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令和8年度診療報酬改定:賃上げ支援事業とベースアップ評価料の戦略的活用と賃金制度

  • 業種 病院・診療所・歯科
  • 種別 レポート

令和8年度診療報酬改定を見据えた「賃上げ支援事業」「ベースアップ評価料」の戦略的活用と賃金制度見直しのポイント


現在、医療現場を取り巻く環境は、深刻な人手不足や物価高騰など、病院経営の基盤に関わる多くの変化に直面しています。本レポートは、医療機関の経営を担う皆様に、現在実施されている「賃上げ支援事業(補助金)」と、令和8・9年度の「ベースアップ評価料」の制度的な繋がりをご理解のうえ、今後の持続可能な経営に向けた「賃金制度の見直し」を進めていただくための参考資料として作成いたしました。

株式会社日本経営は、全国の医療機関・介護施設の経営支援を専門とするコンサルティングファームです。ベースアップ評価料を踏まえた賃金制度設計において、業界トップクラスの実績と専門ノウハウを有しており、本制度の活用に関してもご支援いたします。

賃上げ支援事業からベースアップ評価料へのシームレスな移行と実務対応

令和7年12月から令和8年5月までの賃上げ支援事業と、今後の診療報酬改定によるベースアップ評価料は、連続した一連の支援として捉えることが重要です。株式会社日本経営では、この移行局面における実務対応を一貫してサポートしています。

  • 止血措置としての賃上げ支援事業:今回の賃上げ支援事業は、6月の診療報酬改定に伴うベースアップ評価料の実施に先んじて、足元の状況に対する止血措置として、ひとまず手当てされたものです。
  • シームレスな賃上げの実現:「令和7年12月~令和8年5月までは賃上げ支援事業を活用して賃上げを実施し、6月以降はベースアップ評価料によってその賃上げを維持・拡充していく」形が基本的な枠組みとなります。
  • 補助金の消化:この補助金は、原則として5月までに給与として支払う必要があります。
  • 令和8年4・5月の取り扱い:令和8年4月・5月のベースアップ評価料については現行制度の通りに支給される見込みです。令和8年度は5月までと6月以降でルールが異なることになりますが、計画書等の取り扱いについては今のところ未定となっています。

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賃上げ支援事業の配分における留意点と法人のリスク回避

賃上げ支援事業を活用して賃金改善を行うにあたり、実務上、以下のルールと配分方法にご留意いただくことが得策です。株式会社日本経営では各法人の状況に合わせた個別シミュレーションを提供しています。

  • 一時金と月給の組み合わせルール:補助金は、12月~3月までの最大4か月分については一時金での支給が認められています。しかし、4月および5月については、基本給や毎月決まって支払われる手当(月給)で支給しなければなりません。そして、この4・5月で引き上げた月給は、原則として6月以降も維持または引き上げしていく必要があります。
  • 法人の持ち出しを避けるためのシミュレーション:仮に、4・5月分で引き上げた月給が、6月以降のベースアップ評価料収入を上回った場合、その差額は法人の持ち出しとなります。これを避けるためには、4・5月に支給する月給分を若干低めに設定し、その分一時金を増やしておくのが得策と考えます。

(例:補助金が6,000万円、従業員数400名の場合) 一人当たり25,000円/月(6,000万÷400名÷6か月)になるため、4・5月は月20,000円の手当を支給し、残り110,000円を12月~3月分として一時金で支給するといった方法です。

  • 極端な配分に対する注意点:実施要綱等でも極端な配分はできないとされており、あくまで調整の範囲内にとどめ、月給の引き上げを極端に抑えるといった対応は推奨されません。
  • 先行賃上げに対する特例:令和7年12月の賃金水準が令和7年3月31日時点と比較して2.0%を上回って実施されている場合は、令和7年12月から令和8年5月までの間の当該2.0%を上回る部分に本事業の支給額を充てることが認められています。

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令和9年度「本格稼働」に向けたベースアップ評価料の構造

令和8年度の診療報酬改定は、深刻な人手不足への対応として、国が「賃上げ」を強力に推進する歴史的な転換点となります。株式会社日本経営は、この改定の全体像とポイントをいち早くキャッチアップし、医療機関が最大限の算定収入を得られるよう支援しています。

