お役立ち情報

地域包括ケアシステムにおける情報発信と営業活動の重要性

  • 業種 介護福祉施設
  • 種別 レポート

外回りについて、どう現場の理解に繋げていくか

  • 本レポートでは、介護施設における運営実務のポイントについて、現場のコンサルティングの実例を踏まえてお伝えする。
  • まずは複数回にわたり、介護施設の稼働率向上について具体策を交えたポイントを解説する。

施設管理者はなぜ外回りに出る時間を取れないのか

介護施設の管理者や相談員(営業担当者)の悩みの種としてよく聞かれる言葉がある。

それは、「外回りの営業活動は行うべきだと思っているし、実際行いたい。けど、現場が忙しくてフォローしなければならず、営業に回れるだけの時間が作れない」である。

皆さんの現場でもそのような事態が日常的に起きていないだろうか。

なぜそのような状況になるのか。答えは簡単だ。

「介護施設では、介護サービスの優先順位が高く、介護サービスが全て済んで空いた時間ができなければ営業活動が行えない」と現場では思われているからだ。

そして、結局は現場が忙しくない時期は来ないので、営業機会が永遠に訪れることはないのが現実だ。

しかし、実際は、営業活動を行うからこそ現場が安定し、忙しい中でも職員の協力を得られやすい環境を作れることは、前回記載した通りである。

従ってここで肝心なことは、営業活動に従事する時間を確保するために、現場の理解をどのように深めていくかという点になってくる。

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介護施設に潜んでいる、「営業」という言葉に対する拒否感

少し話はそれるが、介護事業所の職員、特に新卒から介護事業所や医療機関に勤めている方には、営業という言葉に対する大きな拒否感が心中に潜んでいないだろうか。

介護職員は処遇改善加算などで賃金は改善されつつあるものの、まだ他の業種に水をあけられている状況は続いている。

新卒から介護職員を目指している方の大半は、次のような思いではないだろうか。

・「社会貢献がしたい」、「お年寄りと接する時間が楽しい」。

・成果や競争、予算や実績といった考えは苦手である。

さらに、介護事業は社会福祉であるという側面から、儲け・利益という言葉が介護には相応しくないという考えに繋がっている。

それらの要素が、営業をしない口実にもなっていってしまい、現在の営業否定の雰囲気を作り出している。

しかし、営業を行うことは、介護事業にとって非常に重要だ。

それは、介護保険の意義としても、地域包括ケアシステムを成功させるためにも、実は営業こそが非常に重要な役割を担っているためだ。

介護職員とて、その重要な役割を無視すべきではない。なぜか。

地域包括ケアシステムにおける情報発信の重要性

地域包括ケアシステムで重要なことは、お年寄りが自身にとって本当に必要なサービスだけを選択でき、必要な量のサービスが提供されるようになることである。(言い換えれば「不要なサービスまで行ってしまい、お年寄りが心身ともに自立できない状況になっていく」ことを未然に防ぐことも、求められていると言える。)

そして、地域包括ケアシステムを実現させるために必要なことは、社会資源が地域のどこにあるかという「場所」の情報と、お年寄り自身にとって本当に必要なサービスであるのかという判断材料にもなる「内容」の情報がしっかりと提供されていることなのだ。

とはいえ、お年寄りの自立した生活を支える重要な情報は、お年寄り自身どころか、その方のケアプランを管理するケアマネジャーであっても、網羅できているというには程遠い状況にある。

それは当事者の努力不足によるものではなく、そもそも情報が整理されていなかったり、発信されていなかったりすれば、入手のしようがない。

介護サービスの提供を担う施設側が情報を整理し発信していかなければ、お年寄りは情報不足から選択肢を狭め、不利益をこうむる形になってしまうのである。


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営業活動は地域福祉を支える重要な活動

ここに、「地域に対して営業活動をする意味」がある。

介護現場の職員が、「営業活動を行っている間に、施設の利用者に何かあったらどうするのですか」と言うかもしれない。

では、地域に住むお年よりは、私たちが営業を行わないことにより、必要な介護サービスを知ることができず、本来叶うべきニーズが叶わずに自立度が下がってしまってもよいといえるのだろうか。

むしろ、実は今、介護サービスを利用できているお年寄りのほうが何倍も幸運で、いわば身近に職員がいるので「何とでもなる」状況にある。

情報不足からサービスに出合えていないお年寄りのほうが、むしろ「どうにもならない」状況にあると考えるほうが自然なのではないだろか。

地域の社会福祉にとって、外に出て行う営業活動は、事業所の内部で行われている介護サービスと同等の重要性があり、どちらも欠かすことのできない介護事業者の使命である。

時間をかけてでも、このことを現場浸透させることをお勧めする。

では、現場にその考えが浸透し、営業活動に時間が割けるようになったとして、それでも時間が無限に創出されるわけではない。

限られた時間をどこに投下すべきなのか。何を目的にどのような活動に従事し始めるべきなのか。

次回よりそのポイントに移っていく。

レポートの執筆者

沼田 潤(ぬまた じゅん)
株式会社 日本経営 介護福祉コンサルタント

株式会社の運営する介護付き有料老人ホームにおいて介護職員から施設長までを経験後、北京に駐在し海外事業にも従事。2015年に日本経営に入社、主に介護施設における稼働率向上支援、介護サービスレベルの底上げ支援などを担当する。介護福祉士。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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