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親御さんを招待しての入社式/日本経営のケイエイ

  • 業種 病院・診療所・歯科
    介護福祉施設
    企業経営
  • 種別 レポート

(株)日本経営での取り組みや私が考えていることなどを発信していきます。
皆様の経営のヒントや新たなアイデアなどにつながれば幸いです。

日本経営のケイエイ
~親御さんを招待しての入社式~

株式会社 日本経営 / 代表取締役社長 橋本竜也

親御さんを招待しての入社式

当社では今年、15名の新卒者を迎え入れることができました。本当はもっとたくさん入社してほしいところですが、今の採用競争は本当に厳しく、当社においても苦戦しています。そんな中入社してくれた大切な新入社員たちですので、より一層大事に育てていきたいと思っています。

さて、日本経営グループではグループ会社合同で入社式をしていますが、入社式には親御さんをご招待していることが、他社にはない大きな特徴となっています。本社がある大阪で入社式を実施していて、当然ながら交通費、宿泊費は会社が負担しています。親御さんが出席しやすいように3月の最終土曜日を入社式にしているため、今年は3月30日に実施しました。

もちろん任意参加ですが、例年、多い年には8割~9割、平均すると6~7割程度の社員の親御さんがご参加されます。コロナ禍はオンラインでしたが、今年は久々に対面参加していただくことができました。

ご参加された方々からは次のようなご好評をいただいています。
 ・子どもが就職する会社の雰囲気が分かってよかった
 ・子どもが本当の意味で自立する場に立ち合えてよかった
 ・子どもの就職後について不安もあったが、会社に質問できてよかった

入社式に親御さんをご招待するのは、最近始めたことではありません。私は25年前に入社しましたが、その時は父が参加してくれました。少なくとも30年以上前から積み重ねてきた当社の伝統の一つです。

「成人しているのに親に参列させるというのはどうなのか」とか「親離れ、子離れできていないようでおかしい」とか「そういう時代じゃないだろう」といった意見もあると思いますし、「親子関係が悪かったらどうするんだ」といった意見を伺うこともあります。

こういった否定的な意見や考えがあることも重々承知していますが、当社は「全従業員とその家族の幸福を実現する」という基本理念の実践の一つとして、ポリシーを持って親御さんを招待しての入社式を実施しています。
また、当社では人材育成の考え方の柱として「親孝行の実践」を掲げ、従業員の実践を促しています。これは、「自分のもっとも身近で、お世話になっている両親、家族を喜ばせることができない人が、他人様を喜ばせることができようか。まずは自分の身近な人から幸せにしていこう。」という哲学があるからです。その実践の一つとして、新入社員の最初の給料の一部は親御さんへのプレゼントに充てるように促し、そのための帰省交通費を会社が負担しています。

このように、親孝行を企業文化として、また企業哲学として重視している当社においては、世間からどのように見られるとしても、親御さんの入社式へのご招待は当然の取り組みの一つなのです。

実際のところ、入社式に親御さんが参加されることで、様々なメリットもあります。例えば、次のようなことです。

・従業員の親子関係がより円滑になる。
・親御さんが会社のことを知ったうえで従業員を応援してくれる。定着率に効果がある。
・親御さんの不安や不信感が拭え、親御さんからのクレームが来ない。

また、今はとても仲の良い親子も多いですから、純粋に喜んでくれて、たくさん写真を撮っておられるというのも嬉しいことです。

ただ、繰り返しになりますが、「入社式に親ですかぁ~」といった意見があることも確かです。それでも企業においては、企業文化や哲学を踏まえて、誰が何と言おうと取り組むことというのがあるのではないでしょうか。
価値観の多様化が進んだり、色々な見方が広まったりしている今だからこそ、組織運営において本当に重要なことはメリット・デメリットではなく、哲学レベルで考える必要があると思います。

当社において、親孝行の実践や親御さんの入社式への招待は、それにあたります。定着率向上や親からのクレームの抑制といった効果は確かにあると思いますが、そうしたメリット・デメリットの問題ではなく、日本経営が日本経営らしく顧客に貢献していくために必要な組織作りとして取り組んでいます。

皆様の会社にはどのような取り組みがあるでしょうか。他社が何をしているかよりも、他社がどうしてそうしているかを知ることは、大きな学びになると思います。私も他社の取り組みからそうしたことをたくさん知りたいと思います。

このレポートの執筆者

橋本竜也
株式会社 日本経営 代表取締役社長
組織人事コンサルタント

1999年入社以来、人事コンサルティング部門にて、クライアントの人事制度改革に携わるほか、不採算企業の経営再建にも従事。コンサルティング実績は上場企業から中堅・中小企業まで150社を超える。「良い経営は人を幸せにする、悪い経営は人を不幸にする」を基本スタンスに、人事コンサルティングや経営顧問を行っている。
<著書>
「チームパフォーマンスの科学」幻冬舎2021年12月
「中小企業の未来戦略を具現化する!組織マネジメント実践論」プレジデント社2022年10月

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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