投稿日:2021年9月11日

チームマネジメントとは?目標達成へと導くためのポイント

「チームとしての働き方がわからない」「部下との関係性が薄くチームとして機能できていない」など、部下やチームメンバーをうまくまとめることが難しく困っている人も多いのではないでしょうか。

チームマネジメントで重要なのは、適切なマネジメントを通じて経営戦略を現場の役割へとつなぎ、社員一人ひとりの成長を促進させ、結果として組織の持続的な成長と定着へつなげていく視点を持つことです。

本記事では、チームマネジメントの本来の意味や重要性・目的、リーダーに必要なスキル(心理的安全性を高めるコミュニケーション等)から、自走するチームをつくる研修プログラムまでをわかりやすく解説します。

この記事の要約
  • チームマネジメントの定義:経営戦略やビジョンを「現場メンバーの具体的な役割」へ落とし込み、個人の成長を通じて持続的な組織の成果へつなげる取り組みである。
  • 目的と目指す組織像:強権的な管理ではなく、個人の成長と定着を促進し、継続的に成果を生み出し続ける自走型組織をつくる。
  • 目標達成に向けた5つの実践ポイント:目的と期待役割の共有、相談による心理的安全性の構築、Iメッセージの活用、プロセスの評価・承認、顧客や他者へ向けた外向き思考への転換を実践する。
  • リーダーに必要な4つの能力:「戦略変換力」「評価・成長支援力(人事制度の現場運用)」「コーチング・コミュニケーション能力」「率先垂範する力」を磨く。
  • 医療・看護現場への応用と研修:多職種連携が求められる医療・看護現場でも不可欠な手法であり、日本経営の研修プログラムを通じて現場で自律的に行動できるリーダーを育成する。

チームマネジメントとは

チームマネジメントとは、経営戦略や組織のビジョンを「現場メンバー一人ひとりの具体的な役割(期待役割)」へと落とし込み、個人の成長を通じて持続的な組織の成果へつなげる取り組みのことです。

目標達成に向けて環境や仕組みを整えることは大前提でありながら、単なる「意見調整」や「目先の進捗管理」だけでは十分ではありません。日頃のマネジメント活動や評価の仕組みを正しく機能させ、メンバー一人ひとりが能力や可能性を最大化できる状態(=成長)をつくることが、チームマネジメントの土台となります。

チームマネジメントの目的とは

チームマネジメントの目的は、社員の成長と定着を促し、継続的に成果を生み出し続ける自走型組織をつくることです。単に目先の数字を追うだけであれば、強い指示命令(強権的なマネジメント)でも一時的には達成できるかもしれません。しかしそれでは指示待ち社員が増え、成長が止まった結果、早期離職やエンゲージメント低下を招いてしまいます。

会社の目指す方向性と個人の期待役割を接続し、メンバー自らが思考・挑戦する機会を提供することで個人の成長を促進させます。この成長をエンジンにして組織の目標達成を実現することこそが、チームマネジメントに取り組む狙いです。

目標達成するためのマネジメントに必要な5つのポイント

1.目的と「個人の期待役割」を共有する

チームをまとめる第一歩は、全員で「仕事の目的(意味)」を共有することです。

上司が「ああしなさい」「こうしなさい」と手段ばかりを指示すると、部下は目的を見失い、「指示された作業をこなすだけ」の受け身(やらされ感)になってしまいます。これでは成長の機会が奪われてしまいます。

会社のビジョンやチームの目標を示したうえで、「何のためにこの仕事を行うのか」という目的を伝え、「だからこそ、あなたにはこの役割を期待している」と個人のミッションへ落とし込んで接続することが重要です。具体的な達成手段を部下に考えさせるプロセスこそが社員を大きく成長させ、モチベーションや成果の質を高めます。

