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人事評価制度を導入する目的と成功する導入手法やポイントを解説

  • 業種 病院・診療所・歯科
    介護福祉施設経営
    企業経営
  • 種別 レポート

人事評価制度を導入する目的と成功する導入手法やポイントを解説

株式会社日本経営 / 取締役 橋本 竜也

人事評価制度とは

多くの企業で当たり前のように実施されている人事評価制度ですが、人事評価とは何かと改めて定義すると、「従業員の業務上の成果や実績、職務遂行行動を基準に従って判定すること」と定義することができます。

さて、この解説では「人事評価」と表現していますが、関連して人事考課、人事査定といった言葉が使われることもあります。

まず初めに、それぞれの言葉の意味について解説します。

人事評価とは、従業員の職務遂行について、その成果や実績、職務遂行行動を基準に従って判定することです。人事考課とは、人事評価を実施し、それを本人にフィードバックし、育成につなげるまでの全てを含むことが一般的です。

部下の”課”題を”考”えることが語源ともされています。

人事査定とは、人事評価とほぼ同義ですが、減点方式の印象を受けることが多く、あまり使われない傾向にあります。これらの言葉は、厳密に区分されずに使われることが多く、実際、それによって問題が起きることはほとんどありません。

人事考課制度は、人事評価を実施し、それを本人にフィードバックするまでの一連のプロセスを指すのであり、人事評価や人事査定は人事考課の一部であるという認識をしておけば、特に問題はないでしょう。

この解説においては、基準に従って評価するというポイントを明確にして話を進めるために、「人事評価」に統一して解説します。

導入する目的

一般的には次の3点が人事評価を実施する目的として示されることが多く見られます。

人材育成

期待される成果、職務遂行能力、職務遂行行動を明示し、それに基づいた指導・育成を行う。また、本人も期待人材像に向けて努力することにより、能力向上を図る。

公平処遇の実現

適切な人事評価結果に基づいて給与、賞与、昇進・昇格、異動等の人事処遇を行うことで、公平で納得性のある処遇を実現する。

組織活性化・モチベーション向上

適切に評価し、評価に応じて処遇で報いることによって、従業員のモチベーション向上を実現する。

その他、各企業の独自性により追加される目的や多少の違いはあるでしょうが、上記3つの目的はどのような企業であっても当てはまるのではないでしょうか。

確認してみると当たり前のように感じることもあるかもしれませんが、人事評価制度を構築していくにあたって、人事評価を実施する目的を抑えておくことは非常に重要です。なぜなら、人事評価制度自体は手段であり、目的に沿った形で構築、運用されなければ効果を発揮できないからです。

人事評価すること自体が目的化してしまうと、とにかく早く進めることだけが重視されたり、評価だけして部下の育成に活用しなかったり、昇給や賞与に反映しても評価結果を本人にフィードバックしなかったりなど、人事評価でよくある失敗につながってしまいます。

目的を抑えて人事評価を構築するというのは、例えば、自社が求めることを人事評価項目に漏れなく入れるとか、フィードバックしやすい人事評価表にするとか、減点方式にしないとか、加点式にするといったことが考えられます。

つまり、自社に合わせた人事評価制度が必要であり、他社の人事評価制度を持ってきて使っても、人事制度の目的を果たすことはできないということでもあるのです。

さて、ここまで人事評価制度の目的を解説しましたが、そもそもなぜ人事評価制度を導入するのでしょうか。

導入の狙い

人事評価制度を導入しようとするきっかけには、以下のようなことがあります。

  • 従業員が増えてきて管理しきれなくなってきた
  • 社長が給与を個別に決めるのは限界になってきた
  • 従業員の貢献と年収が合っていないので合わせていきたい

これらはきっかけとしてはその通りなのですが、経営管理・組織運営の面では、外すことのできない重要な狙いがあります。

それは、従業員のパフォーマンス向上と経営戦略の実行です。

これらは、人事評価制度に経営上求められている機能ということもできます。

人事評価制度は経営戦略に沿って従業員のパフォーマンスを向上させ、経営戦略の実行を高めるという機能が求められているのです。
そのため、ただ人事評価を実施して、正しい評価結果を判定するというだけでは不十分です。

人事評価が経営機能として効果をあげているかどうかは、従業員のパフォーマンス向上と経営戦略の実践に役立っているかどうかで見る必要があります。

これはまさに、人事部が求められている役割でもあります。

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ランク付けしない新たな評価制度

アメリカを中心とした欧米では、近年「ノーレーティング」が進んでいます。ある調査ではアメリカの大企業の8割以上がノーレーティングにしているか、しようとしているというデータもあり、日本でも関心が高くなっています。

