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病院の経営改善施策と効果的に進めるための経営分析

  • 業種 病院・診療所・歯科
  • 種別 レポート

近年、医療機関を取り巻く環境は非常に厳しくなっています。
独立行政法人福祉医療機構のデータに基づいた分析調査では、2019年度医療法人の経営状況について、病院の利益率は2.0%となっており、22.4%が赤字病院となっています。

参照:独立行政法人福祉医療機構「2019年度(令和元年度)医療法人の経営状況について」

このような厳しい環境から、どのようなアクションを起こし、どのように実行していくのか、ここでは、病院の経営改善施策と効果的に進めるための経営分析について解説します。

まず初めに、病院経営の利益を左右する要因と病院経営を改善するために必要なことについて解説します。
次に、病院の経営改善を効果的に進めるための経営分析について、最後に、病院の経営改善のポイントについて詳しく解説します。

病院経営の利益を左右する要因

病院経営の利益を左右する要因には、診療報酬・介護報酬の改定の実質マイナス改定、消費税の増税、建築単価の高騰などがありますが、最も利益を左右する要因として、人件費、病床稼働率の低下、コロナ禍など外部環境の変化があります。

それぞれ詳しくみていきます。

人件費の増加

人件費増加の背景には、多職種での医療(いわゆるチーム医療)が評価されたことにより、様々な職種の採用が必要となり人員数が増加したことや、生産年齢人口の高齢化や最低賃金の引き上げ等の影響により、一人あたりの給与単価が増加したことが影響しています。
収益の変化に対し、人件費の高騰が上回り、結果として人件費率の高騰、利益悪化するといったケースがあります。

病床稼働率の低下

病院における保険診療の中で大きな割合を占めるのが、入院収益です。
入院収益は、治療行為や患者の状態により大きく異なり、診療する患者層に合った病棟機能が診療報酬上で設定されています。

また、医業収入は「患者数×患者あたり単価」となっており、患者あたりの単価は、診療報酬改定の影響で変動します。

そのため、病床稼働率は、入院収益そのものに直結するため、人件費や設備投資など、固定費が多い病院は、病床稼働率が一定の水準を下回ると一気に赤字経営に陥ってしまいます。

コロナ禍による外部環境の変化

コロナ感染拡大により、コロナ感染症の重症患者に重点化、集約化するため、多くの病院では予定入院や手術の延期が行われました。

また、病院の受診を控えるなど、患者の通院頻度が減少し、医療事業の収入に大きな影響を及ぼしました。さらに、コロナ感染拡大防止対策のためのパーテーションの設置、マスクや消毒剤などが必要となったことでコストが増加しました。

病院経営を改善するために必要なこと

次に、病院経営を改善するために必要なことは、①経営の実態を正しく把握する②経営戦略の見直し③職員の生産性向上④コスト適正化⑤組織マネジメントです。

それぞれ詳しく解説します。

①経営の実態を正しく把握する

まず初めに、病院の経営実態を正確に把握することが重要です。

経営改善が必要な病院は、経営実態を正確に把握していないことが課題として挙げられることが多くあります。病院は、経営最高責任を持つ理事長が医師でなければならないため、医師として医療のスペシャリストではあるものの、経営のかじ取りがうまくいかないケースが多々あります。

固定概念にとらわれず、客観的な目線で病院経営を定量的に評価し、現状を把握することが、経営改善、改革の第一歩となります。

②経営戦略の見直し

医療機関が、安定した経営を継続していくためには、中長期的な展望に立った経営方針や経営戦略を策定することが必要です。
目的・目標達成、ビジョンの実現に向けて取り組みを進めます。

③職員の生産性向上

病院の事業は、職員の生産性向上が重要な鍵となります。

病院は、第3次産業のサービス業の中でも、労働集約型の事業に該当し、医師や薬剤師、看護師などの専門職種が患者に医療サービスを提供した対価を得る仕組みとなっています。そのため、それぞれの専門職種の生産性が経営の論点となります。

また、病院経営は、基本的に保険収入と保険外収入(いわゆる自費診療)があり、多くの病院の収益源となっているのが、保険診療です。

保険診療は、診療報酬によって一つひとつの医療行為で収益が定められており、そのルールの中でいかに収益を上げていくかがポイントとなります。生産されるサービスの質も、そこに関わる職員の満足度によって影響を受けているため、よいサービスを提供するためにも、職員の満足を高めることが重要です。

④コスト適正化

コストの言葉から、取り組みの目的といえば、財務面に関わるものだけとイメージしてしまいますが、単純に「コスト削減」を推し進めるのではなく、「コストマネジメント」として広い視野で取り組むことが重要です。

まず、院内において、コストマネジメントにおける分析・整理・把握することが大切で、コストマネジメントを取り組むことで、多くの副次的な効果を得ることが出来ます。

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⑤組織マネジメント

経営改善の実現には、強力なリーダーシップや仕組みづくりが重要になります。

リーダーシップは文字通りトップを含めたリーダーが発信し、アクションを起こすきっかけをしっかり作れるかがポイントになります。

もちろん組織的にリーダーシップの発揮だけでなく、仕組みで組織を動かしていくことも手段の一つとしてあります。ただし、何のために改善していくのか、どのような病院になっていきたいかなど、ビジョン・ミッションの共有をしかるべき者から発信することで、行動変容の第一歩となるケースが多数あります。

