医師の宿日直許可基準・研鑚に係る労働時間に関する通達
7月1日に医師等の宿日直基準や自己研鑽についての基発が厚労省労働基準局から発されました。すでにご存知の方、対応されている方もいらっしゃるかと思いますが、ご案内差し上げます。 |
病院等での医師の宿日直について、相当広範囲に認められるか
言うまでもありませんが、宿日直が認められると、その時間は通常の労働時間にカウントされないため、労働時間の管理に大いに融通が利くようになります。しかし、医師等の当直等を宿直扱いするためには、所轄の労働基準監督署長の許可が必要で、これまでは病院の場合、まず認められることがありませんでした。
ところが今回の基発によると、「病院等での医師の宿日直について、相当広範囲に認められる」と考えられます。これまで医師の当直を勤務として扱うように労働基準監督署から指導を受けた病院も多くあり、そのために多大な時間外労働手当が必要になったりすることがありました。
しかし今回の宿直基準の基発によれば、宿日直許可を受けることができ、勤務時間にはカウントしなくてすむようになる病院が増えていく可能性があると考えられます。また、看護師長等が管理当直をされているような場合も、宿直基準に該当するケースが多くなると考えられます。
宿日直中、通常の勤務時間に含まれないとされているケース
宿日直基準の基発では、宿日直中、次のような場合は通常の勤務時間に含まれないとされています(宿日直とみなしてよい)。
・少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を行うこと。
・非輪番日等の休日・夜間に少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を行うこと。
詳しくは「こちら」をご覧いただければと思いますが、救急センターやICU等のように緊急患者の対応を前提とした勤務以外であれば、広く宿日直が認められる可能性があります。
なお、日本経営グループでは、勤務時間管理や同一労働同一賃金等の働き方改革について研究を重ねています。「働き方改革関連のまとめページ」も、ぜひご参照ください。
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