社会保険適用範囲の拡大へ:医療機関は多様な働き方への支援を!/約3分で耳ラーニング
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業種
病院・診療所・歯科
- 種別 レポート
2024年10月から社会保険の適用範囲が拡大され、年収106万円を超える短時間労働者が社会保険加入義務の対象になりました。これにより、従業員数が51人以上の企業で週20時間以上働くパートタイムやアルバイト労働者も、新たに社会保険に加入することになりました。
新たな社会保険料の負担と、財務計画や人事管理の見直し
今回の制度変更により、企業には新たな社会保険料の負担が発生し、財務計画や人事管理の見直しが求められます。適切な人材配置や非正規雇用者のキャリアアップは、企業の持続的な成長に大きく寄与するといえるため、企業は制度変更を人材基盤強化の機会と捉え、人事管理やキャリア支援の充実に努めることが求められます。
年収の壁・支援強化パッケージ
政府は、年収が一定額を超えると特定の社会保険や税制上の優遇が受けられなくなるラインである「年収の壁」に直面している人々に向けて、働きやすい環境を提供することを目的として、「年収の壁・支援強化パッケージ」を打ち出しました。これにより、より多くの人が安定した雇用を得ることが期待されています。このパッケージのうち、キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)では、事業主が新たに社会保険の適用と収入増加の取り組みを行った場合、労働者1人あたり最大50万円が助成されます。
パートタイム従業員の保険料負担や就業形態の見直し
医療機関では、パートタイム従業員の保険料負担や就業形態の見直しが求められます。まず、加入対象者の把握と要件確認を行う必要があります。特にパート従業員の労働時間や収入管理を徹底することが重要です。次に適用要件を満たす従業員への適切な対応を行うことが求められます。また、手取り収入の減少を防ぐため、先述の助成金を活用し、従業員の働き方の自由度を高めることも検討すべきです。行うべきことは多くありますが、「年収の壁・支援強化パッケージ」は、働き方の自由度を高め、労働力不足への対応策として活用できるでしょう。
適切な人材配置や非正規雇用者のキャリアアップ
このほか、医療機関は社会保険の適用範囲拡大や税制改正を通じて、多様な働き方を支援する仕組みを整え、人材不足に対応することが重要です。適切な人材配置や非正規雇用者のキャリアアップは、企業や医療機関の持続的な成長に大きな影響を与えるでしょう。
病院の人事制度・組織開発と言えば、日本経営!
今回の解説
馬渡美智(まわたり みさと)
株式会社日本経営 組織人事コンサルタント
従業員数500名規模の事業所で、総務・人事業務に従事した後、日本経営入社。労務管理体制の調査・整備業務、組織活性化支援、人事制度の導入・運用支援、管理職研修、職員研修等に従事している。自治体の医療人材の流出入に関する調査も実施。社会福祉協議会、各種団体等での講演やセミナーも多数行っている。社内においては、子育てをしながら経営コンサルタントとして働くモデル人材として活躍。社会保険労務士有資格者。
株式会社日本経営
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