医療・介護現場でのカスハラ対策は大丈夫ですか?/約3分で耳ラーニング
-
業種
病院・診療所・歯科
- 種別 レポート
利用者やその家族からの過剰な要求や不適切な言動、いわゆるカスタマーハラスメント、通称カスハラは医療・介護現場で深刻化しています。厚生労働省の調査によると、医療・福祉業界は他業界と比べて相談件数が多く、特に訪問型や居宅系サービスでは顧客と密室で接する環境となるため、発生率が高くなっています。
カスハラは従業員の離職原因
カスハラには身体的暴力、精神的暴力、セクシャルハラスメントなどが含まれ、従業員の離職原因となり 、人材不足を悪化させています。これまで仕事の一部として見過ごされがちでしたが、近年は「ハラスメント」として認識されるようになってきました。
令和元年の労働施策総合推進法等関連法の改正 により、職場におけるパワーハラスメント防止措置は事業主の義務となりました。厚生労働省は、カスハラを含めたパワハラ対策に関する指針やガイドラインを発表。令和4年2月には「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」も公開しています。
個人、チーム、組織の3つのレベルで対応を考える
カスハラへの対応は、個人、チーム、組織の3つのレベルで考える必要があります。個人レベルでは、問題発生時の迅速な報告、コミュニケーションスキルの向上、毅然とした態度が重要です。チームレベルでは、情報共有やバックアップ体制の整備が求められます。組織レベルでは、マニュアルの整備、従業員教育、経営層の明確な姿勢表明、地域連携の推進などが効果的です。
医療・介護サービスの提供者は、利用者やその家族に対してサービスの目的や範囲について十分な説明を行い、理解を得ることが重要です。やむを得ず契約 を解除する際には「正当な理由」が必要となります。
利用者との信頼関係を維持しながら、現場の安心感を高める
カスハラは、適切な対策を講じることで、 従業員の負担を軽減し、職場環境の改善に寄与します。個人、チーム、組織全体で取り組むことで、利用者との信頼関係を維持しながら、現場の安心感を高めることができます。厚生労働省の指針やガイドラインを参考にしつつ、継続的な改善を図ることが求められています。
病院の人事制度・組織開発と言えば、日本経営!
今回の解説
馬渡美智(まわたり みさと)
株式会社日本経営 組織人事コンサルタント
従業員数500名規模の事業所で、総務・人事業務に従事した後、日本経営入社。労務管理体制の調査・整備業務、組織活性化支援、人事制度の導入・運用支援、管理職研修、職員研修等に従事している。自治体の医療人材の流出入に関する調査も実施。社会福祉協議会、各種団体等での講演やセミナーも多数行っている。社内においては、子育てをしながら経営コンサルタントとして働くモデル人材として活躍。社会保険労務士有資格者。
株式会社日本経営
本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。