お役立ち情報

管理職、監督職のポテンシャルを引き出す/組織開発のアプローチ

  • 業種 病院・診療所・歯科
  • 種別 ホワイトペーパー

「組織全体の心と行動に火をつける」ためには、何が必要か。リーダーのマインドとスキルを開発するためには、どう環境を整えればよいのか。最初の種火を育てるための、「場づくり」が重要です。

年々増加するリーダー育成への問題意識

「次期リーダーが育っていない」「管理職になりたがる人が少ない」「管理職のリーダーシップが弱い」「主任クラスの意欲が停滞している」「若手の有能な職員が離職してしまう」このようなお問い合わせをいただくケースが年々増加しています。

このような課題に対して「うちにはリーダーに相応しい人材がいない。外部から調達しなければならない」という意見も多くいただくのですが、優れたリーダーを採用することも簡単なことではありません。

人づくりは、環境が鍵を握る

人づくりの難しさは、外部から簡単に調達できるものではない、ということです。どのように優秀な人材を採用できても、周囲の状況や空気に飲み込まれてしまったり、数年で退職されてしまう、ということは少なくありません。結局のところは、今いる職員を育て、流れを変えていく他ないのです。職員のマインドに火をつけ、実践力を磨いてもらうための「環境を整備する」ことが必要になるということです。

私たちが数多くの医療機関をご支援する中で出した結論は、次のようなものです。

①組織の環境や文化が育まれていない中では優れたリーダーを雇用することは難しく、雇用できたとしてもそのポテンシャルを発揮することは難しい。

②人材の意欲と能力を開発していくための質の良い研修の機会を院内に整備する必要がある。

③ポテンシャルを持っている方から志に火を灯し、その方々を通して火を少しずつ他の仲間に広げ、一定の時間をかけて組織全体に波及させていくことが重要。

②と③はセットで考える必要があります。研修をしたからといってすぐに全体が変化するものではありません。いかに素晴らしい能力開発の研修を実施したところで、「組織全体の心と行動に火をつけること」はできません。すでにリーダーシップを発揮している方と、リーダーとしての可能性を秘めた方、すなわち火種となる方々から、意識改革と行動改革を起こし、その方々の変化を通して次の流れを紡いでいく必要があります。

人は影響を受ける生き物です。前向きな方を増やしていく環境を整えれば、少しずつその流れを大きくしていくことが可能になります。仮に現在組織全体が不安定な状態であったとしても、適切な機会や場をつくり、継続して働きかけていくことで、一定の時間はかかるにせよ、流れを変えていくことはできるでしょう。このように職場の風土を変えるためには、大きなきっかけが必要で、そのきっかけを土台にしながら、数年という時間をかけて育んでいくものです。

それでは、リーダーとしてのマインドとスキルを開発するための適切な環境とは何でしょうか? リーダーが輝いていくための研修機会における十分要件とは何でしょうか? ポイントを4つご紹介します。

第一に、期待とエールを込めた発信

まず第一に、「病院の方針に、管理職や監督職の能力開発に本気で取り組むことを掲げる」こと。

リーダーの志に火を灯すためには、病院トップがそこに本気に向き合おうとしていることを受け取ってもらわなければなりません。リーダー育成には真剣勝負が問われます。予算をつけて外部研修の機会を増やしてあげたり、外部講師を招いて研修を実施したりすることも一定の価値はありますが、機会を提供するだけではトップからの熱意が伝わってこないでしょう。

大切なことは、トップがリーダーを価値ある存在として承認・感謝し、共に組織と人材を育てていこうとする前向きなメッセージを、期待とエールを込めて発信することです。研修の効果を高めるためには、研修を始める前段階として、トップや幹部から管理職や監督職といったリーダーに向けてどのような想いや願いを持っているのかをしっかりと言語にまとめ、伝えることが重要なポイントになります。

第二に、インプットとアウトプット

二点目は、「インプットとアウトプットの両面をカバーする企画にする」こと。

リーダーとしての知性と影響力(実践力)を習得していくためには、

  • その階層にとって必要な情報を提供し(インプット1)、
  • 受講者が、それを自らの状況に照らし合わせて落とし込み(インプット2)、
  • 具体的にどうするかを、自らの意志を固めて言語化し(アウトプット1)、
  • 日々の業務の中でそのチャレンジを実践し(アウトプット2)、
  • 振り返りを通してできたこと、できなかったこと、気づいたこと、分かったことなどを整理する(インプット3)

の一連の流れを創り出していくことが重要です。

第三に、自らを磨くことを楽しむ

三点目は、「楽しみながら学習を深め、知性を磨いていける企画にする」こと。

意欲の低い方に学習を押し付けても能力は磨かれません。大切なことは、学ぶことに対する適切な意味づけをし、自らを磨いていくことは自分の職業人生や自分のチームにとってプラスになる、と内発的に受け止めてもらうことです。

リーダーシップを磨いていくことは、古い自分の殻を壊して、志に向かって自分にチャレンジしていく行為そのものです。そのためには、積極的に自己に向き合わなければなりません。葛藤や不安を乗り越え、勇気を持って一歩を踏み出すプロセスを歩まなければなりません。

このことに向き合ってもらえるようにするためには、「自分磨きが自分にとって価値あるもので有用なものであること、新しいことを学ぶプロセスが楽しいと思ってもらえるようにする」必要があります。

例えば、受講者同士の交流や対話などワークを通して学習を深めることや、受講者の意見や考えを引き出して承認しながら進めること、お茶やお菓子を用意したり音楽をかけたり雰囲気作りをすることなど、様々な手法があります。また、研修をスタートし始めた段階では、空気が重く、固くなりがちです。はじめは緩やかに、緊張を解きほぐすような設計にして、少しずつ様子を見ながら踏み込んでいくような研修にすることもポイントです。

第四に、オリジナルの設計

四点目は、「階層の立場や、その方々の心境やレベルに応じた設計をする」こと。管理職と監督職とでは責任として負っている範囲も重さも異なります。そして、受講者がどのような心境にあるのか、期待に対してどの程度のレベルかということも、その時々によって異なってきます。現実に見合う研修テーマとコンテンツを企画し、一歩を踏み出していけるように、病院オリジナルの組み立てをする必要があります。

では、実際にどのように組み立てればよいのか。組織開発にご関心のある皆さまに、ご参考になるセミナーやダウンロード資料をご用意しています。是非、お気軽にお問い合わせください。

組織全体の心と行動に火をつける

リーダーシップ向上プログラム

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組織開発というアプローチ

本稿の執筆者

江畑直樹(えばた なおき)
株式会社ミライバ 取締役

2003年日本経営入社。主に医療機関、福祉施設の組織創りや幹部・管理職・監督職の研修に従事。2018年に株式会社ミライバを設立し、組織開発コンサルティングや人材開発研修の支援を行う。成人発達理論、学習する組織、U理論、インテグラル理論、NVC等の理論をベースとし、首都大学東京専門職大学院や日本社会事業大学専門職大学院では、これら理論を軸とした組織創りやサービス開発等について看護管理者、福祉管理者を対象に授業を行う。

株式会社ミライバ/株式会社日本経営

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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