日本ではこのノーレーティングを人事評価制度の廃止と捉える人も多いですが、正確には「順位付け、ランク付けをしない」ようになってきたということです。
例えば、日本では大企業を中心に相対評価をしている企業が少なくありませんが、これはまさにレーティングと言えるでしょう。

上位1割は最高の評価、逆に下位1割は最低の評価を必ず付けるとか、同じ等級の人材を比較して順位付けをするといった方法です。
また、人事評価を実施するとA評価とか、B評価といった総合結果を出すことがほとんどですが、これはランク付けと言えるでしょう。

特に順位付けの場合、どんなに頑張っても最下位の人は必ず出ることになります。
はたしてこれで、従業員のモチベーションアップやパフォーマンス向上につながるでしょうか。

多くの実証研究において、また経験的にも順位付けは従業員のパフォーマンス向上につながらないことが示されています。つまり、人事評価導入の目的に沿わない。だから欧米ではレーティング(順位付け)をやめたということなのです。

ところで、順位付けをしなければ人件費が上がりすぎてしまうのではないか、欧米ではどうやって給料を決めるのかという疑問がうかぶかもしれませんが、これは欧米と日本の給与システムの根本的な違いを理解しておく必要があります。

欧米はいわゆるジョブ型と言われますが、担当している仕事と役割によって給与の絶対額が決まっています。
日本は人事評価によって「昇給額」が決まることがほとんどです。
つまり、欧米は「絶対額管理」、日本は「昇給額管理」であることが大きな違いです。

欧米では基本的に昇給という考え方もありませんし、賞与も年間1ヶ月分くらいが支給されることがあるくらいで、同じ仕事で同じ役割であれば、年収はほぼ固定なのです。

簡単に言えば担当業務を適切に実行できているか、担っている職責を果たせているかを評価しているのであり、もしできていないということになれば解雇になるというシンプルな論理なので、相対評価をしなければ人件費が上がってしまうという心配はないのです。(とはいえ、欧米でも思っているほど解雇は簡単ではありません)

ノーレーティングの解説が長くなってしまいましたが、人事評価を導入する狙いとして、パフォーマンス向上と経営戦略の実行の徹底があり、欧米の人事部門はその狙いを実現するために相当こだわっているのだと理解していただければと思います。
ノーレーティングにするかどうかは別として、人事評価を導入する以上、従業員のパフォーマンス向上と経営戦略の実現にこだわることが重要です。

職能資格制度の課題と人事評価の変革

日本では高度経済成長期に職能資格制度が大企業を中心に一気に広がりました。

その後、能力主義から成果主義へと変わり、またその反動を受けて成果主義が少しマイルドになったりと人事制度のトレンドも変化し続けていますが、ベースとしての人事制度は変わらず職能資格制度であり、それを見直しながら運用しているというケースは少なくありません。

職能資格制度とは、等級ごとに定められた職能要件がどれだけ身に付いているかを評価するという仕組みです。

職能とは、職務遂行能力のことで、その能力が身に付いているかどうかを評価するため、能力主義的とされます。

簡単に言うと「~ができるか」ということを評価していくわけですが、仕事においては「できるけど、していない」ということはよくあることであり、従業員のパフォーマンスを評価するという視点で考えると、できるかどうかの評価では不十分だとされるようになってきました。

職能資格制度では、等級ごとに細かく仕事を洗い出し(課業と呼ばれる)、それがどれくらいのレベルでできる必要があるかを職能要件書にまとめていくことが人事評価制度作りの最初になるのですが、この職能要件書が非常に膨大で、またメンテナンスが大変だということも課題としてあげられるようになりました。

変化が激しくなっているビジネスの世界では、苦労して作り上げた職能要件書がすぐに陳腐化してしまうという場合もあります。

こうしたことから、成果そのものを評価するために目標管理制度が重視されたり、能力があるかどうかではなく、行動しているかどうかに注目する行動評価(コンピテンシー評価)が幅広く使われるようになるなど、職能資格制度の等級の概念は維持しつつも、人事評価制度は様々な工夫により、各社のやり方も広がっています。

行動評価(コンピテンシー評価)について、次の評価の種類で詳しく解説します。

評価の種類

一般的な人事評価では、職務遂行能力評価と行動評価と成績評価の3つの軸に分かれます。

職務遂行能力評価

①能力評価

能力評価の基本的な考え方は、「求められる能力が身に付いているかどうかを評価する」ということです。能力は仕事に必要な能力であればどのような能力でもいいのですが、一般的には「企画力」「提案力」「判断力」「問題解決力」など、「〇〇力」という形で示されます。

