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組織開発コンサルティングレポートVol.003「イノベーションを阻む壁と対策」

  • 業種 企業経営
  • 種別 レポート
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イノベーションを阻む壁と対策 解説

株式会社日本経営 副部長 株式会社ミライバ 取締役 / 江畑 直樹

変革が必要なのにチャレンジしない現場

withコロナとなった現在、市場は新しい社会となりました。企業組織は、これまでにない新たな発想で、マーケティング活動、セールス活動、サービス活動を行うことが求められています。

ところが、現場は変化を生み出すこと、新しいことにチャレンジしていくことに、必ずしも同意してくれるとは限りません。同意したかのようにみえても、主体的にチャレンジする社員は限られたりすることもあります。

すると、危機意識を持っている経営層・幹部層や現場社員と、チャレンジしない現場社員との間に大きな意識ギャップが生じてしまい、組織内に対立構造が生まれたり、ムードが悪化して組織やチーム全体のパフォーマンスが落ちてしまうなど、泥沼にはまってしまう恐れが出てきます。

なぜ変革を遂げなければならないときに、変革を拒む人が増えるのでしょうか?
また、その状態を突破するために何をする必要があるのでしょうか?

変革を蝕む現場の心理

まず、押さえる必要があるのは、人には「現状維持バイアス」という心理作用があることです。現状維持バイアスとは、「人は、未知なものを受け入れることに恐れを感じ、現状を維持しようとする心理が働いてしまうこと」を意味します。

なぜこのような心理が生じるかというと、失敗することへの恐れや、手間・面倒を避けたいとする抵抗意識が無自覚に作動してしまうためです。人は、不安を避け、安心したい、という欲求が強いということですね。

この心理は人によって程度は異なるのですが、恐れや抵抗という感情は、行動することにブレーキをかけてしまうものになりますのでやっかいなものです。この心理が働いている状況でチャレンジや変化を求めてしまうと、そのかけた力と同じ力がブレーキに加わることになりますので注意が必要です。

それではそうした現場に対して、経営層や幹部層はどのような働きかけをする必要があるのでしょうか?
今回は変革を起こすための2つのポイントをご紹介いたします。

共に乗り越えようのカルチャーを築く

まず1つは、「この危機をみんなで乗り越えていこう」とするスローガンを出し、支え合いながらチャレンジを進めていく流れをつくることです。現状維持バイアスが働いている現場にプレッシャーをかけて、不安・恐れを増幅させてしまうと、会社の中にチャレンジを拒む抵抗勢力が生まれてしまいます。

大切なことは、不安の危機意識ではなく、健全な危機意識を持ってもらうことであり、そのためには、チャレンジしていくことに前向きになってもらう必要があります。

お互いに支え合い、励まし合える仲間の存在感、これが現状維持バイアスを乗り越える心理となります。プレッシャーではなく、共にこの困難な道のりを乗り越えていこうとする発信を心がけるとよろしいかと思います。

意義・目的・進むべき方向を確認・再定義し軸を作る

そしてもう1つは、事業の意義や目的に立ち返り、私たちが何を手掛ける必要があるのかのミッションを再定義することになります。市場そのものが変化してしまうと、これまでのやり方が通用しなくなってしまいます。

すると、現場は何が正解なのかが分からない、何をどうしたらよいのかが分からないとする、不安と迷いに満ちた心理状態に陥ります。行き場を見失った状態ですね。

このような状況下で大切になってくることは、現場社員の心の軸となるビジョンやミッションを確認したり、再定義したりすることです。私たちが今大切にする必要のあることは何か、今の市場の変化を踏まえ、市場や顧客に何をお届けする必要があるのか、そのために何をしていく必要があるのか、これらの点をしっかりと定めることになります。

何をするのか、どうするのかの How も大切なことですが、その前にどこに向かっていこうとしているのかの why から見つめなおすようにしてください。

上記のように、「心強い仲間の存在がいる」と感じられること、「この方向に向かってやるぞ!」とする指針を定めること、これが新たな一歩を踏み出していくために必要な土台となります。土台固めをすることなく、新たなチャレンジを起こしていくことは限界があります。

合宿会議や主要幹部を集めたカンファレンスなどの機会を創り、上記に取り組まれてはいかがでしょうか?会社に生まれ変わらせる大きなチャンスになるはずです。

企画や場の作り方など、ご興味・ご関心あられる方は、お問い合わせください。
皆様の組織の変革を心より応援しています。

このレポートの解説者

江畑 直樹(えばた なおき)
株式会社日本経営 副部長 株式会社ミライバ 取締役

2003年日本経営入社。主に医療機関、福祉施設の組織創りや幹部・管理職・監督職の研修に従事する。約2年間にわたる医療・福祉のグループ法人への出向を含め、これまでに100以上の医療法人、社会福祉法人の支援実績を有する。
2018年に株式会社ミライバを設立し、組織の風土改革や次世代リーダーの育成、幹部・管理職の視座の向上等をテーマとする組織開発コンサルティングや人材開発研修の支援を行う。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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