っ張らない、陰口を言わない、派閥がない、質問したら快く答えてくれるなどが挙がります。「こういうことは当たり前のことではないですよ。」と言ってくれる社員も多く、ありがたいことです。

手前味噌ではありますが、どうして日本経営には「いい人」が多いのだろうということを考えてみました。当社の採用が人間性を過度に重視しているということはありませんし、他社に比べて人間性が優れた人が応募してくるということでもありません。

世の中のほとんどの人は「いい人」なのだろうと思うのですが、組織というのは「いい人」を続けられなくさせる力学が働くものです。当社はそれを自覚していて、「いい人であり続けられる職場・企業文化」を連綿と磨き続けてきたということが言えると思います。それらの取り組みをご紹介します。

まず当社では、利他に尽くすこと、自責で考えること(人のせいにしないこと)を人材育成の柱として、人間力の向上に全社員で取り組んでいます。これは一過性の掛け声とか、表題ではなく、トップからのメッセージや仕事中のやり取りなどを通じて日頃から相当徹底しており、意識と行動を高めています。

また、親御さんをご招待しての入社式、ご家族をご招待してのクリスマスパーティーなど、身近な人から幸せにしていこうという価値観が実感できるような行事も継続しています。利他と自責の実践を通じた人間力の向上に取り組んでいることが、ベースとして“いい人”作りにつながっているのかもしれません。

次に、全社の連帯感を高め、派閥を作らない、風通しの良い組織風土づくりです。組織の風通しが悪いと、現場の問題と言われますが、一番の問題は上層部です。上層部の風通しが良くて、現場の風通しが悪いという組織はほとんど見たことがありません。(現場は連携がよいのに上層部は悪いというケースはよくありますね)風通しの良い組織づくりは、まず上層部からです。

当社では毎週の役員ミーティングは当然のこと、月1回の集中会議や年数回の合宿を通じて役員の相互理解を高めています。また、役員と幹部管理職との交流も多く実施しています。さらに、全社員の取り組みとしては、一つのテーマについて数名に分かれて感想を共有する会を年6回程度、拠点ごとの懇親会を年3~4回、社員旅行を2年ごとに実施しています。風通しの良さと社員の協働・協力が当社の競争力において重要だと考えているので、コミュニケーションの活性化に力を入れています。

最後に、誰もが勝者になれる人事制度です。人事評価においては、評価区分ごとの定員割合は設定していません。私はよく「全員が最高評価になってほしい」と伝えていますが、最高評価の定員はありませんから、理論上は実現可能です。その時は、お客様が価値を得られており、当社の業績もよいはずで、社員の給与にも大きく還元できるのですから、誰にとっても幸せです。またポストを奪い合うということもありません。確かに既存のポストは限られますが、新たな事業やサービス、拠点などを自分で立ち上げれば、その人が新たなポストのリーダーになれるからです。だから誰かの足を引っ張ることを考えるより、自分が新たなポストを作ることを考えるほうがよいのです。0→1が得意ではない人もいるかもしれませんが、会社から発信されるチャンスや企画に手を挙げるということでもいいのです。

当社では組織力が企業競争力の重要要因だと考えています。そのため、派閥化や足の引っ張り合いなどが起こるような仕組みや風土はできる限り排除しようと努めています。一方で、風通しの良さや協力関係の向上のために必要なことは何かを常に模索して、実行しています。

ほぼすべての社員は“いい人”でしょうし、モチベーションだってあります。ところが、モチベーションを下げる言動が飛び交い、“いい人”でいられなくなるような仕組みや風土がある会社が少なくありません。

まずはそうした言動や仕組みをなくしていくこと、そのうえで誰もが活躍できる組織づくりをしていくこと。これが大事な順序だと考えて取り組んでいます。

このレポートの執筆者

株式会社 日本経営
代表取締役社長 橋本竜也

1999年入社以来、人事コンサルティング部門にて、一貫して病院・企業の人事制度改革に携わるほか、不採算病院の経営再建にも従事。病院のコンサルティング実績は100病院を超え、全国の医師会、金融機関、各種団体等での講演も多数。
公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 医業経営コンサルタント第7437号
第21回日本医業経営コンサルタント学会 最優秀賞(2018年11月)
第25回日本医業経営コンサルタント学会 最優秀賞(2022年10月)
<著書>
「チームパフォーマンスの科学」幻冬舎2021年12月
「中小企業の未来戦略を具現化する!組織マネジメント実践論」プレジデント社2022年10月

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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