メニュー

Close

HOME

病院経営の変革と企業価値を高めるブルー・オーシャン・シフト

2019.03.10

  • 2019年01月25日(金)、恒例の新春病院トップマネジメントセミナー2019(福岡)が開催された。テーマは「病院経営とブルー・オーシャン戦略」。
  • 第一部は、早稲田ブルー・オーシャン・シフト研究所(WABOSI)副所長の川上智子氏がご登壇。第二部は、株式会社日本経営 代表取締役社長の平井昌俊が登壇。その後、フリーアナウンサーの徳永玲子氏の司会のもと、パネルディスカッションが展開された。
  • 川上智子氏と平井昌俊に、経営・マーケティングにおける問題意識について尋ねた。
川上智子 氏 早稲田大学大学院経営管理研究科教授・早稲田ブルー・オーシャン戦略研究所(WABOSI)副所長
平井昌俊 株式会社日本経営 代表取締役社長

 

経営がシフト・変革しようとしているとき、それはビジネスの話ではなく、私たちの人生の生き方そのものの問題

いま、色々な業界で経営が大きく変革しているという実感があります。どのようなシフト・変革が起こっているのか。まずそのことをお聞かせください。

ブルーオーシャン戦略川上氏 経営がシフト・変革しようとしているとき、それはビジネスの話ではなく、私たちの人生の生き方そのものの問題であることが、しばしばあります。寿命が延びて、健康であり続けるためには、働くのが一番。一生働こう、引退するな。

しかしこれまでの考え方では、普通の人にとってはその心の切り替えは結構難しい。これからは人生を俯瞰して、自分の価値を高めるためにはいまは何に投資をすることが最善なのか、長期的な思考にシフトすることが迫られているのだと思います。

経営についても同様です。かつて世界の時価総額上位を占めていた日本企業が、30年のうちに圏外に外れてしまったり、合併再編で企業そのものがなくなっていたりします。そのような現実を前にして、日本再生のためには企業価値を高めるブルー・オーシャン・シフトの考え方もヒントになると思います。

医療という業界を見たときに、AIはじめ急速な技術革新があります。しかしポイントは、デジタルだけではダメで、リアルなものに支えられていることが力になるということです。アマゾンもネットからリアルへとシフトしています。メルカリはそもそも人と人とのコミュニケーションをデジタルの技術で簡単にしたものです。

確かにプラットフォームでは、日本はアメリカに遅れを取っているかもしれません。しかし日本にもまだまだチャンスはある。デジタルが進めば進むほど、「顧客の経験価値(カスタマー・エクスペリエンス)」が重要になってきます。例えば画像診断。AIによって圧倒的な技術革新が起きたとしても、その結果をどう伝えるかには、ヒューマンタッチがあり、そこに価値が生まれるのです。

ブルーオーシャン戦略
平井
 ヒューマンタッチということを考えたとき、医療・介護・福祉の業界で最も大きな変化は、疾病構造の変化です。シングルファクターからマルチファクターへと変化し、治すことを考えるのでなく、治らないことについても対応していかなければなりません。ビッグデータやAIが駆使されることはもちろんですが、川上教授のご指摘どおり、最終的な価値は、現場で患者さんを動機づけし導いていく技術です。


川上氏
 患者側のエンパワーメントも大切です。人間にとって疾病は点ではなく、その期間もずっと人生は続きます。医療とどのように向き合い、より良い人生をどう実現していくかという視点を患者や患者の家族が持つことも今後ますます重要になるでしょう。


平井
 いま目の前の患者さんに対応することはもちろんですが、自ら外に出て行くことが求められるシーンも多くなるかもしれません。違う業界の異なる業種と交流し新しいものに触れることは、一見、無駄なことです。しかし、長い目で見れば、医療や経営を自ずと変えていく潜在力になるのだと思います。

 

世の中に対して、倫理や生き方をどう問題提起するか、マネジメントには大きな可能性がある

マネジメントの専門家お二人ですので、まず経営の話が出るとばかり思っていましたが、人としてどう生きるか。そこに医療がどう向き合うか。真っ先に口にされた言葉がそこにあるということが、興味深いと思います。

ブルーオーシャン戦略平井 問題は、医療ということを考えたとき、世の中がそのような方向に向かっているのかどうか。例えば、一人前の心臓外科になるには「5000例」が節目だと伺いました。また、どのような分野でも「1万時間の法則」があると言われます。そういう領域は、ひたすらそのことだけに打ち込んできた人たちが、報われる世界です。これからの世界の重要なキーワードだと思います。

問題は、なにで報いられるのか、ですね。医療機関において報酬で青天井に報いることは、財源が限られている中で社会全体では困難です。しかし我が国は、これまでドクターの属人的な使命感に頼ってきたということは、紛れもない事実です。


