組織活性化・人事評価コンサルティングレポート「パワハラと指導」
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業種
病院・診療所・歯科
介護福祉施設
企業経営
- 種別 レポート
ハラスメントというパワーワード
- 組織の活性度は、意欲と満足によって測定される。
- 本レポートでは、組織活性化・人事評価のポイントについて、現場のコンサルティングの実例を踏まえてお伝えする。
研修のなかでは、パワハラについて触れる
私どもはコンサルティングや講座などで、管理職向けに部下育成研修を実施しています。
私も講師を担当することがあるのですが、研修のなかでは、パワハラについて触れるようにしています。
職場におけるハラスメント対策については、厚生労働省も対応を呼びかけています。
パワハラ研修を企画したり、相談窓口を設置したりする法人も増えてきました。
パワハラと指導の違い
パワハラは、
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
の6つに分類されています。
特に②の精神的な攻撃については、部下を指導しなければならない管理職としては、どこからがパワハラでどこまでが指導の範囲なのか悩まれているかと思います。
パワハラと指導の違いについて、弁護士に見解を仰いだところ、この2点が判断基準になるようです。
- 社会通念上許容される限度を逸脱し、相手方の人格権を侵害する違法性を有する行為と言えるかどうか。
- 行為の態様、程度、目的、注意・指導の場所、時刻等に照らして、総合的に判断される。
やはり明快な境界はないからこそ、管理職としては中々対応が難しいところでしょう。
指導しない、放置ハラスメント?
こうしたことから、指導リスクが増大し、パワハラ過敏症のような状態になってしまっている組織や管理職が増えているように思います。
確かに、ちょっときつく指摘すれば、やれパワハラだ、といわれてしまう。
社会的にもそういう風潮は高まりました。
職場のパワハラは確かに無くさないといけません。
ですが、管理職がリスクを恐れて何も指導をしなくなってしまうのも、組織として健全ではありません。
そのうち「あの上司は私のことを指導してくれず、放置ハラスメントですか…?」なんてことを言われることが出ないとも限りません。
ですので、私は管理職研修では、「指導にはリスクを伴う。パワハラにおける正しい知識も知っておかなければならないが、ぜひ勇気をもって指導は行って頂きたい。」と言うようにしています。
上司部下間の信頼関係が重要なポイント
ポイントは、言うまでもなく「上司部下間の信頼関係」です。
信頼関係が築けていれば、部下も指導として受け止めてくれる。
しかし、信頼関係が築けていなければ、どんな指導も嫌味に聞こえ、それが続くとパワハラと受け止められてしまう。
信頼関係があるかないかは重要なポイントでしょう。
昨年、体操の宮川紗江選手と速見コーチのパワハラ騒動がありました。
この騒動のなかで、身体的暴力は振るわれたのは事実だが、宮川選手はパワハラだと思っていないと述べていました。
この二人の間には信頼関係はあったのだと思います。
ハラスメントという言葉はパワーワードです。
何かにつけてハラスメントと言われてしまえば、もう言えなくなってしまうような力がこの言葉にはあります。
パワハラは確かに無くさなければなりませんが、管理職には信頼関係をはぐくみ、勇気を持って指導にあたってほしいと思います。
レポートの執筆者
高園忠助(たかぞの ただすけ)
株式会社 日本経営 組織人事コンサルタント
2006年4月入社。病院・介護福祉施設への組織・人事全般が専門分野。2014年11月よりクラウドサービス「人事評価Navigator」の開発に着手し、開発責任者、事業開発責任者となる。2017年4月からの1年間医療機関に出向し、収益改善、組織改革、建替基本構想策定を実施。2018年10月福岡オフィス長に就任。
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