コンサルティング・レポート「勤務医負担軽減のためRPAを導入」
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業種
病院・診療所・歯科
- 種別 レポート
勤務医負担軽減のためRPAを導入
- 病院でもRPA導入に注目・期待が集まっている。
- 導入支援病院では作業そのものが削減され、劇的な業務効率化が見られた。
中小企業や医療機関でも導入が始まっているRPA
皆さん、「RPA」という言葉を聞かれたことがあろうかと思います。
RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略称です。
製造業の工場では、生産ロボットが溶接やボルト締めなどの定型作業を行って自動車や各種製品を生産しています。
これと同じように、ホワイトカラーの事務オフィスにおいても、定型反復の事務作業をパソコン上のロボット(RPA)が作業するというものです。
大企業では数年前からRPAが普及してきていますが、最近は中小企業や医療機関でも導入が始まっています。
いずれ医療クラークや看護職、事務職も負担に耐えられなくなる
ところで病院で、このRPAが注目されているのは何故でしょうか。
病院では、医師やその他医療職の勤務負担軽減、時間外労働の削減が急務となっています。
そして、医師の勤務負担を軽減するため、タスクシェアリングやタスクシフティングが推進され、医療行為の一部を特定看護師とシェアしたり、事務作業を医療クラーク(医師事務作業補助者)等へシフトしたりしています。
しかし、日本の就業人口は減少し、すでに採用もままなりません。
タスクシェアリング・タスクシフティングだけでは、いずれ医療クラークや看護職、事務職も負担に耐えられなくなるでしょう。
そこで、タスクシェアリング・タスクシフティング先である医療クラークや看護職、事務職の業務効率化が必要になってくるわけです。
RPAで医療クラークや看護職、事務職の業務を効率化する
「定型反復の事務作業」を得意とするのが、RPAです。
病院でRPAが注目されているのは、このためです。
医療機関では、日誌や月次の経営会議資料、年次の役所・学会等への届出資料など、日次・週次・月次・年次の資料作成業務に追われています。
特に、施設基準届や学会登録、各種認証取得が多い病院では、その定型事務作業は膨大です。
この定型事務作業をRPAに代替することで、医療クラークや看護職、事務職の業務を効率化し、ひいては医師の勤務負担軽減・働き方改革が実現していくのです。
45~50分間かけていた作業が、RPAにより35秒で完了
実際に、私が導入支援した病院では、スタッフが約30分間かけていた作業が、RPAに代替することで、約15秒で完了させることができました。
また、別の病院では退院サマリ作成の確認のために、複数の部門システムから抽出したリストの照合に45~50分間かかっていたものが、RPAにより35秒で実現することもできました。
何よりも、作業そのものが削減されたわけですから、劇的な業務効率化です。
アウトプットと業務フローを再構築・標準化する
RPA導入にあたっては、留意点もあります。
それは、ただ闇雲に作業を自動化すればよいということではなく、システムや業務フローなどを理解した上で、最も効率化が期待できる作業から着手し、順次、最適なプロセスを再構築していく必要があるということです。
具体的には、院内の事務作業の業務フローを整理して、それをRPA上の「シナリオ」と呼ばれる作業指示ステップに変換・登録していくわけですが、この過程で、電子カルテや医事会計システム・文書管理システムなどのシステム構成やデータを理解した上で、アウトプットと業務フローを再構築・標準化していくことになります。
プロセス改善コンサルティングのエッセンスが必要であることから、私どもにも多くのご相談をいただき始めています。
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レポートの執筆者
太田昇蔵(おおた しょうぞう)
株式会社 日本経営 コンサルタント
民間急性期病院の医事課を経て2007年、日本経営グループに入社。医療情報システム導入支援、医療関連企業のマーケティング支援を経て、グロービス経営大学院MBAコースを修了。現在は、病院経営コンサルタントとして医師人事制度構築支援・経営計画策定支援、役職者研修などに携わる一方、後進の育成を担う。
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