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医院開業の手順と開業前に知っておきたい重要な4つのポイント

  • 業種 病院・診療所・歯科
  • 種別 レポート

医院を開業する際は、あらかじめ必要な準備について把握しておくことが大切です。

どのような流れで進むのか、またどのような点に注意すればいいのか、事前に知っておくことでスムーズに開業することができます。

この記事では、医院開業を考えている方に向けて、医院開業のおおまかな流れや開業前に知っておきたい重要なポイントについてご紹介します。

コロナ禍の医院開業

2019年後半から2020年の年初は、新型コロナウイルスの影響により新規開業後、大変なダメージを受けられた医院もあります。

その一方で、2019年8月以降に開業された先生方の中には、事業計画に大幅な見直しは余儀なくされたものの、密を避けた空間づくりや空調設備など、感染防止対策に最大限に対策を打つことができ、万全の体制で開業できたという声もあります。

このように、これからの新規開業は、パーテーション設置やマスク、消毒剤など、コロナなどの感染症対策を取り入れた上での開業となります。

医院開業までのスケジュール

医院開業までに必要な期間は、ケースによっても異なりますが、おおむね1年半~2年程度はかかるといわれています。

開業までには不慣れなことをいくつもこなさなければいけません。自分の思い描くペースで開業するためには、早い段階でおおまかな流れを把握し、スケジュールを計画する必要があります。

具体的にどのような流れで開業するのか、一般的なスケジュールの目安を確認していきましょう。

12~18カ月前【医院開業時期や事業計画の策定】

医院開業において、まずやるべきことは「いつ開業するのか時期を決める」「経営・事業のコンセプトを定める」ことです。

医院を開業するためには、当然その土地や建物が必要になります。その際、準備期間を左右する重要な要素となるのが戸建てとテナントのどちらで開業するかという点です。

もしも、戸建て物件で新規開業するのであれば、建設のための期間が必要になることを念頭に置く必要があります。一般的に、戸建てで開業する場合は18カ月程度、テナントで開業する場合は12カ月程度の準備期間を設けることが目安だといわれています。

まず開業したい時期を決め、その1年もしくは1年半前から開業準備を進めていくと良いでしょう。

開業時期が定まったら、医院のコンセプトや経営理念などを決め、事業計画を策定します。この事業計画を定める際、資金繰りなどもあわせて考えていきましょう。

7~12カ月前【土地・物件選びおよび資金調達(補助金)】

コンセプトを決定し、イメージが定まれば、開業するための土地や物件を選んでいきます。

実際に開業する物件が決まったあとは、内装の決定や工事、医療機器の納入など、多大な手間と時間がかかります。そのため、遅くとも6カ月前までを目安に物件を選び、賃貸仮契約を済ませておくと安心です。

また、土地や物件の選定と合わせて、金融機関の借り入れ交渉も行っていきます。事業計画をもとに借入希望金額を決め、金融機関との交渉を始めましょう。

4~6カ月前【内装工事と導入機器の決定】

開業するための土地と物件が決まったあとは、医院の内装やそのレイアウトを決めていきます。その際、内装工事の経験が豊富な業者を選ぶことがおすすめです。

打ち合わせを重ねたうえで、慎重に実際のレイアウトを考えていきます。内装を決める際は、快適な広さと導線にするためにも、導入する医療機器も決めておきましょう。

1~3カ月前【スタッフの採用および開業PR】

開業の1~3カ月前には、医院で働くスタッフを募集します。採用面接を行い、ともに働くスタッフを決めていきましょう。

事業計画を策定するにあたり、ある程度の人員計画が決定しているはずです。
看護師やクラーク、技師や受付事務など、必要な人材に応じて求人サイトなどで採用活動を進めましょう。

また、採用活動とあわせてPR活動を実施します。新規開業にあたり、医院の存在を知らせる必要があります。来院を見込める地域住民に対して医院の宣伝を行いましょう。

PRの手法はさまざまですが、チラシやホームページなどを作成する場合、業者に依頼するケースがほとんどです。依頼する場合は、開業に間に合うように発注することが大切です。スケジュールを考えた上で依頼しましょう。

