事例紹介

病院建替えコンサルティング/施設老朽化・災害対策から建替えを検討したB病院の事例

病床数削減に対して、幹部医師から激しい反対意見が噴出。

建替え計画は当初、順調に進んでいました。

しかし、計画を具体化する段階で、診察部長や病棟師長から不満が続出。「伝えた要望は、ちゃんと計画に反映されるのか」「具体的な説明がほしい」

一方、建築費を試算した推進メンバーは青ざめました。「費用がかかりすぎる」「返済できない」

建替え計画は、完全に行き詰ってしまいました。
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病院建替えの成否は「基本構想」にある

病院建替えの成否を分けるのは、「基本構想」にある。そう言っても過言ではありません。「戦略」「建物」「財務」の視点から病院全体の方向性を決め、病院整備の企画をまとめていくのは、「基本構想」の役割だからです。

基本構想の段階では、計画はまだ柔軟に変更できます。しかし、基本設計、実施設計と工程が進むにつれて変更が難しくなり、変更に多額のコストを要することもしばしばあります。

このように重要な役割のある基本構想ですが、院内に建替え経験者がいないと何から手をつけていいのか、どこにポイントがあるのか、手探り状態で進むことになります。例えば「戦略」に関連するキーワードが出てきたとしても、それを具体化して企画にまとめるには、それなりの経験が必要です。

今回は、私たちが「基本構想策定」の段階から支援した、B病院の事例についてご紹介します。

病床数を見直し、新たな柱に投資する

B病院は「基本構想策定」の重要性を理解していましたが、内外の多くの関係者からいろいろな意見や要望が寄せられてくるので、それらをすべて基本構想に入れ込んでしまうと大変なことになると危機感を覚えて、私たちにご相談されたのでした。

私たちは、現在の仮の基本構想はまず横に置いておいて、改めて外部環境の分析と将来予測を実施することにしました。

すると、分析結果は当初の病院側の予測よりもかなり厳しいものとなりました。特に地域の人口動態を考慮すると、将来の入院・外来の患者数が大きく減少すると予測されました。

私たちは入院患者数の見込みを見直し、当初450床と設定していた病床数を400床に見直して検討を進めることにしました。

患者数が減っても建替えに対する投資額を回収するためには、当然ながら収益を上げる必要があります。B病院は救急領域を強みとしていたのですが、それとは別に収益の柱を作る必要があると結論づけました。

つまり、この新たな柱となる部門により手厚い投資を行うということです。診療体制を充実させ、強みとなる疾患領域を確立するため、医師・機器の充実を図り、強みを伸ばしていくことを、具体的にプランに落とし込んでいきました。

お役立ちBOOK「病院建替えプロジェクト」

病床数削減という方針に、厳しい反対意見

B病院のように、いろいろな関係者からいろいろな相反する要望が上がってきて、推進メンバーが苦慮するということは、よくあることです。

これら意見を集約するポイントは、病院として強化するところ、しないところを明確にすることです。

方針が曖昧なままでは意見が集約できず、結果として計画がとん挫してしまいます。

事前に強化領域を明確にしておくと、各部門責任者にできること、できないことをしっかりと伝えられます。

ところで、病床数を削減するという方針を立てたところ、B病院の幹部医師からは厳しい反対意見が出てきました。

「急性期病院である以上、病床数を維持しなければ機能が果たせない!」

「医師数を確保するためには、病床数の維持が大切だ!」

「医師を増員したときに、病床数が不足する可能性があることは考えているのか!」

建替えの必要性は全員が理解していましたが、それぞれの部門の状況を踏まえた意見が出てくるので、調整は難航しました。

病院建替えの事例は、日本経営ヘルスケア事業部著「病院建替えの教科書」に、より詳しく紹介されています。詳しくは「こちら」。

信念と信念のぶつかり合いの末、皆の納得を得られた

私たちは改めて時系列でデータを整理し、新入院患者数の推移、1日平均入院患者数の推移、平均在院日数の推移、入院平均単価の推移を可視化しました。

数値の傾向として、新入院患者数は増加していますが、平均在院日数が短縮することで1日平均患者数は減少、入院患者一人当たりの平均単価は増加していました。これは多くの急性期病院に見られる傾向ですが、B病院でも同様の動きが見られたのです。

今後も同様の傾向が予測され、かつ地域の患者数も一定の増加しか見込めないとなると、いまの病床数を維持する明確な根拠はありません

さらに医師数の増加についても、あくまでも可能性の話であり、具体的に実現できる時期や医師数が見えているわけではありませんした。冷静に検討した結果、経営判断の材料としては考慮できないという結論に至りました。

病床数をどうするのか、病院の機能をどうするのかということは、言ってみれば信念と信念とのぶつかり合いです。結論に至るまで、会議の場を3回、その後に幹部医師に対する個別面談を実施して、ようやく病床数の設定について納得を頂けたのでした。


B病院は当初、独自で基本構想の策定まで進めていました。

しかし、病院内で策定された基本構想は見込みが甘く総事業費も過大で、それを見直そうと思っても、院内調整は困難な状況でした。特に病床数削減については、強い反発がありました。

このように、現状を大きく変更する意思決定を伴う場合、病院内部から反対意見が噴出することは少なくありません。そこには単に数字だけで割り切れない、身内だからこその葛藤があるものです。

そのような場合に、私たちのような第三者を活用し、データに基づく客観的な見解をもとに議論すると、妥協点が見えてくるものです。

建替えの必要性は、皆が感じていることです。そして、いまよりもよい職場にしたい、地域医療に役立ちたいという想いは、かけがえのない財産です。

その想いが生かされて基本構想に落とし込まれるように、意見集約・意見調整にかかる労力を解消していくことも、私たちの重要な役割であると考えています。

本事例は掲載時点の情報に基づき、一般的な内容をご紹介したものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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