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介護福祉経営コンサルティングレポート「稼働率を向上させるVol.01」

  • 業種 介護福祉施設経営
  • 種別 レポート

管理者の心構え、人手を増やしても「楽になった」とは言ってもらえない

  • 本レポートでは、介護施設における運営実務のポイントについて、現場のコンサルティングの実例を踏まえてお伝えする。
  • まずは複数回にわたり、介護施設の稼働率向上について具体策を交えたポイントを解説する。

営業は、地域の社会資源のひとつとして地域福祉を支える重要な業務

管理者には渉外活動を通じていち早く空きベッドや定員を埋め、収入と利益を安定的に作り上げることで、施設を継続させる足がかりを作るという使命がある。

しかしこのように言われると、特に介護職出身の管理者であれば反発を感じる方も多いようだ。

ただその一方で、管理者として数字から逃げていてはいけない、という思いが交差していることも想像に難くない。

自身のサービスに対する思いと施設の経営という観点との狭間で、どのように自分を納得させ、いかにモチベーション高く営業管理を行っていくべきか、職員には自分の言葉でどう話していくべきか、管理者にとっては大きな悩みどころとなっている。

しかし、実は、介護・福祉と営業活動とは大きな親和性がある。

介護施設を営む者が営業活動に精を出すことはまったく福祉の精神に反することではなく、むしろ地域の社会資源のひとつとして地域福祉を支える重要な業務と言えるのである。

現場を手伝う管理者は、自分の失敗をごまかしているにすぎない

ところで、新任の管理者にありがちな感覚だが、現場によく顔を出し、現場を手伝ってくれる管理者がよい管理者だと思っていないだろうか。

たしかに、管理者自ら現場に入り入浴介助などを手伝っていると職員は素直に喜んでくれるものの、逆に手伝いに入らないと「うちの管理者は現場のことなんて見てくれない」という悪評が立つことすらある。

では、そのような現場の職員は本当に管理者に現場に入ってもらうことを望んでいるのだろうか。

現場から「管理者に手伝ってほしい」と思われるというのは、「こんなに現場が忙しいのに、管理者は手伝いにも来てくれないの」という不安定な現場の悲鳴であると言い換えることができる。

当然のことだが、安定した現場では管理者にこの役割は必要ない。むしろ日常の動きに慣れていない管理者にふらっと入られても業務の妨げになるだけでなく、監視の目が常にあるような感じで現場職員からするとやりにくいはずなのだ。

つまり、現場を手伝う管理者とは、誤解を恐れずに言えば、親切や利他の行動などではなく、安定した現場を作れなかった自分の失敗をごまかしているにすぎない、と言えるのである。

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人手を増やしても「楽になった」とは言ってもらえない

では、安定した介護現場とはどのようなものだろうか。

人をたくさん雇っていて、忙しくならない現場なのだろうか。

残念ながらそのようなことはなく、人手を増やしても「楽になった」とは言ってもらえないだろう。

介護の対象は利用者の生活全般を指すので、やろうと思えば仕事はいくらでも出てくるためだ。

逆にどんなに人が少なくても、利用者の介護の優先順位が理解できていて、大切なことから順番にこなしていくということが身についていれば、忙しいと感じることはない。

介護の仕事が忙しいのは、全ての仕事を横一列に「やらなければならないこと」として見てしまい、全てを時間内に終えようとして時間が足りなくなるからなのだ。

現場から不満が上がりやすい職場

では安定した職場を作るのに必要なことは何なのか。

たとえば、次のXとYという2つの現場があったとして、現場から不満が上がりやすいのはどちらの職場だと思うだろうか。

X:定員いっぱいの利用者30名が常にいて、入れ替わりも入院もほぼなく日々同じ状態。日中は早番と日勤などで、3名の職員がどの時間帯にも配置されている。
Y:入退院や入退居が頻繁に行われ、利用者は28名の日もあれば23名の日もある。日々利用者数は変化し、入退居の準備や手続きもある。職員は日中は平均3名だが、多い日は5名いるときもあり、少ない日は2名しかいないときもある。

職員の数だけを見るのであれば、明らかにXのほうが少ない。人数的にはYが明らかに楽なはずだ。

しかしお気づきのように、職員からの不満が上がりやすいのはYなのだ。

管理者の心構えは、現場に入り入浴介助を手伝うことではない

なぜか。介護の現場では変化を嫌う傾向にあるので、毎日同じ利用者がいる現場より、日々の入れ替わりが激しい現場のほうが負担が大きいように感じられるためだ。

つまり安定した現場を作るということは、日々変化の少ない状況を作ることであると言い換えることができる。

もちろん、介護の現場は機械ではなく、人と人によって成り立っているので、変化のない現場というものはない。

しかし入退居が多いよりは、満床で続いたほうが変化は少ないと言えるし、入退院が少なければなおさらである。

つまり、介護施設を管理する者の考え方として、人手が不足しているという現場に直面して考えなければならないことは、現場に入り入浴介助を手伝うことではなく、外に出て一人でも多くの利用者を獲得し、安定した現場を作ることになるということなのだ。

そのような取り組みをしようとした際に重要なことは、現場職員の理解を得て後押しをしてもらえる環境を作ることだ。

次回は、そのポイントについて解説する。

レポートの執筆者

沼田 潤(ぬまた じゅん)
株式会社 日本経営 介護福祉コンサルタント

株式会社の運営する介護付き有料老人ホームにおいて介護職員から施設長までを経験後、北京に駐在し海外事業にも従事。2015年に日本経営に入社、主に介護施設における稼働率向上支援、介護サービスレベルの底上げ支援などを担当する。介護福祉士。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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