1カ月前【保健医療機関への申請およびスタッフ研修】

医院開業にあたり、保健所や必要に応じて厚生局への申請を行います。こうした行政手続を怠った場合、予定通りのスケジュールで開業できなくなる恐れがあります。

申請は正確かつ適正なスケジュールで進めましょう。あわせて、1カ月程度前には医院で働くスタッフの研修を始めます。院長自身が医院の理念を説明し、スタッフ間でその認識を共有できるようにしましょう。

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医院開業までの手順

医院開業の際の手順は、ケースによっても時期や方法が異なるものの、おおむね以下のような流れになることが一般的です。

開業までにすることは多岐にわたります。具体的に何をどのように行えば良いのか、13のステップに分けて基本的な医院開業の流れを見ていきましょう。

1.経営理念や診療方針の決定

開業を決めた医師がまず取り組むべきことは、経営理念と診療方針の策定です。

経営理念や診療方針は医院の羅針盤ともいえるものです。なぜ開業するのか、その目的や方向性を示すための重要な指針を決定しましょう。

経営理念とは、開業するに至った理由や目的をいいます。「なぜそもそも医師になったのか」「医院を開業してどのような医療を提供したいのか」整理していきましょう。

一方、診療方針は、地域医療において医院が目指す立ち位置のようなものです。地域がどのような医療を求めているのか、また専門性は何かを考え、自院の役割を洗い出していきます。医師やスタッフの共通の目標となる重要なものであるため、よく考えて決定しましょう。

2.開業までのスケジュールの策定・調整

開業までのスケジュールは、いつ開業するのか、また適した時期はいつなのかを考えてスケジュールを考える必要があります。

どのタイミングで開業するかは、診療科目によって変わってくる点に留意しましょう。例えば、小児科の場合、近隣住民への宣伝につながる予防摂取時期を考慮することがポイントです。

内科であれば、風邪の患者さんが増えやすい秋~冬の時期、耳鼻科であれば花粉症に悩む患者さんが来院しやすい冬~初春ごろが狙い目となる可能性があります。

さらに、医師会への入会を希望する場合などは、申込みのスケジュールも加味する必要があるでしょう。地域によっては入会までに数カ月程度かかるケースもあるといわれています。忘れないようにスケジュールに盛り込みましょう。

3.事業計画の策定

事業計画は大きく分けると、「経営基本計画」「資金計画」「収支計画」などの要素から成り立ちます。

経営基本計画とは、経営の目的や開業の戦略などを指すものです。医院経営の土台となる要素であるため、経営のコンセプトを明確にしたうえで具体的な目標や戦略を検討しましょう。

また、医院の運営におけるキャッシュフローを視野に入れ、資金計画や収支計画を整理することが求められます。

4.開業地選びと診療圏調査の実施

開業にあたり、医院を開業する場所は重要な事項です。開業場所はそう簡単には変えられないため、多角的な視点から分析し、慎重に吟味する必要があります。

開業する場所を大きく分類すると、「都心」「郊外」、「駅前」「住宅地」などがあります。都心や駅前はアクセスが良く、人が集まりやすいことがメリットです。

一方、競合医院が多い場合、独自の強みが求められるようになるでしょう。また、運営費がかさみやすい傾向にあります。

郊外や住宅地は、競合医院が比較的少なく、運営コストを抑えやすいことがメリットです。その反面、アクセスが不便だと人が集まりにくい傾向にあります。こうした開業候補エリアを客観的に調査するために欠かせないのが、診療圏調査です。診療圏調査によって推計患者数を割り出すことができます。

診療圏調査は現状だけではなく、将来の計画も含めたうえで実施しましょう。

5.資金調達方法の検討

開業に必要な資金をどのように調達するか考える必要があります。自己資金と融資金を何に使うのか、それぞれの割り当てを検討しましょう。

まずは、開業に必要な資金を全体的に把握し、そのうち、自己資金をいくら出すのかを決めましょう。自己資金では賄いきれないお金について、金融機関から融資をしてもらうことになります。

さらに、使い道を加味したうえで金融機関を決定していきます。金融機関に融資を申し入れる際は、あらかじめ条件をよく確認しておくことが大切です。あわせて、事業計画書で融資金の使い道を明らかにするなど、十分に準備したうえで交渉に臨みましょう。