職能資格制度においては、職能要件書に示される職務の内容を踏まえて、これらの能力がそれぞれ十分身に付いているのかを評価することになります。また、例えば「問題解決力」であれば、「日常的に生じる問題は独力で解決できる」「日常的に生じる問題は、上司の支援を受けて解決できる」といったように基準を示して評価する方法もあります。

ただし、能力は発揮されなければ見えないものなので、保有している能力を適切に評価すること自体が難しいという課題があります。

②スキルレベル評価

担当している仕事に必要なスキルが身に付いているかどうかを評価するものです。能力に比べてスキルは技術なので目視で判断できることが多く、チェックリスト式で評価したり、判定表に基づいて評価したりします。

例えば、「A商品のメリットを顧客に正しく伝えることができる」「手順に沿って経理処理を行うことができる」「手順に沿って〇〇を操作し、時間内に作業を完了することができる」というように細かな単位でスキルをチェックしていきます。

ただし、仕事のスキルは細かくすれば膨大にあるため、チェックシートが細かくなりすぎ、評価に多大な時間がかかる傾向があります。そのため、指導・教育用のツールとして使い、人事評価としては使わないという企業も少なくありません。

行動評価

①職務行動評価

求められる職務遂行行動をどれくらいのレベルで実行しているかを評価する方法です。

行動評価なので、できる能力があったとしても、していなければ評価されません。

例えば、お客様に対して、ほしいと言われたものを販売するだけでなく、お客様のニーズを探って、自分から提案することを求めるということであれば、そうした行動をしているかを評価基準とします。

もし、能力評価であれば、「お客様のニーズを探ることができるか」「ニーズを踏まえて提案する能力があるか」ということを評価することになりますが、行動評価ではこれらを含めて、「お客様から直接要求されなくても、ニーズを探り、自分から提案しているか」ということを評価することになります。そもそもニーズを探る能力や提案する能力がなければこれらの行動はできないわけですし、能力があってもしていなければ価値がないので、「しているかどうか」を評価すればよいという考え方です。

行動面は目に見えるので評価しやすいですが、レベル差を文章で表現するのが難しくてあいまいになりやすかったり、行動には表しにくいが重要な項目を評価しにくいことがあります。

②コンピテンシー評価

コンピテンシーとは、「成績優秀者の思考・行動特性」と定義されています。仕事で成果を上げている人がどのような思考や行動をしているのかをインタビュー等で明らかにし、他の人も同じようにすれば成績が上がるはずという前提で考えられたものです。むしろ、人事評価というよりも、パフォーマンス向上のための教育やガイドツールとして生まれたものですが、人事評価に取り入れられることも少なくありません。

コンピテンシーも明らかにしつつ、会社が求める役割発揮行動、貢献行動も加えて評価項目を設定していくということも多く、行動評価の一部にコンピテンシーも含まれて使われていることが多くなっています。

ただ、人事評価では「思考」を評価することは極めて難しく、「行動特性」が評価基準になることがほとんどです。そのため、行動評価とほぼ同じように使われています。

成績評価

①実績評価

売上、新規契約件数、歩留まり率、ミス件数、など、仕事の実績を評価するものです。20件以上はA評価、15~19件はB評価など、基準を決めて評価します。実績は数値化されるので客観的に評価しやすいとされています。ただし、その実績の中身や前提には個別性が多いことも多く、それが不公平感や不満につながることもよくあります。

例えば、営業の契約件数は非常に分かりやすい指標ですが、担当しているエリア、担当顧客、取り扱いサービス、担当地域の競合状況など、様々な条件を上げればきりがありません。実績は評価が簡単と考える人は多いですが、こうした前提を踏まえようとすれば非常に複雑になります。前提を全く踏まえないと評価が低くなった人は上記のような前提に不満を持つことが多く、不公平感を強く持つ傾向があります。

実績基準と前提条件をどこまで踏まえるかがポイントになります。

②目標達成評価

立てた目標の達成度を評価する方法です。目標達成度評価(目標管理制度など)を取り入れると「成果主義だ」と考える人もいますが、目標達成度評価自体は成果主義とは言えません。成果主義はむしろ実績評価のほうが近いでしょう。目標達成度評価は、あえて言えば「目標達成度主義」。成果の大きさを評価しているのではなく、目標を達成したかどうかを評価しているということです。

