サ高住が赤字から抜け出せなかった苦しすぎる事情/介護福祉の人財成長のリアル
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業種
介護福祉施設
- 種別 レポート
医療法人の理事長である私は、介護事業の拡大に向けてサ高住の運営を開始した。
老健を成功させた経験もあり、自信があっての事業拡大だったが、蓋を開けてみると全く勝手が異なり、すべてがうまくいかないのだった。
そのようなとき、管理者が持ってきた一枚の講座案内「収益改善ミッション徹底攻略6days」。
6回シリーズのウェブ講座に管理者を参加させたその日から、サ高住は目を見張るような収益改善を実現させるようになるのである。
一体、講座では何を学んできたというのか……!
稼働率が上がらないサ高住
設立して5年目を迎えるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「桃坂レジデンス(仮名)(40床)」は苦境にあえいでいた。これまでに1ヶ月たりとも、単月黒字を達成させることができずにいたのである。
私は医療法人の理事長として病院経営のみならず、80床の介護老人保健施設を中心とした複合介護施設群を併せ持ち、十分ともいえる利益を上げてきた。
地域の高齢者を支える医療・介護インフラとして周辺から十分に認知されていることを自覚しており、経営に関しては相応の自信を深めていた。
当然、サ高住の設立にも大きな自信があった。
収益化を早々に済ませ、2号館3号館という構想もすぐに着手できるものと思っていたのだった。
赤字経営の原因は一目瞭然。人件費の圧迫だ。
設立以来、稼働率が50%という水準を超えられず、利用者が20名に満たないにもかかわらず、満床40名をケアできるだけの職員を揃えてきたのだから、苦境は当然だろう。
しかし、だからといってこの採用難真っただ中のこの時代に、リストラを敢行することははばかられた。
目標はたかだか1棟の黒字化ではない。
今後広くサ高住シリーズを展開をしていこうという中で、リストラをする法人であるという風評を広げ採用ができなくなる事態だけは避けねばならない。
結果として、人件費だけで売り上げを上回るという異常事態を、設立以来続けることとなっていたのである。
私は覚悟を決め、心機一転、抜本的な改革を誓い、施設運営のテコ入れに着手することにした。
その手始めとして、鳴り物入りで着任させた若手管理者にはいったん古巣の病院に退いてもらい、代わりに長く老健の事務長を任せていた信頼の厚い職員を充てた。
永くこの地域の医療・介護に携わってきたベテランだ。
様々な場所で顔が利く。稼働率向上の至上命題を任せるのに、考えられる限り最大限の人選である。
管理者を交代しても好転しない
私は、老健の事務長として成果を上げてきた新しい管理者にとって、サ高住運営は成功させやすいだろうと考えていた。
しかし、現実は簡単ではなかった。
収益改善には収入が不可欠である。
新管理者には、とにかく稼働率を上げることが先決として取り組ませた。
サ高住には相談員もケアマネジャーも配置されていないことに勝手の違いがあったようだが、自分で外回りに動くことには苦手意識はないようで、「足で稼いできますよ」と気合十分な様子だった。
ところが現実には、まずその外回りに出ることがままならないとのことだった。
現場が想像していたよりも忙しく、管理者すらなかなか現場から抜け出せないのだ。
営業活動がうまくいかないのはなぜか
管理者交代から半年が経過し、その間に取り組んだ営業活動の成果としては、新規獲得がたったの2名。
しかもその間に退居が1件あったので、純増は1名だ。1年でせめて純増10名を目標として掲げていただけに、報告を受けた私はその乖離に愕然とするばかりだった。
管理者いわく、営業を行ってみて感じたのは、外回りさえ行えばどうにかなるという考えは幻想だったということのようだ。
そもそも営業時の反応がよくなかった。関係性の良い近隣の居宅介護支援事業所などを精力的に回ったつもりだったが、それでもサ高住というだけで興味が薄れてしまう様子を肌で感じた。
しかも、「桃坂レジデンス」は競合のサ高住と比較しても価格は安くないうえ、立地も駅から徒歩では行けないくらいの不利をこうむっている。
いくら営業活動に懸命に取り組んでも、料金と立地を簡単に変えることはできない。
あまりの反応の悪さに、営業が得意だったはずの管理者も外回りが憂鬱になったとのことだ。
営業に回ると、施設のサービスの評判の悪さを耳にすることもあったようだ。
管理者からすれば、現場の職員対応を思い返したとき、そのような評判は十分に心当たりがあることだったが、それは稼働率の改善とともに解消されると感じていた。
利用者が半数の現場では、まだ現場職員に懸命さが足りず、本気の仕事に取り組めていないという希望からのものだ。
満床にさえなれば状況は好転する。管理者はそう私に報告をするのだった。
とにかく、満床にさえなれば、すべてが変わる。その希望が、今の私を支えるすべてだった。満床にさえなれば…
私は、「桃坂レジデンス」を満床にするために、最後の手段に打って出ることにした。
稼働率向上への最後の手段とは
最後の手段とは、紹介会社の利用である。