2.メンバーに相談をする

リーダーとメンバーが強い信頼関係を築き、個人の可能性を開花させるために最も効果的なのが「リーダーからメンバーへ相談すること」です。

「あなたはどう思う?」「この件、知恵を貸してほしい」と意見を聴くことは、「あなたを1人のプロフェッショナルとして頼りにしている」という強い承認のメッセージになります。

意見を尊重し相談を重ねることで、チーム内に「発言や相談をしても拒絶されない」という心理的安全性が生まれます。頼られたメンバーは一歩高い視座で物事を考えるようになり、「もっとこうしたら良いのでは」と自発的に能力を伸ばすきっかけをつかみます。互いに相談し助け合える風土は、チームの定着率を向上させる土台となります。

3.Iメッセージを活用する

部下やメンバーに要望や改善を伝えるときは、「I(私)」を主語にした「Iメッセージ」を活用しましょう。日常の工夫としてとても効果的です。

例えば、部下からの進捗やトラブル報告が遅れた際、「(あなたは)なぜもっと早く報告しないんだ」とYOU(あなた)を主語にして詰め寄ると、相手は「責められた」と感じて防衛的になり、指示待ちの姿勢を生み出してしまいます。これをIメッセージに変換し、「(あなたが)早く共有してくれると、私は迅速に次のフォローへ動けるから助かるよ」や「(あなたが)状況を早めに相談してくれると、私も一緒に対応を考えられるので安心だよ」と、「私」の感情や状況を主語にして伝えます。

「自分の行動が上司やチームの助けになっている」と実感できるコミュニケーションを重ねることで、部下は不必要な心理的ハードルを感じることなく、自発的に報告・連絡・相談ができる自律的な人材へと成長していきます。

4.プロセスを重視したマネジメントをする

成果を出し続けるチームを作るには、結果そのものよりも、そこに至るプロセスに焦点を当てたマネジメントが不可欠です。結果至上主義に陥ると、数字さえ出せばプロセスはどうでもいいという風潮が生まれ、短期的な数字と引き換えに社員の健全な育成や定着率が損なわれてしまいます。

日頃の正しい行動や試行錯誤のプロセスを評価・承認し、「なぜうまくいったのか」「どこを改善すれば次は良くなるか」を定期的な1on1等で振り返る関わりを徹底しましょう。プロセスを承認される安心感がモチベーションを維持し、学びを得る習慣が身につくことこそが、社員の「再現性のある成長と定着」を実現します。

5.内向き思考から外向き思考にする

チームの視点を内向き(自分たちの都合・保身)から外向き(顧客や他者のニーズ・貢献)へとシフトさせることで、組織のベクトルが一致し、主体性が劇的に高まります。

内向き思考のチームは、「自分の評価はどうか」「面倒な仕事が増えないか」といった自己都合で判断するため、互いに協力できず成長が止まります。

リーダーは「自分たちの仕事は顧客のどんな役に立っているか」「他部門の課題解決にどう貢献できるか」という外(相手)に向けた問いかけを行いましょう。「誰かの役に立ちたい」という本質的な欲求に火がついたとき、社員は最も大きな成長を遂げ、組織に計り知れない成果をもたらします。

マネジメントとリーダーシップに必要な能力やスキル

チームリーダーには、「リーダーシップ」と「マネジメント」の双方のスキルが求められます。会社方針や人事制度を現場の役割に正しく落とし込み、部下の成長を支援していくための能力を身につけていきましょう。

メンバーの成長を引き出すために、特に以下の能力を磨いていくことが大切です。

戦略変換力(目標設定・役割定義力)

経営層が掲げる抽象的なビジョンや事業戦略をそのまま与えるのではなく、「自分たちのチームや個人が日常業務で何をすべきか」という具体の役割に変換して伝える力です。「自分の業務が会社の未来を作っている」という実感を紐付けることで、社員のエンゲージメントが高まります。

評価・成長支援力(人事制度の現場運用力)