どのような目標を、どれくらいのレベルで設定するかということがポイントになります。目標設定は、経営戦略や部門目標、本人が担っている役割や職務、さらには本人の能力を踏まえて設定することになりますが、この場合、人によって目標の内容や難易度が異なることもあり、それが従業員間の不満になることもあることに注意が必要です。また、経営戦略や部門目標を踏まえた目標を設定することが重要ですが、それを個人ごとに設定することが難しい場合も少なくないため、目標設定に工夫が必要です。

なお、目標はできる限り数値基準で設定しますが、全てが数値で設定できるとは限りません。その場合は、ある時点でどういう状態になっているかを示す「状態基準」で設定します。

例えば、「9月時点で新たなシステムをスムーズに稼働させる」といったように、いつの時点でどういう状態になっているか判定ができる基準で目標を設定します。

主な評価手法(誰が評価するのか)

ここでは、誰が評価するのかという着眼で、人事評価手法を見ていきます。

自己評価

自己評価は人事評価基準に従って、自分で評価することです。

人事評価プロセスとして、自己評価の次に上司評価をするという企業も少なくありません。目標達成度評価や実績評価の場合は、自己評価と上司評価がずれることはあまりありませんが、職務遂行能力評価や行動評価は、自己評価と上司評価がずれることも多く、そのズレに悩む上司も多いようです。

自己評価と上司評価のズレは、人材育成のポイントと位置付けられ、自己評価が上振れしていれば、まだ不足している部分を上司とすり合わせて能力開発を促します。自己評価が下振れしていれば、動機づけし、自信を付けさせます。

よくある勘違いが、自己評価が人事考課の最終結果に多少なりとも反映されるということです。人事評価は上司が行うことが原則であり、自己評価はあくまで人材育成のために使われます。

ただし、自己評価が人材育成に効果的に活用されるということを疑問視する声も少なくありません。また、評価はあくまで自分以外の人から受けるものであり、自分でするものではないという考え方から、自己評価を取り入れていなかったり、人事評価のプロセスとは別に実施したり、それぞれの項目について取り組んだことを記載して評価ランクは自己評価しないといった企業も多くあります。

自己評価は人事評価において不可欠と考える必要はありません。

上司評価(垂直評価)

基本的な評価の方法で、直属の上司が部下を評価する方法です。
一次評価、二次評価、三次評価というように複数の評価者の目を通すことで客観性を高めていることがほとんどです。

最終結果を出す際に、一次評価、二次評価、三次評価の結果にウエイトをかけて判定しているケースを見ることがありますが、これは責任の所在をあいまいにすることにもなり、適切ではありません。

上司評価においてもっとも重要なのは一次評価であり、その評価が恣意的であったり、不適切なものではないか、また全体のバランスに問題ないかをチェックするために二次評価、三次評価があるという組み立てが大事です。

つまり、それぞれが独立して評価をするのではなく、二次評価者は一次評価の結果を、三次評価者は二次評価の結果をチェックするという方法が基本となります。

360度評価

本人を取り囲む上司、部下・後輩、同僚等が評価する方法を360度評価とか、多面評価と言います。多くの人から評価を受けるため、客観性が高まることや本人の気づきにつながることがメリットとされています。

一般的には評価者は匿名で、本人には集計結果がフィードバックされます。上司も常に部下を見ているわけではないので、より多くの評価者から評価を受けるというのは本人にとって納得度が高いとされています。

ただし、評価結果が思ったよりも悪かった場合、本人が受けるショックも大きく、注意が必要です。

また、部下や後輩、同僚が評価できる項目は限られるということにも注意が必要です。

例えば、「チームワーク」や「職場ルールの順守」といったことは部下や後輩、同僚でも評価しやすいですが、「上司サポート」「部下育成」「問題解決行動」といった項目は評価しにくいですし、上司から見た視点と部下や後輩から見た視点では評価が異なるということもあります。

そのため、人事評価においては360度評価は補助的ツールとして使ったり、人事評価には使わず自己改善のツールとして使われたりすることもあります。また、昇格審査の時に実施し、部下・後輩、同僚からの評価を昇格判断の一つとしているケースもあります。いずれにしても導入する場合は慎重に進めるのがよいでしょう。

人事評価の作り方とは?導入手順と手順

人事評価の導入は、以下のように進めていきます。

①人事評価導入の目的を明確にする

すでに解説した通り、人事評価制度は経営機能としては、従業員のパフォーマンスと経営戦略の実行度の向上につながることが重要です。さらに、人勢育成や適正処遇の実現なども含め、自社において人事評価制度を導入する目的・意義・狙いを明確にすることが第一です。

