お役立ち情報

集客において重要な施策「施設の売り」

  • 業種 介護福祉施設
  • 種別 レポート

施設の「売り」を明確にすることの重要性

  • 本レポートでは、介護施設における運営実務のポイントを現場のコンサルティングの実例を踏まえお伝えします。
  • 営業活動を優位に行い成果につなげるための差別化戦略のシリーズを今号より数回にわたりお届けします。

介護事業所の「売り」を明確にする

本レポートを執筆している同時期に、NHKで「認知症をどう生きるか」という特集が放送されていた。

認知症とどう向き合い、受け入れて生活するかというような内容だったが、筆者は本人が認知症を持つことを必要以上に負担と感じさせない周囲の働きかけこそ重要であると感じた。

その働きかけを家族に期待することが難しいのであれば、実現させるのはプロの仕事だ。改めて、介護のプロの重要性が問われる時代が来ていると感じる。

この例のように、認知症にお困りの方がいれば認知症対応のプロのいる施設を選び、リハビリが必要な方にはリハビリに特化した施設を選ぶ。

同じ特養(特別養護老人ホーム)やデイ(通所介護)であっても、抱えるニーズによって使い分けができるようになれば、利用者にとっての選択肢が広がり、介護はより便利なサービスとなることだろう。

つまり、介護サービスは自事業所のサービスの特徴を明確にし、外に伝わるように発信することで、利用者の選択肢が広がり、自身のニーズにマッチしたサービスを利用できるようになるのである。

言い換えると、介護サービスは自事業所の「売り」を明確にすることが、利用者の助けにもなるということだ。

自事業所の「売り」を明確にする。稼働率向上のテーマに沿えば、自事業所の特長を明らかにし、他事業所との差別化を行い、集客を行いやすくすることでもある。

「売り」を明確にすることは、利用者本人のためでもあり、介護事業所の集客においても重要な役割を果たすことにもなる、非常に重要な運営施策のひとつなのだ。

では、その重要な施策である 「売り」 の明確化を、皆さんの施設では行うことはできているだろうか。


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「売り」 を明確にすることは困難なのか

営業活動における自事業所の 「売り」の重要性は、実際に営業を行っている方ほど実感を持っていることだろう。

「売り」がなければ、営業に行っても自信をもって自施設のことを紹介できない、他施設と比較してうちを選んでもらえない、パンフレットを作ろうとしてもネタがない、ゆえに成果が上がらない、などの場面が思い浮かぶのではないだろうか。

しかし、このように 「売り」の重要性を理解している事業所の管理者やリーダーの方であっても、「では貴事業所の「売り」とは何ですか」と聞くと、口ごもってしまったり、はっきりと「うちの施設には「売り」と呼べるものがないのです」と返答があったりする。

それだけ、「売り」の重要性を理解していたとしても、堂々と発信できるような 「売り」 じゃない、 「売り」 そのものがない、作ろうと思っても作れない、と 「売り」 を準備すること自体が困難に感じてしまっている方が多いということを表しているのではないだろうか。

「売り」は、費用や時間をかけて作るもの?

では、介護事業所にとって、「売り」を作ることとは困難なことなのだろうか。

例えば、「売り」がない、作るのが難しいと考えている事業所の管理者の方に、介護事業所の「売り」とはどのようなものかと聞くと、「リハビリ特化型施設」や、「毎月、イベント食でお寿司を出している」、「特徴的なレクリエーションを日替わりで提供している」などというイメージを持っていることがうかがえる。

だから、設備投資にお金がかかる、準備に時間がかかる、実施する人手が足りないなどと、実現困難なように感じられてしまうことが多いようである。

結論を言えば、介護事業所にとって差別化戦略に使える「売り」 とは、そのように費用が必要でもなければ、準備に時間のかかるものでもない

今ある環境、職員などの条件のままでも十分に整え、外に打ち出すことができるのである。

では、そのためには何に着手すべきなのだろうか。次回、実はどの介護事業所にもある「売り」の見つけ方について考察する。

レポートの執筆者

沼田 潤(ぬまた じゅん)
株式会社 日本経営 介護福祉コンサルタント

株式会社の運営する介護付き有料老人ホームにおいて介護職員から施設長までを経験後、北京に駐在し海外事業にも従事。2015年に日本経営に入社、主に介護施設における稼働率向上支援、介護サービスレベルの底上げ支援などを担当する。介護福祉士。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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