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介護職員数を最小化し、生産性を向上させる仕組み作りとは|業務改善の導入事例

  • 業種 介護福祉施設
  • 種別 レポート

現場からは「人員が足りないから増やしてほしい」という声が上がる一方で、収益構造を考えると、
あらゆるコストを削減したいのが経営者の本音ではないでしょうか。そこで着目してほしいのが「本
当に人員は不足しているのか」「増員ではなく業務を改善すれば今の人員で運営できるのではな
いか」という視点です。
今回は介護事業所の業務改善をテーマに、失敗事例と成功事例、業務改善を成功に導くための
考え方などをご紹介します。

|介護事業所の現状と課題|

なぜ業務改善が必要なのか、はじめに介護事業所の現状と課題について見ていきましょう。

介護事業所の現状
多くの介護事業所が抱える「人手不足でも人件費を増やせないジレンマ」

介護事業所のコンサルティングを担当した際、必ず話題に上がるのが「人手不足」という問題です
。人手不足は職員の不満を増幅させるだけでなく、収益減少や運営難の原因にもなり得ます。以
下のように、悪循環に陥っている事業所が多いのが現状です。

【 人手不足が招く負の連鎖 】

  • 現場から人が足りないという声が上がっている
  • 募集をかけているが人が集まらない
  • 職員の不満が募り離職者が増加。あるいは離職しそうな職員がいる
  • 人材不足を理由に、現場が新しい利用者様の受け入れに消極的
  • 稼働率が下がり、収益が減少
  • 経営者としては人件費を上げられない
  • 新規雇用もできず、収益も低下。運営が困難になっている

介護事業所が抱える課題
業務を改善し、最小人数で運営できる体制を作りたい

人手が足りず、新規雇用も難しいとなったとき、人手不足による負の連鎖から脱却するにはどのよう
な策を講じればよいか。業務改善をして生産性を向上させるのが最も効果的な方法だと私たちは
考えます。
しかし、すぐに以下のような問題が浮かんでくるのではないでしょうか。

  • 業務改善をして現在の人員でスムーズに運営できるようにしたいが、やり方がわからない
  • 業務改善をしたいが現場の理解を得られない。第三者の力が必要

皆様の不安に対し、日本経営は「生産性を上げる仕組みの構築と、最小人数で運営できる体制づ
くり」をご提案します。

|失敗事例|

業務改善は膨大な作業を伴う一大プロジェクト。
成功させるのは容易なことではありません。ここでは、よくある失敗事例をご紹介します。

失敗事例1
経営層の意思決定に揺らぎがあるケース

業務改善のプロジェクトが動き出したものの、経営者や役職者の意思決定にブレがあり、プロジェク
トが二転三転してしまうことがあります。たとえば、職員が役職者の許可を得て業務改善ツールを選
定したが、いざ契約の段階となり、別の役職者に確認をすると承認が下りないといったケースです。
この場合、職員の時間が無駄になるだけでなく意欲の低下も招き、ネガティブな影響しか与えませ
ん。

失敗事例2
経営層と現場職員の思いのギャップが埋まらないケース

上記の例とは逆に、現場職員が業務改善の意図や必要性を理解しておらず、プロジェクトが一向
に進まない例もよく見られます。経営層は職員を思って業務改善に乗り出しますが、職員は自分た
ちのやり方を否定されたと感じ、反発的な感情を抱きます。人が足りないと主張する職員に対し、
人員配置基準を満たしているのだから人は足りているはずだという経営層の態度が、溝を深める要
因の一つになっています。双方の思いにギャップがあるまま業務改善に取り組んでもうまくいきません。
このケースでは、そもそも職員の委員会(プロジェクト)への参加が難しいことが多くあります。「人手不足による負担を軽減するために委員会を作る」と説明しても、現場からは「人手不足だから委員
会には参加できません」という回答が返ってきてしまいます。

