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これからどのようにして病院組織の士気を高め、リーダー人材を育てるか?/組織開発のアプローチ

  • 業種 病院・診療所・歯科
  • 種別 ホワイトペーパー

新しい年度がスタートしました。新たな風を吹かしていきたいところですが、今回の診療報酬改定は、これからの病院の方向性について決断を迫られるものであり、とても厳しいものとなっています。

「リーダー人材」と「組織全体の士気」

厳しい経営環境に伴い、戦略、目標、サービスフローの見直しと、人員配置等のリソースの割り当て変更が余儀なくされています。そのような中で、経営層の頭を悩まし、現場を苦しめている大きな問題があります。

それは「人材」と「組織全体の士気」です。

多くの病院では、長引くコロナ禍の影響により、組織全体の士気が低下しやすい状況になっています。加えて、現場職員を育て導くリーダー人材が不足している状況が続いています。

これからの厳しい経営環境を乗り越えていくためには、戦略や目標の改定に対処できる「リーダー人材」と「組織全体の士気」が必要条件です。どのように手立てを打っていけばよいのでしょうか?

1. 有能な幹部・管理職の採用

1つ目は、外部から有能なリーダーを採用することです。有能な幹部・管理職人材を確保することができれば、全体の士気と育成に拍車をかけていくことができるでしょう。しかし、この施策は博打ともいえるものです。有能と判断して実際に採用してみると「イメージと違った」という話はよくあるものです。さらには、有能な幹部・管理職はいずれの病院も欲しているもので、母数が多いともいえません。外部からの登用は、短期的に解決しやすい処方箋となりますが、現実化する可能性は低いとみたほうがよいでしょう。

2. 全体の士気を高め、リーダーの発達を促す環境整備と実践

2つ目は、組織の士気を高め、リーダー人材を育てるための環境を整え、組織に流れているムードと一人ひとりのマインドと実践力を向上させることに取り組んでいくことです。今いる人材で取り組むことができるため、外部からの採用よりも妥当といえるでしょう。経営層の覚悟と、一定時間を要するという面ではデメリットがありますが、組織の基盤を強化することになりますので、効果が持続していくものとなります。

それでは、この取り組みを行う際のポイントについて、触れてみたいと思います。

経営層の決意と発信

まず、第1ステップとして求められることは、経営層がこれまでとは異なる新しい流れを創り出していくことを決意し、全体に発信することにあります。組織改革を実践していく上で最も難しい問題が、職員一人ひとりの意欲、気持ち、姿勢です。職員のマインドが低下していたり、組織を諦めてしまっているような状態にあると、どのような施策を打ち出したとしても乗っかってくれません。

むしろ、そのような心境のときに戦略や人事評価制度などを導入してしまうと、「手間が増えて面倒くさい」「管理されるのはもう十分だ」「私たちの想いを分かっていない」として反発を招いてしまうことになります。

大切なことは、「経営層が職員のみんなと共にどのような組織を築いていきたいのか」、「全職員が一丸となって地域に、患者様に、どのような医療を提供していきたいのか」の想いを共有することです

一般的に、経営層が考えるビジョンは、戦略と財務を中心とする中期経営計画ですが、現場職員が欲しているビジョンは、経営層の内なる想いと願いです。心の琴線に触れるビジョンが、職員の気持ちを開かせることに繋がります

 具体的に取り組む施策

経営層からの発信を踏まえ、具体的に取り組む有効な施策の一つが、対話・集合型の階層別研修と、E-ラーニングシステムの導入です。後者から簡単に説明します。

①E-ラーニングシステム

ICTの進化に伴い、現在はE-ラーニングが充実している時代となっています。階層別に求められる基本的なスキルは、これで十分にまかなえるでしょう。

E-ラーニングの利点は、職員の欲するテーマを、いつでも、どこでも、何度でも、自分のスマホやPC等のデバイスから視聴することができることです。つまり、自発的に学習に取り組むことができます。弊社でも、医療に特化したE-ラーニングを開発しています。

②対話・集合型の階層別研修

もう1つの重要な取り組みが、対話を中心とする集合型の階層別研修の導入です。特に管理職、監督職という役職に就く方に対する集合研修は、全体の士気を高め、リーダー人材を育む上での重要な施策となります。

病院は、縦割りになりやすく自部署の殻に籠りやすいこと、師長・課長の管理職が負担を背負いやすい、という特徴を持っていることから、「管理職が十分に役割を果たせていない」、「次なるリーダー人材を育て切れていない」などが課題として挙げられます。

このような状況を突破していくためには、部署という境界線を超えた同じ立場の役職者が、悩みをシェアし、相互サポートしながら学習に取り組み、新しい気づきと横の連携を深めていく機会を設けることが必要です。これが、対話・集合型の階層別研修の意味するものです。

理想としては、管理職は月1回、監督職は年数回集い、同じテーマについて学びを深め「支え合える空間」を整えていけるとよいでしょう。

組織全体の士気とリーダー人材を育むには、組織そのものが変わっていく必要があります。新しい風を吹かしていくために、新しいムーブメントを起こすことを検討されてみてください。

人材を育て、士気を高める具体策「対話・集合型の階層別研修」

リーダーシップ向上プログラム

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組織開発というアプローチ

本稿の執筆者

江畑直樹(えばた なおき)
株式会社ミライバ 取締役

2003年日本経営入社。主に医療機関、福祉施設の組織創りや幹部・管理職・監督職の研修に従事。2018年に株式会社ミライバを設立し、組織開発コンサルティングや人材開発研修の支援を行う。成人発達理論、学習する組織、U理論、インテグラル理論、NVC等の理論をベースとし、首都大学東京専門職大学院や日本社会事業大学専門職大学院では、これら理論を軸とした組織創りやサービス開発等について看護管理者、福祉管理者を対象に授業を行う。

株式会社ミライバ/株式会社日本経営

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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