なりふり構わぬ最後の手段。
紹介手数料は標準以上、受け入れ基準はないに等しく設定した。
何が何でも稼働率を上げる。
管理者も本意ではない様子はあったが、前向きに取り組んでくれた。
効果は想像以上だった
なんと、その後1年が経過し、15名の利用者獲得につながったのだ。
稼働率にして90%超。
文句なしのすばらしい成果となった。管理者の報告から、毎月のように契約数が増加するさまを見て、私は素直に安堵した。
選択は間違っていなかった。
一時的には負担は増えたが、これからは稼働率などに翻弄されることなく、本当に質の高いサ高住を目指すことができると、管理者とも喜びを分かち合ったのだった。
しかし……そのような喜びもほんの一時のことでしかなかったのだった。
満床になっても解消しない赤字
現在、管理者交代劇から3年目に入る年となり、稼働率を激変させたという喜びはすでに過去のものとなり、今では疲労感だけが残る結果となっているのだった。
なぜなら、施設はほぼ満床という情況にもかかわらず、赤字が解消されるどころか、むしろ広がってしまっていたからである。
なぜそのようなことになったのか。
当然、紹介会社を利用したことによるコスト増は大きかった。
しかし、仮にそれを想定内だったとして差し引いたとしても、事業の収益がマイナスであるということが判明したのである。
つまり、施設は満床になっても黒字にならなかったのだ。
加えて現場の疲弊感はピークだった。
利用者の急増に対応すべく、臨時で職員の採用を行ってきたが、それでも「誰でも受け入れる」方針から困難事例を持つ方の受け入れなどが増え、現場の仕事は多岐にわたり多忙を極めたためだ。
最近になり古参の職員の退職が続いていることが、現場に渦巻く不満の大きさを表している。
管理者にとって、今は職員の引止めと現場改善が仕事のすべてとなっている。
そして何より、紹介会社との契約が切れ、残された定員の隙間を埋めるあても失い、最後の希望と思われた火が消えてしまったことが、私の絶望感を増大させていた。
「稼働率さえ取り戻せれば」……ただその一心で取り組んできたものが崩れおち、これからは何に取り組んでいけばよいのか。私は、途方にくれるようになってしまったのだった。
そんな時だった。管理者が定例報告会の際に、一枚の講座案内のチラシを私に見せてきた。
今の状況にこれほど合致し、改善の希望を持たせる案内は見たことがないと、管理者は私に訴えてくるのだった。
満床なのに赤字? 収益改善の具体的ノウハウや、現場スタッフの協力を仰ぐツボなど…
成果の出る収益改善手法を学ぶ6日間!
「収益改善ミッション徹底攻略6days」で学んだもの
講座「収益改善ミッション徹底攻略6days」では、そもそも介護事業所の収益構造の仕組みから理解し、自事業所がどのような課題を抱えているのか、その本質に切り込むところから始まっていた。
そこで管理者が気づかされたのは、サ高住には独自の収益構造があり、それを理解していなければどれほど稼働率を上げても収益が上がらないということだった。
管理者は老健の事務長出身であり、同じ介護施設として同様の運営を行ってきていた。
しかし、24時間介護サービスを行っても丸めの介護報酬を得られる老健と、介護保険サービスを実施した分だけしか報酬を受け取れないどころか、そもそも介護報酬を受け取る仕組みすら整えていなかった「桃坂レジデンス」では、運営方法が全く異なっていたのである。
講座「収益改善ミッション徹底攻略6days」では、その仕組みを根本から見直す必要性について、課題整理という形で気づくことができるような仕掛けになっており、管理者は講座初日から自施設の課題を明らかにすることができたのである。
課題が明らかになれば、あとは解決に向けて解決策を知り、取り組むだけである。
講座では、稼働率向上のための「プロセス管理」「セールスポイントの言語化」「地域に信頼される営業手法」、満床でも赤字の収益構造を変える「サービス提供体制の見直し」、そしてどのような改善策にも必須の「現場職員の意識改善」というテーマについて具体的な改善手法を学ぶことができた。
「桃坂レジデンス」ではすべてのテーマの習得が必要だったが、中でも「サービス提供体制の見直し」ができるようになったのはこの上ない成果だった。
今、私は、かつて思い描いていたように、サ高住の2棟目の計画を遂行中である。
希望に向けて歩を進めることができるようになったのは、単に経営に対する自信が深まったからだけではない。
講座「収益改善ミッション徹底攻略6days」で管理者が学んだことの本質、介護サービス事業所が適正な収益を得られるために本当に大切にしなければならないことを私も理解することができたからである。
介護サービスの正しい在り方さえ理解できれば、利用者に支持され、適正な利益を受け取ることができる。そのことを間違えさえしなければ、介護サービス事業は必ず成功するという信念にも似た考え方が、私の背中を押してくれたのだった。
あらためて、私は患者・利用者のために事業をする。その使命を胸に、私は一層の精進を自分自身に誓うのだった。
サ高住・有料老人ホーム向け! 特別講座
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