失敗事例3
目的の整理・共有をせずに行動する見切り発進ケース

業務改善の必要性を経営層・職員の双方が認識しているものの、業務改善の目的の整理と共有
ができておらず、課題解決に至らないケースも少なくありません。
直近で多いのは、2024年度に新設された「生産性向上推進体制加算」におけるICTツールを活用
できていなケースです。介護記録の手書きは大変だからと記録ソフトを導入するも、「紙に書いてか
らシステムに入力する」という非効率な作業が発生。その結果、システムに入力する時間が残業に
なり、無駄が増えてしまったという失敗例です。潜在的な紙への依存とシステムへの抵抗感が大き
な理由ですが、目的を理解していれば、それに応じた準備や指導ができたはずです。

|成功事例|

ご紹介した失敗事例を踏まえ、業務改善を成功させた介護事業所の例を見ていきましょう。


成功事例1
徹底した現状調査とヒアリングで職員の理解を得る

経営層と現場の思いにギャップがあるなどで業務改善プロジェクトが進まないケースでは、第三者
の介入が必要なケースが多くあります。このとき日本経営が行うのは、徹底した現状調査とヒアリン
グ。タイムスタディや現場職員へのヒアリング、アンケートを行うなどして現状を見える化します。
その結果を職員と共有すると、現状の業務の課題や改善点が見えてきます。これを丁寧に行うこと
で職員の理解が進み、業務改善プロジェクトが一気に進むケースが少なくありません。


成功事例2
業務ライン表の標準化により「残業ゼロ」を実現

職員一人ひとりの働きやすさを優先した結果、業務ライン表が複数存在する事業所は少なくありま
せん。
ある事業所では業務ライン表が数十種類に膨れ上がり、チームで見ると非効率な業務体制で残業
が常態化していました。
これを、最小人数かつ時間内に業務を終えられるようにスケジュールを組み直し、最終的にライン
表を1パターンに集約。その結果、全職員の残業時間をゼロにすることができました。


成功事例3
物品管理ルールの統一化で「介助時間短縮」と「コスト削減」に成功

科学的な現場改善手法「リーン生産方式」による、入浴介助の業務改善成功例です。リーン生産
方式とは「最小限のリソースで効率的な生産を行う生産システム」のことで、米国マサチューセッツ
工科大学の研究者が「トヨタ生産方式」を基に体系化したものです。
介護現場の業務改善では主に5Sを意識し、バスタオルやドライヤー置き場の位置を変更するととも
に、誰が見ても対応可能な物品補充環境を構築。その結果、入浴介助時間が10分短縮し、物品
管理の無駄がなくなったことでコスト削減を実現することができました。

解決のポイント

現場職員にヒアリングをする際、現場をよく知るコンサルタントとそうでないコンサルタントでは職員
の納得度が異なります。日本経営には医療・介護の現場経験者が在籍しているため、現場に寄り
添った対応が可能です。

|業務改善を成功に導く考え方|

業務改善を行う際には、経営者および現場職員の意識改革が不可欠です。業務改善を成功に導
くために必要な考え方を2つご紹介します。

考え方1
人のせいにしない。仕組みで解決する

業務改善を進めていると、「〇〇さんはミスが多い」「〇〇さんは気が利かない」など個人のスキル
に注目し、改善しようとする傾向が見られます。しかし、業務改善は仕組みで解決するのが基本で
す。
現在もし仕組みがあるのなら、それを見える化し、誰もが同じようにできる仕組みに変えましょう。人
を変えるよりも大きな成果を得られ、かつ持続可能な組織を築けます。

考え方2
人に仕事をつけるではなく、仕事に人をつける

「人に業務を割り振る」のではなく「業務に人を割りあてる」という考え方にシフトしましょう。

たとえば日勤を4人で運営している施設で、ある日だけ職員が5人いたと仮定します。この場合、「5
人で通常業務を行い、1人あたりの負担を減らす、あるいは介助時間を短縮する」のではなく、「4人
で通常業務を行い、残りの1人は普段できない業務にあたる」のが正解です。
これにより、「介護業務量の平準化」と「介護業務フローの標準化」が可能になります。平準化と標
準化が図ることができれば、施設サービスが向上するとともに、外国人介護人材や業界未経験者
の受け入れもスムーズに。採用難にも対処しやすくなります。
また、介護の仕事は言わば24時間のリレーです。残業している職員がいたら、残った業務は次の
人に渡せばいいことを周知するのも大切です。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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