川上氏 医療に限らず、これまで我が国を支えてきたのは、働く人たちの社会に貢献したいという気持ち、サービス残業も意に介さない使命感です。しかし、人口が激減する中で、それでは制度が持たなくなってきている。国家の問題でもありますが、経営者も働く人もご家族も、シフトしなければならない局面です。


平井
 
医療業界のもう一つの特徴が、医療資源が足りない中で、地方と都市では大きな格差があるということです。地域医療構想や地域包括ケアシステムという政策は確かにありますが、現場レベルでも足場を固めてチーム医療を効果的に機能させる。これまで責任と裁量がドクターに集中してきた中で、全国での様々な取り組みを見ると、マネジメントには大きな可能性があると感じています。


川上氏
 マーケティングという視点から見ると、世の中に対して、倫理や生き方をどう問題提起するか。これが世の中を動かしていくのだと思うのです。死生観をどう持つのか、勤務場所が病院でなく在宅になるかもしれません。子どもの教育のために都市部に住まなければならなかったドクターが、学歴競争が意味のない世界になれば、場所という拘束から開放されて、地方で勤務することが可能になっていくでしょう。

これらは医療だけでは解決できない問題です。そこにマネジメントがどう対応するか。確かにそこには、無限の可能性があるのだと思います。

 

目の前のことだけ触っても何も変わらない、変えるのであれば思い切って変える

日本経営グループでは、「創造的破壊」が一つのキーワードになっています。これは、ブルー・オーシャン・シフトの重要なキーワードではないかと思います。


ブルーオーシャン戦略川上氏
 「創造的破壊」を掲げられるということは、素晴らしいことだと思います。ブルー・オーシャンにおいて最も障壁になるのが組織の問題です。トップが旗を振って創造的破壊を進める風土は、働く人に勇気を与えると思います。


平井
 
「創造的破壊」というのは、社員に向けたメッセージです。まだまだそのレベルではないと思っています。しかし、確かに目の前のことだけ触っても何も変わらないという思いがあります。変えるのであれば、思い切って変えなければならないと考えています。

私どもの基本理念は、「全従業員とその家族の幸福の追求」です。在宅での仕事も視野に入れて、健康を守りながら生涯現役に挑戦する。創業以来、頑なに守ってきたことを、方針転換もしています。働き方改革があってもなくても、新たなコンテキスト作りは、私たちが直面しているテーマだと思っています。


川上氏 私の知っているコンサルティング会社の常識とは少し違いますね(笑)


平井
 
単純に時短ということではありません。時間に拘束されず、24時間考えることにシフトしようということです。働き方の中身を変えれば、布団で寝ても、家に帰っても、会社に居なくても、熟練したコンサルタントになれるはずだ、という願いと挑戦です。そういう仕組みを、次世代に残していかなければ、生き残っていけないのだという危機感があります。


ブルーオーシャン戦略川上氏 人間に残るのは考えること、そして創造すること。しかし、最初からモチベーションのある人はいないと思います。何か仕組みが必要になりますよね。


平井
 
どのような業種でも、手取り足取り「勉強しなさいよ」と教えるところから、自分たちの仕事の価値に気づいてもらうところにシフトすることを迫られていると思います。創造的破壊は、内発的なモチベーションなくして実現しないと思うのです。

ただ、ご指摘のとおり「モチベーション」さえ掲げれば何でも解決するわけではありません。自分たちの仕事のどこに価値があるのか。お客様にとっての経験価値は、働く人にとっても経験価値だと思うのです。それを生み出していくようなマネジメントを目指していきたい。

私たちが恵まれているのは、経営者の方々に日々お会いできるということです。その生き様や哲学からの学びは、計り知れないものがあります。ただ学ぶのではなく、それをどうすれば再現できるのか。

このように24時間考え抜くテーマは、常に私たちの周りにあるのです。その感覚を掴んでもらったら、あとは社長は静かに応援するくらいがいいのだと、そう考えています。

 

競争優位のマーケティング戦略という側面だけ切り取って考えるのでなく、そこで働く人々が、大切なお客様に対して何を提供したいと考えるのか。ブルー・オーシャン戦略とは、自分たちの仕事の価値・働く理由を明確にして、そこに資源を注ぎ込むということだと理解しました。本日は、まことにありがとうございます。

 

 

戦略の妥当性と実践の徹底。

病院の戦略の妥当性を検証したい。

仕事の価値・働く理由を組織で共有したい。

実践を徹底する風土を根付かせたい。

 

お問い合わせは「こちら」

 

 

GROUP

日本経営グループトップ

NK倶楽部
©日本経営グループ