「昇進・昇格したがらない職員が多いんです!」/中小病院の人事制度Vol.04
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業種
病院・診療所・歯科
- 種別 ホワイトペーパー
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みなさんの組織では、従業員の昇進・昇格について、どのように決定していますか?昇進・昇格における問題点として、「基準があいまいで納得性がない」「基準はあっても年功的な運用をしてしまう」といった点が上げられます。また、最近は「昇進・昇格に魅力を感じない従業員が増えており、昇進・昇格をしたがらない」と言った声もよく聞きます。
そもそも、昇進昇格とは
そもそも、昇進と昇格は何が違うのでしょうか?一般的に昇進とは、部長や課長といった職位が上がること、昇格とは等級や資格が上がることを指します。
昇進・昇格の要件は組織により様々ですが、勤続年数、人事考課結果、論文作成、試験、上司推薦、面談等の手法の中からいくつかを組み合わせて判断しているケースが多いです。
どのような昇進・昇格要件や手法を取り入れるかは、組織の規模や人事制度の仕組み、かけることのできる労力等により判断することになりますが、重要なのは、昇進・昇格要件とは、従業員をふるいにかけるためにあるのではなく、従業員をリーダーとして育成するための指針だと捉えることです。
昇進昇格を希望しない職員
昇格・昇進し、役職に就くと、これまでプレイヤーとして培ってきた能力や職務スキルに加えて、以下のようなことに適応しなければならなくなりますが、できるようになるまでに時間を要すものや新たな知識やスキルが必要なものもあります。
・中長期的、全体最適の視点で判断や意思決定をしなければならない。
・仕事の内容が複雑になるため、視座・視野・視点を変える必要がある。
・自分が経験していない仕事でも判断や意思決定をしなければならない。
・自分が動くことから、メンバーや組織を動かすことが仕事の中心になる。
・個人の成果ではなく、チームとしての成果が求められる。
そのため、昇格した後に「課長になったのだから、これらのことをやってね」というだけでは、プレイヤーとして優秀だった方がマネージャーとしてはなかなか育たなかったり、挫折してしまったりすることがあります。
冒頭に申し上げた「そもそも昇進・昇格をしたがらない」ということは、時代の潮流もあるのかもしれませんが、自分の少し上の先輩が、プレイヤーとしてはバリバリ働いていたのに、マネージャーになった途端、元気をなくす姿を見ていると、「マネージャーは大変な仕事だ。自分はやりたくない。」という気持ちになってしまうということもあるかもしれません。
リーダーを育成する仕組みづくり
そうならないためにも、組織として各階層のリーダーに求められる役割を明確にし、その要件を果たせるリーダー候補を育成し、登用するという仕組みが必要なのです。リーダーを育成する仕組みが整っていなければ、気づいたら次に役職を任せられる人材がいないということになってしまうかもしれません。
昇格・昇進の対象となるような従業員を育て、次世代のリーダーを輩出し続けるには、まずは、階層に求める役割を明確にし、次の階層に昇格・昇進するために必要な能力、スキル、経験等を昇進・昇格要件に落とし込み、従業員がその要件を満たせるように、組織として支援したり、教育体制を充実させたりすることが必要です。
人を育成し、実効力の高い組織をつくる
本稿の執筆者
馬渡美智(まわたり みさと)
株式会社 日本経営 組織人事コンサルタント
従業員数500名規模の事業所で、総務・人事業務に従事した後、日本経営入社。労務管理体制の調査・整備業務、組織活性化支援、人事制度の導入・運用支援、管理職研修、職員研修等に従事している。自治体の医療人材の流出入に関する調査も実施。社会福祉協議会、各種団体等での講演やセミナーも多数行っている。
社内においては、子育てをしながら経営コンサルタントとして働くモデル人材として活躍。社会保険労務士有資格者。
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