お役立ち情報

病院DX推進に向けて、RPAが実現できる姿とは? 

  • 業種 病院・診療所・歯科
  • 種別 レポート

医療DXコンサルティング04

弊社では、2002年から2017年までの15年間、医療情報システムの常設総合展示場「MEDiPlaza(メディプラザ)」を東京・大阪・福岡で展開していました。常設展示場は役割を終えたため2017年に閉鎖いたしましたが、そこで培った経験値を活かして、現在も電子カルテをはじめとした医療情報システムの導入支援コンサルティングを行っています。これが、弊社が医療DX支援コンサルティングを行ったり、病院へのRPA導入支援を行ったりしている背景となっています。

【医療DX支援コンサルティング】
https://nihon-keiei.co.jp/service/hospital/strategy-hosp/dx-strategy/
【医療・介護施設へのRPA導入支援】
https://service.nkgr.co.jp/rpa/

PR:「医療DX・病院DX戦略コンサルティング」はこちら

DXをどう考えるのか?

そもそもDXとは一体何なのでしょうか?弊社では以下のように考えています。

DX=D(デジタル化)× CX(コーポレート・トランスフォーメーション:組織変革)

ポイントは「変革」であり、組織変革(CX)や時には産業構造自体の変革(IX)を実現し、ビジネスモデルを変革することがDXであると考えています。(※詳細は「こちら」のコラムをご覧ください)。

そのため、単にシステムを入れたり、RPAを入れたり、というだけではDXとは言わず、単なるデジタル化に留まります。「DX」のレベルに達するためには、その先にあるビジネスモデルや組織構造の変革まで行う必要がある、ということになります。システムありきで考えるのではなく、その先に実現したい変革の姿を考えた上で、選択するデジタル化の手段を考えることが重要になります。

RPAの導入を考える際も同様です。「最近病院でRPAが流行っているらしい」、「事務の効率化に使えるらしいぞ」と安易に導入すると、失敗を招いてしまいます。どんな姿に変革したいのか、その変革にRPAは有効なのかを考えていく必要があります。

とはいえ、変革のイメージが湧かなければ判断も出来ないでしょう。そのため、今回は「RPAによって実現できると思われる姿」をご紹介します。

そもそもRPAとは?

そもそもRPAとは、パソコン上で行っている定型反復業務などを覚えさせることで、人の代わりにその作業を行ってくれるロボットのようなものです。RPAで代替できる作業の特徴としては以下が挙げられます。

  1. PC内で行われている作業であること
  2. 操作自体が人の判断が少ない単純なもの(定型的)であること
  3. その作業を何度も繰り返す(反復的)、実施頻度が高い(日次・週次等)ものであること

具体的な作業イメージで言えば、「システムからデータをCSV形式で抽出する作業」や「そのデータを加工する作業」「別のシステムに転記する作業」などは、RPAが得意なものとして挙げられます。(※詳しい用途やRPAで代替できる業務のイメージは「RPA特設サイト」をご参照ください。

労働力の再分配(組織変革)を通じた収益性の向上

では、そういった特徴を踏まえてRPAはどんな変革に繋げることができるのでしょうか?

それは大きく2つに分けられると考えています。

一つは「労働力の再分配(組織変革)を通じた収益性の向上」です。

具体的に言うと、事務部門で業務効率化を行い、そこで得た余剰労働力を地域連携室での集患活動や加算取得に向けた啓蒙活動に投下することで、売上向上に繋げていくことが可能になる、ということです。 まとまった労働力を確保できるなら、クラークとして医師に配置することで、医師の余力を確保することも一つの活用方法になるでしょう。

先程のようにRPAはパソコン上で行う業務を代替することができます。ということは、パソコンを使って仕事をすることが多い事務部門においては、RPAの活躍する領域(定型的な業務)が一定程度見込まれ、業務効率化に繋げることが可能です。

しかし、単に効率化を実現しただけではデジタル化に留まってしまい、DXとは言えません。効率化によって得られた労働力を地域連携室などに配置し、売上向上に繋がる取り組みに再分配していくことが真のDXと言えます。

これが実現できれば、コストセンター(必要ではあるもののコストだけかかる)としての従来型の事務部門の状況を、集患を行うプロフィットセンターとしての役割へと強化していくことが可能になります。

