育児・介護休業法改正で実現する柔軟な働き方 /約3分で耳ラーニング
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業種
病院・診療所・歯科
介護福祉施設
企業経営
- 種別 レポート
2025年4月1日から、改正された育児・介護休業法が段階的に施行されます。この改正は、労働者がライフステージに応じた柔軟な働き方を選べる環境を整えることを目的としています。
まず、2025年4月から看護休暇の対象が現在の未就学児から小学校3年生までに拡大されます。さらに、学級閉鎖や入園・卒園式などの行事への参加も休暇取得の理由として認められるようになります。
また、残業免除対象の範囲が拡大されるほか、育児のためのテレワーク導入を推進することが、事業者の努力義務として定められました。
さらに、同年10月からは、事業者が始業開始時間の変更や短時間勤務制度など、5つの措置の中から2つを選択し、フルタイムでの柔軟な働き方を支援するための仕組みが導入されます。この改正には、従業員の意向を確認し、それに配慮することが義務化されることも含まれています。これらの取り組みにより、家庭と仕事の両立をこれまで以上に支援する環境が整備されることが期待されています。
制度を利用しやすい職場環境を整えることも重要
この改正では、男性の育児参加が促進され、労働者が自身のライフスタイルに応じた働き方を選択できることが期待されています。一方で、医療機関や介護事業所では人員不足や業務調整の課題が顕著であり、短時間勤務制度やフレックス制度を活用した効率化や労働力の確保が急務とされています。
さらに、管理職や同僚への研修を実施して制度の目的や運用方法を周知徹底することで、労働者の心理的負担を軽減し、制度を利用しやすい職場環境を整えることも重要です。加えて、保育施設の設置や長時間労働の是正といった労働環境の改善を進めることで、業務効率化や労働者満足度の向上が期待されます。
働き続けられる環境が、雇用の安定と社会全体の発展につながる
この法改正は、労働者がキャリアを中断することなく長期的に働き続けられるだけでなく、事業者にとっても戦略的な人材管理や経営計画の見直しを促す契機となります。また、柔軟な働き方を可能にする制度の整備は、職場全体の生産性を高め、組織の競争力を強化する上で重要な要素です。
育児や介護を抱える労働者が安心して働き続けられる環境を整えることは、雇用の安定化と社会全体の持続可能な発展にもつながります。この改正を積極的に活用し、労働者と事業者が協力して新たな働き方のモデルを構築することは、社会全体の幸福度を高め、現代が直面する課題を解決するための重要な鍵となるでしょう。
<参考資料>
育児・介護休業法が改正されました ~令和7年4月1日から段階的に施行~≪厚生労働省≫
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
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今回の解説
馬渡美智(まわたり みさと)
株式会社日本経営 組織人事コンサルタント
従業員数500名規模の事業所で、総務・人事業務に従事した後、日本経営入社。労務管理体制の調査・整備業務、組織活性化支援、人事制度の導入・運用支援、管理職研修、職員研修等に従事している。自治体の医療人材の流出入に関する調査も実施。社会福祉協議会、各種団体等での講演やセミナーも多数行っている。社内においては、子育てをしながら経営コンサルタントとして働くモデル人材として活躍。社会保険労務士有資格者。
株式会社日本経営
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