利益が出ているとよい経営か

こうした意見をよく聞きます。

はたして、利益が出ていればよい経営と言えるのでしょうか？

利益率が低いと経営が悪いと言えるのでしょうか？

経営とビジネスの違い

私は次のように整理して考えています。

経営とは、その組織の目的、理念、ビジョンを達成するための取り組み
ビジネスとは、儲ける仕組み

利益が出ているか出ていないかは、ビジネスの良し悪しです。

そのため、ビジネスは良いけれども、経営は良くないということはよくあることです。

十分に利益は出ているし、売上も伸びているのだけれども、従業員が疲弊しているとか、サービス満足度が低いとか、社会から評価されていないといった状態です。

逆に経営は良いのだけれども、ビジネスは悪いということはあるでしょうか。

基本的にはあり得ません。よほどの先行投資をしているとかでなければ、儲ける仕組みが機能していなければよい経営とは言えないでしょう。

大事なことは、ビジネスがうまくいっているからと言って経営がうまくいっているということだと勘違いしないこと、ビジネスがうまくいっていればいるほど、経営が重要になるということです。

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標準化がビジネスの衰退を招く

これは経営者だけでなく、部門長や部署長にも当てはまります。

事業がうまくいっているからと言って油断せず、ビジネスがうまくいっているからこそ経営力を磨いていく。

ビジネスがうまくいくということは、誰がやっても同じような成果が出せるように標準化されていくということも多くなっていきます。

そうすると、一人ひとりの社員はあまり考えずにただ手順通りに仕事を進めるだけになったり、内部効率の問題に意識が行き過ぎて顧客意識が下がったりすることもあります。

こうしたことはやがてビジネスの衰退やトラブルにつながりかねません。

そこで、目的、理念、ビジョンなどが重要になります。

何のために事業をしているのか、今していることは理念に沿っているのか、こうしたことを従業員に意識させたり、実行させる仕組みを作っていく必要があります。

変化の激しい時代ですが、だからこそビジネスチャンスを活かして急激に成長する企業や事業も少なくありません。

ビジネスがうまくいけば嬉しくなりますが、うまくいくほど自分自身や自社の経営力を高めることに力を注ぐ必要があると思います。

このレポートの解説者

入社以来、人事コンサルティング部門にて、一貫して病院・企業の人事制度改革に携わる。2006年には調剤薬局に出向し、収益改善と組織改革を実現。コンサルティングにおいては、人事改革、組織改革のほか、赤字病院の経営再建にも従事。2013年1月福岡オフィス長に就任。2017年10月より株式会社日本経営取締役。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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