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実例に学ぶ!病院における役職者育成の仕組み作りとは/中小病院の人事制度Vol.05

  • 業種 病院・診療所・歯科
  • 種別 ホワイトペーパー

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病院だからこそ、役職者育成に向き合い続ける必要がある

私がある病院のA事務長からいただいたご相談です。

「佐藤くん(筆者)、売上を上げるために、管理職には現場のマネジメントを頑張ってもらわないといけないだろ? でも、何を言っても、理解してくれないんだ。現場は忙しいの一点張りで、やらなければならないことが徹底できていない。管理職・役職者の育成を進めていきたいんだ。」

問題の大きさに程度の差はあれ、経営に携わる方であれば、A事務長と同じお悩みをお持ちなのではないでしょうか?

病院はほとんどの職員が資格を持つスペシャリスト集団です。それぞれがスペシャリストとして果たすべき役割・責任に向き合っています。

しかし、スペシャリストとしての役割とマネージャーとしての役割は、しばしば対立します。目の前の患者さんによりよいケアを提供していこうと思うと当然ながら時間も人数も必要になります。しかし、マネージャーの役割はより多くの患者さんをケアすることを要求します。

スペシャリスト集団という特異な組織である病院だからこそ、いかに役職者(マネージャー)を育成するのかという問いに本気で向き合い、投資を惜しまない姿勢が経営力に繋がります。

人事制度全体を見直し、継続的な役職者育成の仕組みを作る

「事務長、マネジメント研修を実施することは当然ながら重要ですが、人事制度(等級制度・人事評価制度・教育体系)全体を整えることで、継続的に役職者を育成していく仕組みが作れるんです」

役職者育成を仕組み化する流れは、以下の通りです。
① 役職者に求める役割・責任を明確にする(等級制度)
② 役割遂行にあたって必要な知識やスキルを身に付けるための教育プログラムを作る(教育体系)
③ 役割遂行度をチェックし、振り返るためのツールを作る(人事評価制度)

上記3点を整えることによって、単発で終わらない継続的な役職者育成の仕組みを整えることができます。

当然ながらマネジメント研修は重要です。一方で「単年度の取り組みで終わってしまった」「そういえば、何年か前にそんな研修したね」と継続できないこともしばしばあります。

役職者育成に真正面から向き合い継続的な仕組みにしていきたいのであれば、やはり等級制度や人事評価制度まで一気通貫した制度設計が必要でしょう。

等級・人事評価制度のポイント

役割・責任を明確にし、等級制度という形でまとめていくことがファーストステップとなります。

「役割・責任って言われても・・・」と筆が止まってしまう方は、フレームワークに当てはめて考えてみましょう。

例えばBSCでよく使われる「戦略マップ」というフレームワーク。これは「財務・顧客・業務プロセス・学習と成長」という4つの視点から戦略を作り上げるフレームワークです。師長であれば、「稼働率目標の達成(財務の視点)」という役割・責任があるでしょうし、「患者さんによりよいケアを提供する体制づくり (顧客の視点)」という役割・責任があるかもしれません。このようにフレームワークに当てはめて考えると、整理がしやすいのではないでしょうか。

そして等級制度で整理した役割・責任をより具体化し、人事評価表に落とし込んでいきます。等級制度と人事評価表が一気通貫することによって、査定の意味合いだけではない、教育目的の制度を作りあげることができます。

等級・役割から研修プログラムを体系化する

最後に、等級制度や人事評価制度でまとめた内容から、研修プログラムを体系化します。役割・責任を遂行するのに必要な知識やスキルをまとめていきます。

例えば、「部下の意欲・満足度の向上」が役職者の役割なのだとしたら、「リーダーシップ」や「部下とのコミュニケーションスキル」、「モチベーションマネジメント」といった知識・スキルが必要となるでしょう。こういった具合に必要な知識・スキルをまとめていきます。

知識・スキルをまとめあげたら、適当な研修があるのか探しましょう。ただ、病院向けとなるとなかなか適当な研修を見つけることは難しいでしょう(弊社では、お客様のご要望に応じたオーダーメイドの研修プログラムをご提供しています。是非お問い合わせください)。

そういった場合には、研修の内製化やeラーニング、OJTでの教育を視野に入れた検討が必要となります。何にせよ、「いい研修ないかな…?」と探しているよりも、まず求められる知識・スキルを体系化し、それをどう教えていくのか考える方が建設的なアプローチでしょう。

今回は、役職者育成の仕組み作りをテーマとしてお伝えいたしました。本テーマはセミナーでもご好評ですし、お問い合わせもよくいただきます。解説資料もありますので、ご興味があればぜひお問い合わせください。

人を育成し、実効力の高い組織をつくる

本稿の執筆者

佐藤翔(さとう かける)
株式会社 日本経営 組織人事コンサルタント

学生時代に中小企業診断士を取得し、新卒で株式会社日本経営に入社。入社以降、一貫して組織人事領域のコンサルティングを担当。
人事制度や教育研修分野に強みを持ち、入社3年目で病院経営体感型研修「Change」を開発。またリクルート活動も担当し、2020年より新卒採用活動のプロジェクトマネージャーを務める。

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本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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