人事制度(等級・評価・賃金)を単なる点数付けの作業として形骸化させず、部下の「成長の物差し」として使いこなす力です。日頃のフィードバックや評価面談を通じて、期待される役割を果たせているかを客観的に示し、次の成長課題を伴走しながら引き出します。

コミュニケーション能力

一方的に指示を出し教え込むのではなく、対話を通じて相手の中にある主体性や可能性を引き出す力です。日頃から気軽な相談ができる関係性を築いておくことでチーム内に高い心理的安全性が生まれ、失敗を恐れずに挑戦し、お互いに刺激し合って成長する風土が形成されます。

率先垂範する力

リーダーは、仕事をする上で率先垂範でなければいけません。
ここでの率先垂範とは、部下より優秀なプレーを見せることではありません。負担の大きい業務や困難な課題、組織の変革に伴うリスクにリーダー自身が進んで立ち向かう姿勢を見せることです。その誠実な背中こそが、メンバーの信頼を生み、成長意欲と挑戦心に火をつけます。

医療・看護現場でのチームマネジメントについて

チームマネジメントの手法や重要性は、一般企業にとどまらず、多職種連携や多様な勤務形態が混在する医療・看護現場で一層重要となります。

特に看護現場では、師長や主任といった管理職が自身の役割を正しく認識し、部下である看護師一人ひとりの期待役割を明確にすること、そして「発言や相談がしやすい心理的安全性」を確保することが、医療安全の確保や早期離職の防止、組織の定着率向上に直結します。

※看護・医療現場でのマネジメントの役割や実践ノウハウについて詳しく知りたい方は、ぜひ以下の解説記事も併せてご覧ください。

▶解説記事「看護師の管理職に求められる役割とは?必要なスキルと育成のポイント」

持続的に成果を出すチームをつくるために

チームマネジメントの本質は、単に目先の数字を追わせることや部下を管理することではありません。会社の目指す方向性と個人の期待役割をつなぎ、メンバー自らが思考・挑戦できる環境を整えることで、「個人の成長」と「組織の持続的な成果」を両立させることにあります。

しかし、頭では理解していても、「現場の管理職が日常業務に追われて実践できない」「従来のやり方から脱却できない」といった課題を抱える企業や医療機関は少なくありません。自走するチームをつくるためには、単なるスキルの暗記ではなく、現場の仕事で自律的に判断・行動できるリーダーの育成と、それを支える仕組みづくりが必要です。

日本経営のマネジメント研修

日本経営では、こうした数多くのコンサルティング実績に基づき、現場で自律的に行動できるリーダーを育てる各種研修プログラムを提供しています。

一般的な企業の管理職育成はもちろん、多職種連携や現場課題を抱える病院・医療機関まで、組織の成果と個人の成長を同時に実現するチームづくりの実践アプローチを伝授いたします。

  • 「人事制度や管理ツールはあるが、現場のマネジメントや育成に活かしきれていない」
  • 「部下や看護師の早期離職を防ぎ、しっかり定着して育つ組織風土をつくりたい」
  • 「経営戦略を現場の具体的役割につなげ、自律的に動く管理職・チームを育てたい」

マネジメントの強化や管理職の育成にお悩みの企業・医療機関様は、
ぜひ下記よりサービス詳細をご覧ください。

このレポートの解説者

橋本竜也
株式会社 日本経営 代表取締役社長
組織人事コンサルタント

1999年入社以来、人事コンサルティング部門にて、クライアントの人事制度改革に携わるほか、不採算企業の経営再建にも従事。コンサルティング実績は上場企業から中堅・中小企業まで150社を超える。「良い経営は人を幸せにする、悪い経営は人を不幸にする」を基本スタンスに、人事コンサルティングや経営顧問を行っている。
<著書>
「チームパフォーマンスの科学」幻冬舎2021年12月
「中小企業の未来戦略を具現化する!組織マネジメント実践論」プレジデント社2022年10月

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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