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賃上げ対応と働き方改革の両輪で挑む、医療機関の人事戦略/約3分で耳ラーニング

  • 業種 病院・診療所・歯科
  • 種別 レポート

賃上げ対応と働き方改革の両輪で挑む、医療機関の人事戦略

日本経営の耳ラーニング。今回のテーマは、「賃上げ対応と働き方改革の両輪で挑む、医療機関の人事戦略」です。

以前より、診療報酬改定などにより医業収益は上がりにくくなっているほか、新型コロナウイルス感染症の補助金がなくなり、病院経営はより厳しい状況を迎えています。そのような中で、人事戦略や賃上げへの対応は、医療機関にとって大きな悩みの種となっています。医療機関にとって避けられない対応として、次のようなことが考えられます。

賃金制度の見直し

1つ目は、「賃金制度の見直し」です。

これまで、多くの医療機関では、収益や職員のパフォーマンスに関わらず、毎年一律に昇給が行われてきました。今後もこの給与のベース部分を引き上げていくのであれば、給与の伸びについては、十分に検討する必要があります。

現実には、各職員に求められる役割や責任、パフォーマンスに応じて、賃金制度を見直さざるを得ないでしょう。どの職員の賃金を積極的に引き上げ、逆にどの職員は引き上げ幅を抑えるのかといった見極めを、実際にしなければならなくなるはずです。

働き方改革と、業務効率化

2つ目は、「働き方改革と業務効率化」です。

これまで日本において、一般的な一日当たりの所定労働時間は、8時間とされてきました。しかし、雇用環境の多様化や医師の働き方改革により、労働時間に対する考え方は、より柔軟性が求められるようになっています。

そのため、労働時間やシフトの見直しは、医療機関にとっても避けて通れない課題です。例えば、1日8時間の勤務を7時間に短縮しても、これまでと同様の成果を出す。これによって、支払う賃金の総額を抑え生産性と業務効率を高める、といったようなことが重要になります。しかし、このような働き方改革を推進し労働生産性を高めていくためには、まずは実際の労働時間を適正に把握することが求められます。

また、医療職から他の職種へのタスクシフトも、より本格的に進める必要があります。標準業務の効率化を検討するとともに、必要な人材と設備に積極的な投資を行うことで、働き方改革と業務の効率化を推進することができます。

攻めと守りの両輪が必要

今回のまとめです。

最低賃金の計算式は、「月給」を「月平均所定労働時間」で割ったものになります。賃金の引き上げについては、この計算式の分子にあたる「月給」への対応となります。法令順守の観点から考えても、この賃上げへの対応は、「守り」として重要です。

また、計算式の分母にあたる「労働時間」を短縮することは、生産性の向上と切り離せません。医師の働き方改革や、タスクシフト・タスクシェアを前提として、人材に対するメリハリの効いた投資が、「攻め」として重要です。

最低賃金への対応は、単純に賃金を引き上げるだけでは、もはや対応できません。「攻め」と「守り」をしっかりと両輪で進めていくことが、医療機関にも求められています。

病院の人事制度・組織開発と言えば、日本経営!

今回の解説

馬渡美智(まわたり みさと)
株式会社日本経営 組織人事コンサルタント

従業員数500名規模の事業所で、総務・人事業務に従事した後、日本経営入社。労務管理体制の調査・整備業務、組織活性化支援、人事制度の導入・運用支援、管理職研修、職員研修等に従事している。自治体の医療人材の流出入に関する調査も実施。社会福祉協議会、各種団体等での講演やセミナーも多数行っている。社内においては、子育てをしながら経営コンサルタントとして働くモデル人材として活躍。社会保険労務士有資格者。

株式会社日本経営

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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