お役立ち情報

成果を出すために創意工夫を凝らす/組織開発のアプローチ

  • 業種 病院・診療所・歯科
  • 種別 ホワイトペーパー

新型コロナの第8波への警戒が始まり、今冬の医療現場も慌ただしくなりそうです。多くの医療機関では、押し寄せる業務に限られた人員数で対処しつつも、経済活動を復旧させていかなければならないフェーズに入っています。

中長期的な視点に立って、組織の本質課題に向き合う

経済活動を復旧させていかなければならないフェーズと言われても、医療現場では、人材の離職、採用困難で人材確保に苦慮されたり、現場の状況や課題を適切に判断できるリーダー人材が不足したりして、打ち手が限られた状況に陥ってしまっているといったことが少なくありません。

この難しい状況を切り抜けていくためには、何に取り組んでいけばよいのでしょうか?

どのような側面から考えてみても、簡単に切り抜けることはできないことが理解できます。

ここでいう「簡単に切り抜けることはできない」とは、「対策内容の質・レベル」と「対策活動に費やす期間」には相応のものが求められてくるという意味で、問題と改善に向けた対策を安易に考えてはならないということです。

端的に申し上げますと、組織や人に関連する事項は、これさえやれば上手くいくという神業は存在せず、中長期的な視点に立って組織の本質課題と向き合い、根気を持って一日一日を真剣に向き合っていくということでしか道は拓かれないということです。

PR:22/11/30「各界トップと考える『病院組織開発』」

スピーカー

株式会社ミライバ 取締役 江畑 直樹
株式会社日本経営 取締役会長 藤澤 功明
医療法人社団東山会 理事長 小川 聡子氏
オーセンティックワークス株式会社 代表取締役社長 中土井 僚氏
株式会社ミライバ 田中 梨央

問題症状を見極め、将来を想定する

「中長期的な視点に立って、組織の本質課題に向き合う」とはどのようなことか。3つのポイントを説明します。

まず一つ目に求められることは、「今組織で起きていることの問題症状を見極め、それが将来どうなりうるのかを想定すること」です。

例えば、管理職の影響力不足により、職員の意欲や能力が伸び悩み、チームの生産性が停滞しているケースで考えてみましょう。このような問題は、時間が経過するほど症状が悪化していくので、経営者、経営幹部からすれば早期に解決したいものです。

しかし、人材が充足しているわけではないので、管理職を降格することができません。そうなると、経営幹部から管理職が奮起するように働きかけたり、直接現場に介入して対処するなどで対応していくことになるでしょう。

このアプローチで、一旦はなんとかなるかもしれません。しかし中長期的な視点で考えてみると、いつまでも経営幹部がサポートし続けるわけにはいきません。管理職が意識を改め、現場職員からの信頼を取り戻せるかどうかも怪しいところです。

さらに、組織全体を見渡してみると、上手にチーム運営している管理職も数年先で定年となり、問題症状が組織全体に拡がっていくことも考えられます。要するに、いま行っている対策がその場凌ぎの行為であり、時間の経過とともに悪化しうることを想定しておかなければなりません。

何が本質的に問われるのかを見極める

二つ目に求められることは、「問題症状を克服するためには何が本質的に問われるのかを見極めること」です。

先程のケースで考えてみると、組織が適応していくために問われることとは何だと思われますか? 実際の改善策は組織によって異なりますが、一つの解決の糸口になりうることは、手遅れ状態にならないうちに「次世代リーダーを育てる機会を作ること」が挙げられます。

例えば、一般職クラスの中から一定経験年数を経た職員を対象とするリーダーシップ開発プログラムを導入したり、監督職クラスを対象とするリーダー研修やマネジメント研修を取り入れるなどです。要するに、いま行っている対策を継続しつつも、それは短期施策に過ぎないという点を踏まえ、中長期視点に立った組織の本質課題に向き合い、新しい流れを創り出していくということです。

このケースでいえば、管理職に責任を求め、管理職に人材育成やチームマネジメントを委ねるという従来のモデルがもはや通用しない状況になっているということです。そのことを受け止め、組織として「複数のリーダーの協働・相互支援を通して部を運営する」に切り替えることを意思決定し、そのための環境を整えていく必要があります。

アイデアを採り入れ、実行に踏み切る

三つ目に求められることは、「意思決定したテーマが確実に実るように、何が必要となるのかアイデアを採り入れ実行に踏み切ること」です。

例えば「一般職向けのリーダー研修や監督職向けのリーダー・マネジメント研修を実施したら本当に期待する能力が身につくのか」と、批判的に疑問を投げかけたとします。

すると、次のようなことに気づくかもしれません。

「ベテラン職員や監督職に研修を実施したところで、上司である管理職が研修に関心を示さなければ、日常業務での意識変容、行動変容は難しいのではないか?」

「管理職が学び、気づきの実践を邪魔してしまわないか?」

このような気づきに対して、「では管理職に関心を持ってもらうにはどうすればよいか」「管理職に関与してもらうためには、どうしたらよいか」このように、アイディアを出していきます。

「管理職に参加者を選抜してもらう」「管理職に研修前の面談を実施してもらう」「各回研修レポートの提出先を管理職に設定し必ず振り返りの面談を実施してもらう」など、具体的なアイデアが出てくるでしょう。

それらを検討し、何を採り入れるのかを意思決定します。

このように、ただ単に施策を実行するということではなく、どのような工夫をすれば効果が出やすくなるかという視点で考えてみると、新たなアイディアが出やすくなります

2022年も残すところあとわずかです。

2023年度のスタートが、より可能性に満ちた年度になるように、組織の本質課題とテーマを適切に見極め、成果を出すために創意工夫を凝らすことを大切になさってください。

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組織開発というアプローチ

本稿の執筆者

江畑直樹(えばた なおき)
株式会社ミライバ 取締役

2003年日本経営入社。主に医療機関、福祉施設の組織創りや幹部・管理職・監督職の研修に従事。2018年に株式会社ミライバを設立し、組織開発コンサルティングや人材開発研修の支援を行う。成人発達理論、学習する組織、U理論、インテグラル理論、NVC等の理論をベースとし、首都大学東京専門職大学院や日本社会事業大学専門職大学院では、これら理論を軸とした組織創りやサービス開発等について看護管理者、福祉管理者を対象に授業を行う。

株式会社ミライバ/株式会社日本経営

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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