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6.不動産・物件の選定

医院を開業するための選択肢には、大きく分けて「戸建て」「テナント」があります。

戸建ての場合、土地を購入して新築物件を建てる、もしくは土地を借りて新築物件を建てるなどの方法があります。それ以外にも、オーナーが建てた物件とその土地を借りたり、自己所有の土地へ物件を建てたりするケースもあります。

戸建ての場合、設計の自由度が高いことがメリットです。テナントの場合、通称ビル診ともいわれるもので、既存のビルにテナントとして入り、開業します。

そのため、初期費用を抑えやすいこと、また都心や駅前のビルであれば、立地環境が良いことがメリットです。それぞれのメリットや自院の方向性を加味したうえで、適した物件を選択しましょう。

7.企画および設計

開業する建物にどのような設計や工事を行うのか、具体的に決めていきます。戸建て・テナントなど、医院の形態によっても内容が大きく変わってくるため、環境や自院の目的に合わせて検討しましょう。

その際、戸建て・テナントのどちらにおいても、意識すべきことがあります。それは、診療内容に適した環境を用意することです。医師やスタッフの導線、診療時のスペースなどに配慮して設計しましょう。

また、患者さんが快適に過ごせるように、プライバシーにも意識したつくりにすることが大切です。医療関連施設への知識が豊富な設計事務所や建築会社に依頼すると安心でしょう。

8.導入する医療機器などの選定

使用する医療機器の選定は、提供する医療の質や範囲に関係する非常に重要な項目です。診療科目や方針、また予算などを加味して医療機器を選定しましょう。

9.リスクへの対策

開業にあたり忘れがちなのが、リスク対策です。

開業後に起こり得る開業医自身の病気やケガなどに備えて、保険への加入を検討しましょう。あわせて、災害などによって受ける損害へのリスク対策も考えておく必要があります。

それと同時に、医療過誤や患者さんからのクレームに対するリスクへの備えも求められるでしょう。必要に応じて保険などの見直しを行うことが大切です。

10.税理士・公認会計士などの選定

開業後は、医院の会計・税務を正確に管理することが求められます。

医院運営におけるお金の管理は、会計帳簿の記帳や税務書類の作成など、多岐にわたります。こうした手間や管理のミスを防ぐためには、税理士や公認会計士などを頼ることも一案です。

専門家の力を借りることで、医院の運営をバックアップしてもらえるでしょう。

11.スタッフの採用・研修

前もって、医院の運営に必要なスタッフ数を決めておき、採用活動を行います。

医院の運営には医師だけではなく、看護師・受付・事務などのサポートが必要になります。ハローワークや求人サイト、折り込みチラシなど、任意の方法で人材を募集しましょう。

12.PR活動

開業にあたり、まず医院の存在をアピールしなければなりません。

患者さんに来院してもらうためには、一般の企業や店舗などと同様に、医院でもPR活動を行うことが必要です。PR手法は多岐にわたりますが、たとえば内覧会・見学会を開催する方法があります。

その他、チラシやパンフレットを近隣住民に配布する、Webサイトを作成するなどがあります。どの媒体においても、医院のコンセプトや提供するサービス、さらにアクセスなどの情報を盛り込むことがポイントとなります。

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13.開業のための手続き

医院を開業するに、行政機関への届け出を行います。

一例として、保健所には「診療所開設届」、保険診療を行うためには厚生局に「保険医療機関指定申請」の提出が必要です。

ただし、これらは一般的な例であり、開業する地域によっても提出のルールが異なる場合があります。開業の際は、あらかじめ各機関で必要な書類や手続きの内容をよく確認しておきましょう。

失敗しないための医院開業の4つのポイントと注意点

医院は、開業すれば必ず成功するとは限りません。

失敗しないためには、きちんと開業におけるポイントや注意点を把握しておく必要があります。具体的にどのような点を意識すればいいのか、チェックしていきましょう。

ターゲットを明確に設定する

医院を開業する際は、強みや専門性を打ち出すことが重要です。標榜科や専門外来をどう掲げるか、住宅地など地域に根付いた医院の場合は、需要が多く見込める内科をアピールすることで、患者さんが集まりやすくなるかもしれません。

一方、都市部など競合が多く人が集まりやすい場所では、ターゲットを「ぜんそくの患者さん」などと絞り込み強くアピールすることで、専門性を重視する人の需要を喚起できるかもしれません。

