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介護職員等ベースアップ等支援加算とは

  • 業種 介護福祉施設
  • 種別 レポート

介護職員等ベースアップ等支援加算とは?

株式会社日本経営 / 土谷 亨

介護職員等ベースアップ等支援加算とは、令和4年10月の介護報酬改定(臨時改定)を経て創設される新たな加算です。介護職員に対して3%程度(月額 9,000 円相当)引き上げるための措置という意味合いが強く、介護職員以外の職種にも配分することが可能な加算です。


本加算は、今年2月に新設された「処遇改善支援補助金」の考え方をベースにしています。従来の「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」とは異なる加算に位置付けられ、処遇改善を目的とした加算は全部で「三階建て」の構造となります。

介護職員ベースアップ等支援加算の特徴

今回の加算ですが、「分配」という視点で見ると、介護職員以外(例:リハビリ職、看護師、事務職ほか)にも配分ができるため、この点は2019年に創設された「介護職員等特定処遇改善加算」に比較的近くなっています。一方で、処遇改善のどこに充てるかについては、他の加算と比較して独自のルールが設けられています。新加算では「月次の処遇改善」に対するメッセージが強く、「加算総額の3分の2以上は、基本給または毎月決まって支払われる手当」で賃金改善を行うことが必要とされています。従来の処遇改善加算、特定処遇改善加算は全額賞与、全額一時金という賃金改善が可能ですが、新加算ではあくまでも月次給与への還元が重視されています。

介護職員ベースアップ等支援加算をどう算定するか?

既に処遇改善加算等を取得している事業者にとっては、加算取得のハードル自体はそこまで難易度は高くないと考えられます。要件は次の2つです。

①処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得している事業所(現行の処遇改善加算の対象サービス事業所)
②賃上げ効果の継続に資するよう、加算額の2/3 は 介護職員等 の ベースアップ等に用いる

全国で9割以上の介護事業者が処遇改善加算を算定している現状を鑑みても、要件①についてはクリアする事業所が多いと思います。ポイントとなるのは要件②で、他職種とかなり賃金のバランスがとりにくくなる可能性が想定されます。

加算率はどう計算する?

現行の処遇改善加算や特定処遇改善加算と同様に、介護サービス種類ごとに設定された一律の加算率を介護報酬に乗じる形式です。

なお、2月~9月に設定されていた「介護職員処遇改善支援補助金」の交付率と若干異なるサービスがある点に注意が必要です。これは、計画段階で、基本報酬+加算減算を計算する際に、処遇改善加算・特定処遇改善加算を含んで算定しますが、新加算は除外して計算する関係で、割合が少々変更されています。

計画書の提出は?

10月から算定する場合には、8月末までに都道府県にベースアップ等支援加算の計画書を提出する必要があります。今回から処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の3種類が一本化された計画書フォームになっています。新加算のみを申請する場合には、該当箇所のみ記載する形になります。

介護職員ベースアップ等支援加算の活用をどう考えるか?

配分方法を検討する際、既に処遇改善支援補助金を活用している場合には「現行の補助金の支給方法」をベースに考える検討される場合が多いかと思います。改めてゼロベースで計画を進める場合には、対象や方針、種類を組み立てていく必要があります。

新加算では、一定額をベースアップ等に用いることが前提となっているため、月次の配分方法から検討するとスムーズといえます。対象を介護職員のみとするか、他職種にも広げるか、加算収入を鑑みると、一人あたりの支給額はいくらにすべきか等をまず明らかにします。

その上で、万一計画と実収入に相違が生じた場合に、持ち出し原資が増えすぎないよう、調整できる余白を残しておくことも重要です。「加算額の3分の1未満」の部分を、賞与や一時金で調整するかを検討します。

まとめ

法人によって特定処遇改善加算の配分方法は様々ですが、より良い組織づくりを目指すためには、給与の高さではなく、仕事の質や量、責任や頑張り度合いに応じた納得感のある支給ルールが大切です。

弊社がご提供する給与制度分析サービスは、制度上の課題と今後の取り組みを可視化することで、賃金体系の特徴を掴むことができるため、 法人の求める職員の育成や事業戦略の実現に繋げることができます。

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本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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