特に注目すべきは、令和9年6月を制度の「本格稼働」と位置づけ、点数が大幅に引き上げられる点です。

【外来・在宅】ベースアップ評価料(Ⅰ)の「点数2倍」

外来・在宅医療の現場における賃上げ原資となる評価料(Ⅰ)は、令和9年6月を境に所定点数が100分の200(2倍)へと引き上げられます。

区分令和8年度~令和9年5月令和9年6月以降(本格稼働)
初診時17点(継続賃上げ:23点)34点(継続賃上げ:40点)
再診時等4点(継続賃上げ:6点)8点(継続賃上げ:10点)
訪問診療時(同一建物以外)79点(継続賃上げ:107点)158点(継続賃上げ:186点)

表中の「継続賃上げ」とは、継続的に賃上げに取り組む旨を届け出た医療機関を指します。このステータスを維持することは、最大効率で原資を獲得し、採用競争力を高めるための「経営上の必須条件」と言えます。令和8年6月から確実に加算を取得しなければ、令和9年6月以降、本来獲得できるはずの支援額の多くを喪失することになりかねません。

【入院】評価区分の大幅な拡大

評価料(Ⅰ)だけで賃上げ必要額をカバーできない病院に対し、国は令和9年6月から評価区分を大幅に拡充します。

  • 入院ベースアップ評価料の上限拡大:入院ベースアップ評価料の上限が、現状の165段階から500段階へ拡大されます。これにより、職員数が多い大規模病院や、高い賃上げ率を目指す意欲的な病院が、そのコストを診療報酬でより確実にカバーできる仕組みが整ったことを意味します。

さらに、本改定では「継続的な賃上げを行わない病院」に対する減算規定(ペナルティ)も設けられています。これは、国が「医療現場の処遇改善は経営上の重要課題である」という強いメッセージを発しているものと捉え、前向きな組織変革の推進力として活用していくことが望まれます。

ベースアップ評価料を「投資」に変える戦略的配分

こうした潤沢な評価料を手にした際、安易に「全職員への一律分配」を行うことは、学術的エビデンスに基づけば、組織の意欲低下を招くリスクが指摘されています。高いストレス環境で奮闘する優秀な層が「過小評価されている」と感じることを防ぐため、日本経営グループでは以下のステップで原資を戦略的に活用することを推奨しています。

  1. メリハリのある配分:職能要件や役割等級に基づき、昇給額に明確な傾斜を設け、ハイパフォーマーへの正当な評価を示す。
  2. 公平性と透明性の確保:賃上げのロジックを言語化し、職員に対する十分な説明を行うことで、特に若手層の納得感を高める。
  3. 金銭報酬と動機付けのセット運用:昇給のタイミングを昇格人事や表彰制度と連動させ、職員の達成感や内発的動機付けを最大化する。

株式会社日本経営は、賃金制度設計・人事評価制度構築において医療機関向けの豊富な支援実績を誇ります。「どの職種に・どれだけ・どのように配分するか」という戦略立案から制度整備・職員への説明資料作成まで、一貫してサポートします。

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✔ 職能等級・役割等級に基づくメリハリ昇給モデルの設計
✔ 若手・中堅・管理職層別の賃金体系見直し
✔ 「賃上げの見える化」のための職員説明会資料作成支援
✔ 表彰・昇格制度と連動した内発的動機付けプログラム

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終わりに:持続可能な病院経営に向けた賃金制度見直しのすすめ

今回の改定は、給与補填にとどまらず、病院を「プロフェッショナリズムが正当に評価され、成長を実感できる場」へと進化させるための重要な転機です。

令和9年6月の本格稼働を目標に、この転機を活かして賃金制度や評価制度を抜本的に見直すことで、採用競争力の向上や職員の定着、ひいては持続可能な病院経営を実現することができます。

株式会社日本経営は、医療機関の経営改革・人事制度改革・診療報酬対応を一体的に支援する、医療専門のコンサルティングファームです。ベースアップ評価料の算定支援から賃金制度設計、職員定着・採用戦略まで、貴院の課題にあわせたオーダーメイドのご支援を提供いたします。本レポートが、貴院の前向きな組織づくりの一助となれば幸いです。

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全国の医療機関・介護施設を支援する株式会社日本経営が、 制度活用から組織変革まで、貴院に伴走します。

本稿の執筆者

馬渡美智(まわたり みさと)
株式会社日本経営 組織人事コンサルタント

株式会社日本経営

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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