情報資源の集約化によるリアルタイムな意思決定

もう一つは「情報資源の集約化によるリアルタイムな意思決定の実現」です。

具体的なイメージとしては 、各種システムに入っているデータをRPAによって収集し、人の手を使わずとも必要な時に最新のデータが確認できる体制を作ることで、よりスピーディーな経営上の意思決定、現場の組織運営における意思決定を実現する、ということです。

病院には電子カルテをはじめ、様々なシステムが導入されています。各種システムには、患者情報から人事情報まで膨大な情報が格納されています。

しかし、それをアウトプットしようとすると、CSVでダウンロードする作業が発生したり、電子カルテなどから直接データを引っ張ってきたりなど、一定の作業が発生してしまい、人がそれを行っていることがほとんどではないでしょうか。経営会議やカンファレンス用の資料作成が良い例です。

一つのシステムからデータを取り出すこと自体はさほど時間はかかりませんが、それを複数システムから抽出し、かつわかりやすい資料へとアウトプットするとなると、一定の時間を要します。結果として、毎日その作業を人が行うわけにもいかず、週次や月次などでの集計になってしまう、ということが起きているのではないでしょうか?

しかし、RPAを使えば、データの抽出からアウトプットに至るまで、ロボットが代替してくれる可能性があります。人が行えば時間がかかり、ミスも発生するかもしれませんが、ロボットであれば好きなタイミングでスピーディーにかつミスなくその作業を行ってくれるようになります。

仮にリアルタイムで病棟別の稼働状況や入退院の状況などが可視化されていればどうでしょうか? ベッドコントロールの意思決定はより素早くできるでしょうし、経営層が把握したい指標をいつでも確認できるようになります。情報を集約することによって、業務の流れや情報の流れそのものの変革に繋げることができるのです。

先行きが見えにくい今の社会においては、より素早い意思決定が求められます。変化をリアルタイムでモニタリングできる体制は、今後さらに重要になっていくのではないでしょうか?

RPAを検討するならどう進めるべき?

今回ご紹介したような変革を実現したい!と強く思われるのであれば、ぜひRPAを検討してみてください。

しかし、検討の際にも注意が必要です。RPAはロボットであるとお伝えしましたが、決して万能というわけではありません。システムとの相性の問題で代替できる作業も変わってきます。

そのため、まずは「皆様の病院におけるシステムをRPAが操作できるのか」「どういったデータをRPAが持ってこれるのか」を検証する必要があります。

冒頭でお伝えしたように、あくまでも目的はDXの実現です。そのためにはRPAだけでなく、他のシステムを入れる必要がある場合もあれば、システムだけでなく組織体制の変革に向けて、基盤となる人事制度の見直しも必要となる場合があります。

しっかりとありたい姿と現状のギャップを明らかにした上で、RPAをはじめとしたデジタルの選定をしていく必要があります。決してシステムを決め打ちで導入してはいけません。

今回は流行のDXの中で、RPAが一体どんなことを実現できるのか、という点に絞ってお話をさせていただきました。

次回のRPAコラムでは、実際にRPAを導入している病院がどんな活用をしているのか、実例に基づいたご紹介をさせていただきます。皆様が現在検討されている内容に何かご参考になれば幸いです。

本稿の執筆者

山崎太郎(やまざき たろう )
株式会社日本経営

日本経営入社後、病院・介護施設における人事評価制度構築や職員研修など人事マネジメントに関わる支援を中心に実施。近年では医師人事評価制度整備支援や原価計算やBM データを活用した診療科別の目標設定支援、 RPA の導入などの業務改善支援を行っている。

株式会社日本経営

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

関連する事例

病院コンサルティングのサービス一覧

  • 病院・診療所・歯科

関連する事例一覧

関連するセミナー&イベント

【AI音声 Vol.01】賃上げ対応と働き方改革の両輪で挑む、医療機関の人事戦略/約3分で耳ラーニング

  • 病院・診療所・歯科

関連するセミナー&イベント一覧

関連するお役立ち情報

なぜ、いま病院経営者の中で「組織文化づくり」が注目されるのか?/組織開発のアプローチ

  • 病院・診療所・歯科

関連するお役立ち情報一覧