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施設見学者への対応と事前準備

  • 業種 介護福祉施設
  • 種別 レポート

介護福祉施設の見学者に対応する心構え/前編

  • 本レポートでは、介護施設における運営実務のポイントについて、現場のコンサルティングの実例を踏まえお伝えする。
  • 3回にわたり見学対応の心構えについてお伝えする。
  • 施設見学の誘致はどの介護サービスでも行われているが、重要なプレゼン機会にも拘らず重要視されていないことも多い。そのコツとは。

介護福祉施設見学者への対応の重要性

見学対応は、重要な施設運営のポイントのひとつだ。
特に施設管理者であるならば、見学対応から1件でも多くの契約につなぐことにこだわっていかなければならないだろう。
なぜなら、見学からの契約率は営業実施体制のみならず、内部のサービス提供体制にまで影響を及ぼすことになるためだ。

例を挙げる(下図)。介護福祉施設への見学者対応の得意な施設と、苦手な施設があったとする。
一方は、見学対応からの成約率が8割以上と好調だが、もう一方の施設では4割程度しかなかったとする。成約率は倍の開きがあるが、施設にとっては定員を埋めなければ運営が成り立たないことには変わりない。

図:見学成約率の異なる2施設

両介護福祉施設では毎月2名の純増が求められ、退居も考えると、実質4名の新規契約を獲得しなければならない状況だとすると、見学対応からの契約率が4割の施設では10件の見学を引き入れなければならない。
一方、契約率が8割の施設は5件の見学数でよいということになる。

さらに、1件の見学のために、2件の問い合わせが必要とすると、契約率4割の施設は20件の問い合わせ、契約率8割の施設は10件の問い合わせが必要となる。
営業件数も同様で、1件の問合せのために10件の営業が必要であれば、両施設に100件もの必要な営業件数の開きが生じてしまうことになるのである。

つまり、この例で言えば、見学対応からの成約1件とは、25件の営業活動にも匹敵する重要性を持つということになる。
ちなみに、営業活動25件とは、地域にもよるが、自動車で移動をしたとしても7時間から10時間程度は要する活動になる。

介護福祉施設の営業担当者がこれだけ営業活動に時間を割けば、それだけ施設内が手薄になるということだ。
外部活動は重要な責務であるとはいえ、いたずらに内部業務に割く時間を減らしていいということでもない。
管理者や相談員が内部業務に従事できる環境を作ることができるのも、ひとえに見学対応からの成約率が高ければこそであると言えるのである。

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介護福祉施設の見学者への対応は誰が行うのか

では、そのように重要な見学対応は誰が行えばよいのか。

ベストなのは管理者がそれを得意とし、自身の手で契約率を高めていくのが最善だ。
しかし、見学に来る方がアポイントを取ってから来るとは限らないうえ、来訪日はたいてい日曜や祝日など、管理者の出勤が手薄なタイミングである可能性が高い。

つまり、基本的に介護福祉施設の見学者への対応は、施設職員であれば誰が行ってもいいように準備をしておくべきであると言える。

見学者は何を期待しているのか

見学対応といえば、見学ルートを決めて、少しでも印象良く見せようとイベントを実施している様子などを重点的に回り、最後に面談室でアンケートなどを書いてもらい、もしご契約をお考えであればこちらにお電話ください、などと伝え帰りをお見送りする、などというイメージではないだろうか。
しかし、その手順では見学からの成約率を今よりも上げることは困難であると言える。

なぜか。

介護福祉施設の見学とは、見学者の問題解決方法を提案する場だ。
見学者は、自身あるいは家族に介護が必要な状態で見学に来る。ギリギリまでなんとか家で見てあげられるように頑張ったものの、限界が来て、家庭生活に大きな影響を及ぼすようになり、最後の手段として介護福祉施設入居を検討すべく、施設を見に来るのだ。

そうした方にとって、今家庭で抱えている問題をどう解決するかが一番の関心事であり、その解決策を施設に期待しているのだ。

つまり、管理者は、見学者が今、家庭で何に困っていて、どのようなことを施設に期待しているのかを知らなければ、施設の何をもって見学者の悩みを解決すればよいかを提案できない。
逆に言えば、今家庭で抱える悩みや課題を、自分たちの施設・サービスを使えば解決できると知ってもらえれば、それを断る理由はなくなる。
そのような対応をするのが、見学の大事な要素なのだ。

では、具体的にどのような手順で見学対応を行えば成約率が上がるのか。
次回、具体的な見学手順について考察する。

レポートの執筆者

沼田 潤(ぬまた じゅん)
株式会社 日本経営 介護福祉コンサルタント

株式会社の運営する介護付き有料老人ホームにおいて介護職員から施設長までを経験後、北京に駐在し海外事業にも従事。2015年に日本経営に入社、主に介護施設における稼働率向上支援、介護サービスレベルの底上げ支援などを担当する。介護福祉士。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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