組織活性化・人事評価コンサルティング「リスクマネジメントの行き着くところ」
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業種
病院・診療所・歯科
介護福祉施設
企業経営
- 種別 レポート
組織活性化・人事評価のコンサルティングレポート
「失敗から学ぶ」から「想像力で対処する」へ
- 組織の活性度は、意欲と満足によって測定される。
- 本レポートでは、組織活性化・人事評価のポイントについて、現場のコンサルティングの実例を踏まえてお伝えする。
新人を含め全員がリスクマネジメントをできるようにならなければ
「うちの職員は、新人を含め全員がリスクマネジメントをできるようにならなければ。」
ある病院の人材育成の計画策定のシーンで出た一言です。
この会議では色々な施策が議論され、リスクマネジメント研修の実施、教育計画の見直し、人事評価表の見直し等、様々な対策があげられました。
「新人を含めて全員」というのは素晴らしいことですが、中々ハードルが高い目標でもあります。
何がリスクなのか、リスクマネジメントの始まり
医療や福祉においてリスクマネジメントとは、一般的にはヒヤリハット等のリスクを把握し、分析・評価、対応策の実行、再評価、というプロセスを総合的に管理することを指します。
これに照らせば、そもそも何がリスクなのかということに気付けないことにはリスクマネジメントは始まりません。
仕事には様々なリスクがあって、法令やマニュアル、医療安全委員会等で定められていないことも多くあります。
例えば、身近なことでも、雨の日に傘の雨露で廊下が濡れていたら滑って危ないとか、ステーション内にあるPCの配線が整理されていなかったら足が引っかかるかもしれない危なさとかもあるでしょう。
こうしたことは、新人のうちは中々気付けません。
何かヒヤリハットがあるたびに注意・指導を受けることなどを通して、経験を積んでいくことで気付きの感度として養われていきます。
階層によって異なる「リスクレベル」
リスクマネジメントとは、新人に限った話ではありません。
管理職層であれば、マネジメント全般においても同様のことがあてはまるでしょう。
「人手不足の状態では、皆が残業を続けてくれれば今回の問題は乗り切れるが、この状態を続ければやがて人が定着しなくなるかもしれない」といったような気付きも求められるでしょう。
経営層であれば、診療報酬改定が出てから対応するのではなく、事前に中医協の議論等を収集しながら、数年先の未来を予測して、今から備えるといったような気付きも求められるでしょう。
階層によって、気付いて対応しなければならないリスクレベルは違います。
気付きの感度、鍵は「想像力」にある
繰り返しになりますが、多くは失敗から学ぶという、経験則によって気付きの感度を高めていきます。
ですが、立場が上がってくるとそれだけ取り扱うテーマも大きくなる分、大きな失敗ができなくなります。
ではどうすればいいか。
その鍵は、「これはこういう場面にも当てはまるかもしれない」と考える想像力にあると考えます。
階層や立場に関係なく、これはもしかしたら、何かリスクがあるかもしれない、こういう展開も起こりうるかもしれないと考える。
そうすれば、限られた経験であっても適切に対処するようになっていきます。
リスクマネジメントと言われると、仕組み化している病院が多いでしょう。
ですが、根本は一人ひとりの気付きの感度。
そしてそれを伸ばすのは本人の想像力・応用力です。
行き着くところは、個々の気付く力を伸ばしていくことが求められるのではないでしょうか。
レポートの執筆者
高園忠助(たかぞの ただすけ)
株式会社 日本経営 組織人事コンサルタント
2006年4月入社。病院・介護福祉施設への組織・人事全般が専門分野。2014年11月よりクラウドサービス「人事評価Navigator」の開発に着手し、開発責任者、事業開発責任者となる。2017年4月からの1年間医療機関に出向し、収益改善、組織改革、建替基本構想策定を実施。2018年10月福岡オフィス長に就任。
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