地域医療連携推進法人の成否を分ける設立構想
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業種
病院・診療所・歯科
- 種別 レポート
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― まず、地域医療連携推進法人はどのような背景から生まれたのか、概略を教えてほしい。
横井 発端は、2014年 1月のダボス会議での安倍晋三首相の演説です。「日本にも、メイヨークリニックのようなホールディングカンパニー型の大規模医療法人ができてしかるべきだから制度を改めるように」。これを受けて厚生労働省で「医療法人の事業展開等に関する検討会」が重ねられ、第7次改正医療法に地域医療連携推進法人の創設が織り込まれることとなりました。
― 2017年4月と施行が迫っているが、地域医療連携推進法人の設立構想は進んでいるのか。
横井 ご存知のとおり、岡山市の6病院による連携推進法人の設立構想などは注目を集めています(岡山大学病院、岡山市民病院、岡山ろうさい病院、岡山赤十字病院、岡山済生会総合病院、岡山医療センター)。
そのほか、
・総合病院同士のグループ化による機能分担・業務連携(大学病院、市立病院、独立行政法人立病院等)
・地域の中堅病院の間での診療科目の分担・職員の相互交流等の連携(中規模の医療法人等)
・総合的なコールセンターの設置・連携促進(医療法人、社会福祉法人等)
など、いろいろなパターンが出てきています。
― 地域医療連携推進法人のメリットは、一言で言うと何か。
横井 メリットとしては大きく2つ。1つは参加法人内で病床移動ができること。急性期から回復期に機能転換を図るなど、M&Aをしなくても過剰病床を適正化できます。もう1つは、参加法人内で資金の貸し借りができること。地域医療連携推進法人ならではのメリットは、この2つでしょう。地域連携室が展開する地域連携との違いは、患者さんの入退院といった現場レベルでの連携ではなく、経営レベルの連携だということです。
― 逆に、地域医療連携推進法人設立構想にあたって障害になっていると考えられることは何か。
横井 さまざまな制約がつくので、とっつきにくさがあるのではないでしょうか。また、地域医療連携推進法人は参加法人を統括するものの、議決権のあり方や参加法人の加入・脱退など、舵取りの仕方がイメージしづらいかもしれません。M&Aのように同一グループになるわけでもなく、地域連携室のような現場だけの連携でもないので、舵取りが強すぎても弱すぎてもいけません。最大の問題は、「何を目的に設立するのか」。枠組みだけ作っても、目的がなければ機能しません。設立構想をどう描くかが、地域医療連携推進法人の成否を分けるでしょう。
― そのような中で、日本経営はどのようなサポートができるのか。
横井 地域医療連携推進法人は、地域医療レベルの連携であると同時に、経営レベルでの連携でもあります。ですから、双方を踏まえて構想しなければなりません。私たちは、地域医療構想やそれぞれの法人の機能・経営資源を踏まえて、意味のある連携の枠組みをご提案できます。誰が口火を切るのかなど難しさもありますが、一度は検討の遡上に上がるでしょう。選択肢の一つとして検討段階であってもご相談をいただければ、設立構想のご提案、最適な提携先の抽出、地域の巻き込み、設立申請支援、運営支援などプロセスに応じたサポートをご提供できます。もちろん、検討の結果、まだ時期尚早だと見送る場合もあるでしょう。
人口が減少し職員も確保できず、このままではどこも共倒れになってしまうという危機感のある地域などでは、地域医療連携推進法人は真剣に検討しなければならない選択肢です。
加えて、これからの病院経営でボトルネックとなるのは、職員の確保。共同研修やキャリアステップ、福利厚生などはもちろんのこと、採用や健保組合の設立、401kなど、そこで働く人の目線から構想してみることも、地域医療連携推進法人の重要なテーマだと考えます。
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