今後も加速する病院の再編と統合

昨今、超高齢社会にも耐えうる医療提供体制を構築するため、2014年(平成26年)6月に成立した「医療介護総合確保推進法」によって、「地域医療構想」が策定され、機能再編が推進されてきました。

また、機能分化や地域連携の推進による、病床の過不足を解消する動きが活発化してきており、一部の経営効率化を求めた動きとして、地域医療連携推進法人の立ち上げ件数が増加傾向にあります。

そのため、病院の再編統合も、病院経営改革の一つの選択肢でもあります。

病院の経営改善を効果的に進めるための経営分析

持続可能な病院経営を目指すためには、経営の実態を把握することが大切です。

経営分析をすることで、病院の経営状況を客観的な指標で見ることができるため、病院の経営成績や財政状態などを冷静に判断することができます。

また、課題や問題点を把握し、そのための改善策が立てやすくなります。

そこで、経営分析の基本となるのが、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表です。財務諸表のような定量的な数字の分析を柱としつつ、病院の機能や規模、地域性を踏まえた経営状況の実態を計数的に把握します。

病院では、財務諸表から生産性、機能性、安全性の3つの視点に分けてみていきます。

損益計算書(PL)の視点【収益性・生産性・機能性】

病院の経営構造は、主に、医師や看護師といった有資格者が、医療サービスを提供することによって収益を生み出す労働集約型の事業モデルとなっています。そのため、有資格者の労働生産性が収益性に大きく影響を及ぼします。また、看護師を含めたコ・メディカルスタッフは、医師の指示のもと、医療サービスを提供することで収益を得ることができます。生産性を測る指標として、医師1人あたりの患者数、看護師1人あたり患者数、薬剤師1人あたり服薬件数などがあります。

次に、収益性を左右する要素として、病棟機能や診療科があります。

病棟機能は主に患者の病期や疾患、状態によって診療報酬状の評価が区分されており、主に高度急性期、急性期、回復期、慢性期等があります。例え同じ患者層であっても、患者層と病棟機能がミスマッチである場合、適切な入院料が算定できず、収益に大きく影響します。

現在診療している患者層を踏まえたうえで、最適な病棟機能を選択していくことが病院経営にとって重要な要素となります。

診療科は各科によって収益性の高い診療科、低い診療科があります。これは診療報酬の設計に関連します。診療報酬の設計は、社会的な課題となる疾患、特に国が指定する5疾病(がん、精神疾患、脳卒中、急性⼼筋梗塞、糖尿病)5事業に関する評価が高くなりやすい傾向にあります。また各診療科によって、入院が必要となる患者が多い診療科、手術が多くなる診療科については、比較的収益性が高くなりやすくなります。

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貸借対照表(BS)の視点【安全性】

病院における安全性管理で重要となるのが、借入金のマネジメントです。
借入金のマネジメントで重要な点は、規模、収益力といった返済能力に比して、借入額が過大か否かという面と、資金使途と調達との関係がバランスよくとれているか否かという点です。

病院は、固定比率が高く、建物やハードへの投資が多い事業となります。ホテル事業によく似ている構造となっていますが、病院は、より高額医療機器などへのハード投資が多くかかります。

そのため、初期投資が非常に多いため、固定資産が多くなると同時に、負債比率も高くなる傾向にあります。これらを検証する指標として、安全性指標(流動比率、固定比率、借入金比率等)を組み入れ、過度な投資や改修といったものを抑制していく必要があります。

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利益改善で黒字決算へ、病院の経営改善のポイント

病院経営は、儲けるために利益を出すという考え方ではなく、事業存続費(未来費用)として利益に対する考え方を一致させることから始まります。そして、病院の経営改善を実現していくために、適切な改善施策を検討、戦略・戦術へ転換し、実行までのアクションプランを設計し、現場と改善していくためのロードマップが必要です。

日本経営グループでは、病院の経営改善を通して、現場の意識改革・担当職員の育成、コストマネジメント体制の構築をご支援しています。

全国の病院・介護福祉の現場で、コスト削減・コストマネジメントの実績と知見を積み重ねてきました。

経営課題を明らかにしたい、何から手を付けていいかわからないなど、病院の経営に関する課題やお悩みを、医療機関に専門特化したコンサルティングがサポートいたします。

また、コンサルティングのエッセンスを注ぎ込んだ病院分析システム「Libra」もご提供しております。病院の経営改善・臨床の質改善に直結する分析データをカンタンに確認することができます。

DPCやレセプトなどの診療報酬請求データだけの分析ではなく、財務・職員数などのデータを組み合わせて、より多角的・本質的なデータ分析が可能です。ぜひ、お気軽にお問合せください。

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