②人事評価体系を設定する

人事評価には職務遂行能力評価、行動評価、成績評価などがあります。これらの組み合わせを決めることが人事評価体系の設定です。人事評価制度の目的を踏まえて、自社に合った体系を設定します。

この体系は等級や階層別に違いが生まれることもあります。例えば、管理職は成績評価を重視するが、職務遂行能力評価は必要ないとか、逆に一般職は職務遂行能力評価や行動評価だけで評価するといったことです。

③人事評価項目を設定する

人事評価体系が決まれば、それぞれについて何を評価するか人事評価項目を設定します。この際、今の仕事に合わせるだけでなく、これから必要になる能力や行動なども想定して項目を設定することが大事です。

④人事評価基準を設定する

人事評価項目ごとに評価の基準を設定していきます。ここが最も時間と手間がかかるところになります。なんとなく評価の分かれ目は分かっていても、誰でも判断できる基準に文章化していくのは、簡単ではありません。100%客観的に誰でも判断がつく基準を設定するというのは至難の業ですが、できる限り客観的に判断がつくように試行錯誤しながら基準を設定しましょう。行動評価の場合は、「努めている」「よくやっている」「考えている」といった表現は評価しにくい代表的な表現とされており、できる限り「~している」といった表現にできるようにすることがポイントです。

⑤点数化ルールを設定する

各評価項目を5段階評価する方法が一般的ですが、最終的に総合結果を出す際には、各評価項目の点数の割り振り(ウエイト)と総合結果の点数区分が必要になります。重要な項目には高い配点をするなど、狙いに合わせて点数化のルールを設定します。

⑥テスト実施して調整する

完成した人事評価をすぐに実践投入するのは危険です。会社全体や一部の部門でのパイロットケースでテスト実施し、評価者からの意見を聞いたり、評価結果の分布傾向を確認したりして、人事評価項目や基準、点数配分の調整をします。

⑦従業員への公開、評価者研修

テスト実施の調整を終え、完成した人事評価制度を導入する際には、できる限り説明会を開きます。

最近では説明動画を社内に公開する方法なども広まっています。

従業員に人事評価表を開示し、どのようなことが求められているのか、どのような基準で評価されるのかを理解してもらって人事評価制度をスタートします。合わせて、人事評価実施時期には評価者研修によって、人事評価ルールの理解や判断基準のすり合わせを行うことが必須です。

導入によるデメリットとは?隠れていた組織の問題点

人事評価の導入は、組織の活性化や従業員のモチベーション向上など、企業にとって数多くのメリットがあります。

一方、人事評価を導入することで、隠れていた組織の問題点が発生し、デメリットを伴うこともあります。

例えば、「評価に対する納得が低い」「従業員同士の人間関係が悪くなってしまった」「退職者が増えている」などがあります。

このような人事評価導入によって出てくる問題点の原因は、これまでに解説してきた人事評価制度導入・実施の目的が不明確である場合や、サンプル利用等によって自社に合わない評価基準を用いていることなどが考えられます。また、経営方針の不明確さ、管理職のマネジメント・人材育成力不足、組織風土の課題なども考えられます。

それぞれの課題は、前後が入れ替わったとしてもいずれ発覚する問題のため、一つ一つの対応が必要です。

成功する人事評価制度導入のポイント

人事評価制度はあくまで経営ツール、組織マネジメントツールの一つです。

人事評価制度がうまくいかないという場合、人事評価体系の問題や評価基準の問題にして改善を図ろうとすることが多いですが、根本的に人事制度の目的が不明確な場合が少なくありません。

ツールは目的に沿って使った場合に、その本来的な効果を実現することができます。人事評価制度を初めて導入する場合でも、現在の人事評価制度を見直しする場合でも、まず人事評価制度導入・運用の目的を明確にし、その実現のためにどのような仕組みがよいかという流れで検討していくことが、人事評価制度を成功させるためのポイントです。

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このレポートの解説者

橋本竜也(はしもと たつや)
株式会社 日本経営 取締役

1999年入社以来、人事コンサルティング部門にて、一貫してクライアントの人事制度改革に携わるほか、不採算病院の経営再建にも従事。コンサルティング実績は100社を超え、全国の金融機関、医師会、各種団体等での講演も多数。 2013年1月福岡オフィス長。2017年10月より株式会社日本経営取締役。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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