開業する場所や年齢層によっても需要は大きく異なります。設定したコンセプトをベースに、どのような人をターゲットにするのか明確に決めておきましょう。

既存の医院を調べる

開業するエリアを比較検討する際、既存の医院も調査しておくと良いでしょう。

その地域ではどのような医院が受け入れられているのか、マーケティングを行います。その需要と自院のコンセプトの相性を視野に入れ、開業する場所を決めると失敗するリスクを低減できます。

パート雇用も視野に入れる

開業した当初は事業が軌道に乗らず、資金繰りに困ってしまうケースも少なくありません。こうしたリスクを回避するため、軌道に乗るまでは常勤スタッフの数を絞ることも一案です。

パート雇用などを視野に入れ、柔軟にシフトを組めるようにしておくと、無駄に人件費がかさんでしまうリスクを避けられます。

導入する医療機器は人件費も含めて考える

導入する医療機器は本当に必要なものなのか、よく検討する必要があります。

例えば、CTを導入するとしましょう。この場合、リース料そのものが高額になることはもちろん、それ以外に臨床検査技師を雇うと、その分人件費も発生します。

こうした費用に見合った利用者を確保できるかどうか、慎重に考えましょう。

医院開業・クリニック開業についての相談先

医院開業は、予め必要な準備や注意すべき点も多く、不安を感じる人もいるでしょう。しかし、必ずしも自分だけですべての工程を済ませなければならないというわけではありません。

医院開業に関して、工程を代行してくれるサービスも存在します。

主な選択肢としては、コンサルタント、税理士、社会保険労務士などが挙げられます。それぞれの特徴について見ていきましょう。

コンサルタント

医院の開業には経営の観点から、さまざまな判断が求められます。法律や労務の問題も関わってきます。こうしたときに、サポートしてくれる専門家がいると心強いでしょう。

コンサルタントは専門家として、開業の時期や土地・建物の選定など、幅広い工程をサポートしてくれます。医院開業に関する煩雑な作業をコンサルタントに任せることで、手間を省けます。また、労力を減らすだけではなく、判断に悩んだときに相談することが可能です。

開業後もきめ細やかに運営をサポートするサービスもあり、頼れるパートナーとなってくれます。

税理士

医院の開業支援は、税理士・公認会計士なども行っています。

主に保険関係の届け出、また資金繰りに関するアドバイスなどを実施しているケースがあります。安定した医院の運営のためには、経費と業務のバランスを考えることが重要です。給与や経費の計算など、経営者が行うべきことは多岐にわたります。

依頼によって煩雑な経理・税務の分野を任せられるので安心です。

社会保険労務士

医院開業する際、人事・労務については社会保険労務士に相談することがおすすめです。

社会保険労務士の業務は多岐に渡りますが、医院を開業し、スタッフを雇用すると、スタッフの雇用保険や社会保険の手続き、給与計算など、診療以外の業務が増えます。

これらの業務の多くは法律が絡み、頻繁に改正されるため、迅速かつ柔軟な対応が求められます。社会保険労務士に依頼することで、法改正の内容をいち早く把握し、人事や労務について最適な制度の検討、運用調整などを行っていくことができます。

また、医院に限らず、様々な職場でサービス残業や給与、スタッフ間のトラブルなどもあり、トラブルが発生してしまうと、少なからず損害が発生してしまいます。

そのようなトラブルが起きないよう、就業規制の作成をするなど、開業前から人事・労務についての環境を整備していくことが重要です。

事務負担を軽減して本業に専念したい、働きやすい職場を提供したいなど、人事・労務に関する相談は、社会保険労務士にお願いすると安心です。

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スムーズな医院開業・運用を目指して

スムーズな開業のためには、物件を探したり事業計画を策定したり、早い段階から専門家であるコンサルタントに相談することがおすすめです。

また、医院開業後の安定した運営を目指すためには、前もって開業の流れや注意点を把握しておくことが重要になります。

日本経営グループでは、コンサルタント、税理士、社会保険労務士等、幅広い分野の専門家が多数在籍しております。医院開業をはじめ、開業後にも様々なサポートが可能です。

医院開業を検討する際は、ぜひ一度ご相談ください。

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